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投稿日:2016年09月24日

テーマ: 算数

中学受験算数の「定石」

みなさん、こんにちは。

受験ドクターの桑田陽一です。

 

子供のころから「ボードゲーム」が好きでした。

 

サイコロを使うような運が絡むゲームもそこそこ好きなのですが、どちらかというと、将棋や囲碁のように、純粋に思考だけを競うようなゲームが好みです。

 

残念ながら、将棋や囲碁は、あまり強くなれず、現在では観戦専門なのですが、唯一「オセロ」はそこそこ強くなることが出来まして、かつて全国名人戦でベスト4とベスト16の経験があります。

 

受験算数とオセロの上達には、共通点がある気がしています。

本日は、そんなお話を。

 

オセロや囲碁、将棋などには、ゲームの初め、序盤戦を「このように打っていくのが良い」と先人たちによって研究された決まった進め方があって、「定石(定跡)」と呼ばれています。

 

「物事を行うときに良いとされる決まった方法」のような意味で、一般にも使われる言葉ですね。

 

中学受験を語る文脈の中でも、例えば「算数の定石」のような使われ方をすることがありますが、これはもともとは囲碁から来た言葉なのです。

 

オセロって、ルールが単純なので、家族で気軽に遊べるゲームというイメージが強いかと思います。しかし、競技として立派に成立するくらい、なかなか奥が深い…。

 

「オセロを競技としてやってみよう!強くなろう!」と決意したとすると、まずは定石手順を覚え、ゲームの序盤のうちはその通りに打つという練習をする必要があります。

 

ゲームが進んでいくにつれ、いずれは覚えている局面から外れて未知の局面になりますが、そこからは読みを駆使し、最善の手を発見しようという思考がぶつかり合うことになります。

 

序盤は記憶、それ以降は思考の勝負。

 

記憶と思考のバランスが大切で、どちらに偏ってもいけません。

すべての局面での最善手順を最後まで覚えておくなんてことは不可能です。かと言って、最初から全てを自己流で考えてもなかなか上達しません。

 

っと、オセロのことばかり語ってしまうところでした…。

 

本題。

中学受験の算数の勉強においても、記憶と思考のバランスは非常に重要です!

 

算数の全ての問題パターンを暗記しておくなんて、無理ですよね。算数は決して暗記科目ではなく、自分の頭で思考することが大変重要なのは言うまでもありません。

しかし、記憶しておくべき「算数の定石」と呼べるものがあるのも事実なのです。

 

では「算数の定石」として覚えておくべきこととは、いったい何でしょうか?

 

単元ごとに、問題を読んだら「初めに何をするか」をはっきりと決めておくことです。

「初めにすること」だけは、考えなくとも頭に浮かぶというような感覚を目指して、覚えてしまうのです。

 

速さの問題ならば、一定の方法に従って状況図やダイヤグラムに整理しますね。

つるかめ算ならば、面積図に整理をするのが分かりやすいと感じる人もいれば、「すべてを片方にそろえてから、実際との差を考える」という根本原理を意識しながら、情景図や式で考えるのが好みの人もいることでしょう。

仕事算なら、仕事全体の量を1や最小公倍数に設定した後で、まずは1日(1時間、1分…)あたりの仕事の量を求めますね。

流水算では、「静水時の速さ」「上りの速さ」「下りの速さ」「流れの速さ」の4つの要素のうち、どれが分かっていて、どれが分かっていないのかを整理するのが良いでしょう。

 

問題の条件を整理するのに、どんな図や表を書くか。

問題の条件のうち、意識して整理すべき要素にはどんなものがあるか。

 

しかるべき図や表に、必要な要素を整理することが出来たなら、その後はまさに思考の勝負です。

「○○算ではこんな形に整理して、その後は自分の頭で考えるんだ!」というイメージを、多くの単元で確立していきましょう。

 

受験算数のカリキュラムの学習が進行中である5年生以下の皆さんは、これから新しい単元を学ぶたびに、「結局この単元の問題では、初めにどのように問題を整理するのが良いのだろう」という意識を持ちながら、毎週の勉強に取り組んでください。

 

総合演習、過去問演習に取り組みつつある6年生も、この時期にはまだ、週ごとに見れば決まったテーマに沿った問題を演習する機会が多いはずです。

自分にとっての「定石」が確立しているかどうかを確認しながら、演習を進めると良いでしょう。

 

一人ひとり、例えば速さならば「状況図が好き」なり「ダイヤグラムの方がやりやすい」なり、好みがあるはずです。したがって、どんな生徒にとっても唯一絶対である「定石」があるわけではありません。

 

しかし、自分自身の中には「○○算の最初には、こうする」という「定石」を固めることを意識して学習に取り組んでください。

 

そして、願わくば、ゲーム感覚で受験算数を楽しみながら上達していきましょう!

算数ドクター