こんにちは。受験ドクターの桑田陽一です。
今回は、図形問題の勉強法をテーマにお話しします。
図形の勉強をするときには「自分の手で図を描く」ことが大切だ、と言われることがあります。
テキストやプリントに印刷された図を使って問題を解くのではなく、まずはノートに自分の手で図を描いて考えましょう、という感じですね。
でも、図形問題を解くときに、いつでもどこでも何でもかんでも無条件に図を描けばいいというものでもありません。
例えば、制限時間のあるテストのときには、原則として問題用紙に印刷された図を使うべきでしょうし、過去問演習もそれに準じます。
「自分で図を描こう」というのは、あくまでも普段の勉強中の話になりますよね。
それにしても、先生の指示を何でも守るまじめなタイプのお子さんですと、明らかに図を描く必要のない非常に単純な問題でも、真っ正直に図を描いていることがあります。
あるいは、いざ図形問題と見るや、頭を働かせることもなく、まずは機械的に図を写し始めてしまうお子さんも見かけます。
どちらも、あまりよろしくないですね…。
確かに、図形の勉強において「自分で図を描く」ことには大きな意味があります。
では「自分で図を描く」べきタイミングとは?
実は、意外とはっきりしています。
それは、「問題に与えられた図に書き込みをしたいと思ったとき」です。
模擬試験や入学試験など、テストの問題用紙ではそうでもないのですが、一般に、通常の勉強に使うテキストやプリントに印刷されている図は、問題を解くのにそのまま使うには小さすぎることが多いのです。
問題がある程度以上に複雑で、図に書き込みをして考えたい場合には、ノートに自分の手で図を写し、写した図を使って考えましょう。
逆に、単元学習の初めに取り組むような、図を見ただけで式が立てられる程度の基本問題では、図を写す意味がありません。
あるいは、問題を読んだ後に少し考えを巡らせ、図に書き込みをすべきかどうかの判断をするステップを踏まぬままに、いきなり図を写しはじめるのもよろしくないことになります。
図を写す理由の大きな一つは、書き込みをするためなのです!
ということは、それなりの大きさで描かなくては意味がありませんね。
ノートの横幅をいっぱいに使うつもりで描くくらいがちょうど良いでしょう。
ところで、少し図形問題が上達してくると、「書き込みをしたくなったら図を写す」というルールにしておくことによって、ちょっと変わったメリットも生まれます。
「出来れば図に書き込みしたいが、書き込まなくても解けないことはないかもしれない」というレベルの問題にあたったときに、「図を写したくないから、書き込みせずに頑張って頭の中だけで処理してしまおう」という心理が、お子さんの脳内で働くことがあります。
「大事な勉強をしているのに、そんな面倒くさがり方はダメじゃないか!」と思われるかもしれません。
しかし、このこと自体は、決してそんなに悪いことではないのです。
自分のレベルを少しだけ超えている問題を、敢えて頭の中だけで処理してみるという練習は、図形問題に限らず、算数の力をつけるのに大変有効です。
要は、頭の体操になるわけです。
仮に、そのせいで間違えたとしても、テストや入試本番というわけではなく、力をつけるための勉強中なのです
から気にすることではありません。
もっとも、面倒がりのせいで、書き込みしなくてはどうしようもない問題でも、図を写さずに何とかしようとするケースもありますので、その辺りには注意が必要です。
注意ついでにもう1つだけ。
図を描く・写すときには、フリーハンドが大原則です!
定規やコンパスで丁寧に書いていたら遅い!ということもありますが、最も大きな理由は中学入試の本番で、定規やコンパスを使えない学校がたくさんあるからです。
中学入試の練習として算数を勉強しているのですから、本番で使えないツールを練習で使うわけにはいきませんね。
4年生以上になったら、中学受験算数の勉強中に定規やコンパスを使うのは、作図の問題を解くときだけです。
え、どうせ試験中には問題用紙に印刷されている図を使うのだから関係ない?
いえいえ、実は試験中にも自分で図を描くべき場面はしばしばありますし、勉強中に自分で図を描くべき理由は、印刷された図の大きさの問題だけだというわけではなく、もう少し深い理由もあります。
次回は、その辺りのお話の予定です。
唐突に、今日の一句。
書き込みを したくなったら 図を写せ