みなさんこんにちは。
受験ドクターの桑田陽一です。
夏休みもいよいよ残すところ1週間ですね。
5年生は、この夏休みに初めて比を習ったという人もたくさんいるはずです。
皆さんが比を習いたてであるこの時期、今回は「比例感覚」についてお話しします。
4年生以下にも6年生にも役に立つ部分があると思いますので、参考にしてくださいね。
さて、「比例感覚」とは?受験算数(そして理科)を良い形で学んでいくために、大変重要な感覚です。
今回も、簡単な例題を通してお話ししていきます。
例題1
次の□にあてはまる数を求めなさい。
2:3=□:6
この問題で与えられているような、2つの比が等しいことを表す式を「比例式」と言いました。
比を習っていれば、これは簡単だという人が多いでしょう。正解は4です。
正解できましたか?しかし、正解できたからといって安心してはいけません。
正解を得るために、頭の中でどのような動きをしたでしょうか?
「外項の積=内項の積」を使って、2×6=3×□から求めた人がいたとすると、ほんの少しだけ心配になります。もしかして、機械的な解法暗記に走っていないかな?と…。
比例とは、「xが2倍、3倍…になると、yも2倍、3倍…になる」ような関係のことでした。
比例式の問題では、2つの比を縦に並べたようなイメージを持って、それぞれが何倍になっているかに注目するのが「比例感覚」を持った思考です。上の例では、後項が3→6と2倍になっていますから、前項も2倍になっているはずで、□=2×2=4と求めます。
非常に単純な例ですが、このように「比例関係」にこだわっていくことが、受験算数を極めるコツなのです。
例題2
はるかさんは、12分で900m歩きました。はるかさんの時速を求めなさい。
比ではなくて、速さの問題ですね。
あまり難しくはないはずです。速さ=道のり÷時間ですから、900m÷12分から求めても良いのですが…。
今回求めたい「時速」とは、「1時間で進む道のり」のことですね。
「12分で進む道のり」が900mと与えられていて、1時間は60分ですから12分の5倍です。ということは…。
こんな関係になっていて、900m×5=4500m=4.5kmより、時速4.5kmと求めることができます。
実は、前回の「公式を覚えるな?」でも、速さを題材にさりげなく「比例感覚」に触れていました。公式を「腑に落とす」ためにも、「比例感覚」は重要です。
例題3
5%の食塩水300gに含まれる食塩の量は何gですか。
今度は、割合の論点の1つ、食塩水の問題ですね。
こちらも基本的です。正解は15g。合っていましたよね?
さて、どう考えたでしょうか?
300g×0.05=15gという式を立てたみなさん、決して悪くありません。ほとんどの人がそう求めることでしょう。
「比例感覚」で考えるとどうなるの?と思ってくれた人、ありがとう。嬉しいです。
5%とは、「100分の5」。
すなわち「食塩水100gあたり5gが食塩」だということです。そんな割合で食塩を含むような食塩水が300gあるということは…。
食塩水全体の重さが、100g→300gと3倍になっているので、食塩の量も3倍になっているはず。すなわち、食塩の重さは、5g×3=15gと求まります。
えー、ちょっと不自然じゃない?と思いましたか?
しかし、私の経験上、受験算数が本当に得意な子は、複雑な問題を解きほぐしていく過程で、一つ一つの数値を求めるときには、こんな思考であることが多いのです。
また、「比例感覚」は算数のみならず、理科の計算問題、特に化学の各分野でも、計算の省力化に強烈な効果をもたらします。機会を改めて、具体的に紹介します。
さて、基本的な問題3つのみの短い記事でしたが、読んでみて、思考が良い方向に変わった気がする人がきっといるはずです。
そんな人は、ぜひ今後の勉強で「比例感覚」にこだわってみてください。算数の問題を解くときの見通しが、必ずや晴れてくるはずです。