こんにちは。国上かおりです。
今回は、よくご質問を頂く内容についてお答えします。
「うちの子、途中式を書かずに困っています…」
おそらく、先生にお願いするまでではないものの、これでいいのかしら…いつもノートを見ては叱ってしまう…といったお悩みを抱えていらっしゃるお母さまも多いのではないでしょうか。
これは私自身の経験談ですが、今まで担当した生徒の中にこのような生徒がいました。
『何も書かずに、ずっと固まっている…分からないのかな…』
とヒントを出そうとしたところ、突然動き出し答えだけをササっと書き、そして…なんと常に正解をするのです!!
この生徒に「途中式を書いて解きなさい。」と指導すると、どの部分を書けばいいのか、どのように書けばいいのかといったことに気をとられ、時間が余計にかかってしまいました。よって、入試演習が始まるまでは、途中式を書くことにはこだわらずに演習量を増やすための指導を行いました。
ですが…、途中式なしで常に正解することのできるお子さんはごくわずかです。もし、お子さんとご一緒にご覧になっている場合は、お子さんがここで読むことをやめることがないよう、きちんと最後まで読むようにご注意ください…(^^)
常にという言葉がポイントです!!
私がご相談を受けた際には、お子さんに「間違えるぐらいなら、途中式を書くように!」と指導をします。各種テストにおいて、正答率10%を切る問題を正解し、正答率90%をこえる問題を間違えてしまうと本末転倒であり、高得点を狙うこともできなくなってしまいます。非受験学年のお子さんですと、ご本人よりも親御さんの方が悔しいという思いが強いのではないでしょうか。
そして、なにより!途中式を書くことには意味があります。特に不正解の際にこそ、貴重な成績伸長のための材料となります!!
どの時点で間違えて先に進んでしまったのか、なぜその過程を間違えてしまったのかをお子さん自身で分析し先にすすんでほしいのです。3年生までのお子さんですと、九九を間違えて覚えてしまっていたり、4年生以上のお子さんですと、なぜそのような解法になるのかを理解していないので間違えてしまっている…など、どの部分から解決のためにテコ入れをしていくべきであるのかを見つけることができます。
「あ~ケアレスミスだった~。次はできるから大丈夫~。」
と言うお子さんの中には、一か八かで計算をすすめていることも往々にございます。
「どちらから割ればいいのか分からないけど、こっちで!」
といった形ですすめてしまい、同じ分野の問題であるにも関わらず、テストによってできたりできなかったりとなってしまうのです。
私たち講師にとっても、どこでつまずいているのか気づき、振り返って指導をする材料となりますので、ぜひ、途中式を書く習慣を身に着けて頂きたいと思っております。
しかし…何事もやりすぎはいけません。
特に、文字もとてもキレイに書き、何事も丁寧にきっちりと行うお子さまによく見られますが…
このような計算の場合、250-1=249という式は書かなくても分かりますね。249÷3=83も不要ですね。そして、83×24=1992については筆算にて計算をしてしまいますね。
では何をかけばいいのか?何を残せばいいのか?それは…
考え方の道筋が分かるように途中式を残す
ことが大切です。先ほどの例を取り上げてみます。
このようにどの部分の計算をしたのか分かるように書くことができたら見直しの際にも分かりやすいですよね。
また、この例は計算問題でしたが、単元によっては式だけとは限らないはずです。単元によっては面積図・線分図・状況図を書くなど、考え方の過程をしっかりと残すことができればいいのです。文章も長く難しい問題ほど、基本となる図をかくことにより正解となる答えを導きだす手がかりとなっていることも多いのです。途中式・計算過程を書くことができないお子さんの多くは、分からない問題について問題用紙の計算スペースも白紙となってしまうのです。分からなくても、線分図をかく、面積図をかく、水そうの図をかくなどの各単元の基本に戻り、なにかしら考え方の過程をかけるようにトレーニングしておきましょう。
実際、お子さま自身では、どこまで書くべきであるかの線引きが難しいかもしれません。お子さま自身は、過程を残さなくても、絶対に合っている!間違うはずがない!と思っているからです。間違えてしまっても、「次はできる」と自信を持っていることがあります。「うちの子の途中式はどうなのかしら…」とご心配になった際には、ぜひお通いの塾の担当の先生に尋ねてみてください。解法の改善につながるとともに、担当の先生に今一度しっかりとお子さんの解いている姿を見てもらう良い機会となります。
考え方の過程を残すことにより、その単元の理解の度合いをはかることができます。理解ができていなければ、早めに解決し、いつの間にか分からない単元が溜まってしまうということも防げるのです。
できるだけ早い時期に、考え方の過程を残すことができるよう習慣づけておくことが、成績を伸ばす第一歩となります。