みなさんこんにちは。受験Dr.の久米です。
今回は中学受験の国語における、「自分のことばで書きなさい」という設問についてお話しします。
「自分のことば」ってどういう意味なんでしょう?
聞かれても困ってしまいますよね。
どういうことを書けば自分のことばで、どういうことを書けば他人のことばなのか。
例えば、小学生の男の子が、「ずるい」と「すごい」を合体させて、
「ずるすごい」ということばを作ったとします。
これは「自分のことば」と言えるのでしょうか?
ものすごく哲学的なテーマになりそうです。
しかし、この「ずるすごい」は、こと中学受験の国語に限ると、「自分のことば」とは言えません。
中学受験の国語における「自分のことば」とは、「素材文の文章表現を丸写ししない」という意味だからです。
決して「自分が作ったオリジナルのことば」という意味ではありません。
国語の問題を解く上で大切なのは、設問の要求に応えることです。
「運動会が中止になって太郎くんはどう思いましたか?」という気持ちを答える設問に、
「外は雨が降っていたから」と理由を答えるような自分勝手な答案では点数になりません。
設問がどういうことを要求しているかを考える必要があります。
中学受験国語における「自分のことばで書きなさい」という設問の場合、
大きく分けて2つのタイプがあります。
①「素材文の文章表現を丸写しせず、自分が考えたことを書きなさい」という意味で使われている場合
②「素材文の文章表現を丸写しせず、同じ意味の別のことばに言い換えなさい」という意味で使われている場合
一般的に「自分のことば」と言われた場合、①の方を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、中学入試においては、②の意味で使われることもよくあります。
それぞれについて、具体的な入試問題の例を出して見ていきましょう。
まずは①の自分が考えたことを書く問題です。
「つらいことにも必ずあっけないほど簡単に終わりが来るので、そのときまで一生けんめい努力するべきだ。」
というのがこちらの問題の解答例になります。
解答例の前半部分は素材文にありますが、後半の「一生けんめい努力するべきだ」という部分は素材文にないので、
文脈やストーリーから(颯太が充実感と共に試合を終える描写がこのあとの素材文にあります)
予想していく必要があります。
次に②の本文の表現を言い換える問題です。
こちらの問題の解答例は「つらいことや苦しいことがあっても、自分の力を信じて、最後までやりぬくこと」です。
「これから同じようなことがあると思います」⇒「つらいことや苦しいことがあっても」
「最後にたよれるのは、自分しかいない」⇒「自分の力を信じて」
「自分一人で最後まで歌いきった」⇒「最後までやりぬくこと」
素材文を言い換えているのが分かりますね。
「自分のことばで書きなさい」と指示があったときに、
本文の内容から予想して書くということなのか、
本文の内容を言い換えて書くということなのか、
設問の意図を考えて記述を書くと、的確な答えが出せるはずです。
それではまた。受験Dr.久米でした。