みなさんこんにちは。受験Dr.の久米です。
今回は家庭学習の際にどうやって記憶を定着させていくかについてお話しします。
数年前、大手塾に通っている新5年生の男の子A君のお母様から
社会の学習に関してご相談を受けました。
「4科の中で社会が一番成績が悪く、足を引っ張っている。
家族でいろいろ旅行に行くこともあり地理は嫌いではないし、
毎週の宿題もしっかりやっている。
前回の学習内容に関するミニテストも点が取れている。
でも毎月のテスト前になると以前は出来ていた問題も間違えてしまい、
一からの覚え直しに近い状態になっていて、全範囲をやりきれない。
どう対応すればいいのか分からない」
詳しく話を聞くと、A君の学習の問題点が浮かび上がりました。
「社会は日曜に2時間以上かけてその週の内容の復習と宿題を全部やる。
分からないところや興味が出たところはお母様が解説したり動画を見たりして学習している。
社会の学習は他の日にはやっていない」
どういう点が問題なのか、説明していきます。
A君が通っている塾では、月・水・金が通塾日で、月曜が理科・社会の日でした。
日曜に宿題をやっているA君にとっては、前回の範囲のテストが翌日にあるわけですから、
点数がとりやすく効率的だと考えていました。
ここが罠だったのです。
前日に一気に仕上げたことで、短期的な記憶はバッチリです。
丸暗記した状態になっているので、ミニテストでは良い点が取れます。
しかし、社会の学習を一週間に一回しかしないので、
同じ内容に次に触れるのが数週間後のテスト直前の時期だけなのです。
これでは定着しないのも道理です。
小学生は新しいことをどんどん吸収していきます。
わたしたち大人にはない、素晴らしい能力です。
その一方で、小学生は覚えたことをどんどん忘れていく生き物なのです。
こういう小学生に「この1回で集中して全部覚えるんだよ!」とやっても効果は薄いです。
自転車で坂道を上るときに大きいギアで上ろうとすると、負担が重すぎて進みません。
ギアを軽くして、回転数を上げることで進みやすくなります。
小学生の学習も同じです。
1回の学習時間を短くして、何度も同じ内容に触れることで、
劇的に覚えやすくなります。
A君の場合は日曜だけ2時間学習する状態から、
火曜30分、木曜30分、日曜60分と分散して学習することによって、
点数が15点アップしました。(それでも得意教科の理科には及ばなかったそうです)
塾通いをしている小学生にとって、春休みまでの時期は、
塾での新しいスケジュールに慣れて学習習慣を確立させていく時期だと言えます。
「1回あたりの学習時間を制限して、その代わりに何度も同じ範囲を学習する」
という回転数の考え方を導入して家庭学習を行ってみてください。
効率が上がり、短い時間で成果を出せると思います。
それではまた。受験Dr.久米でした。