こんにちは、受験ドクターの桑田陽一です。
今回は前回の続きとして、図形問題において「自分で図を描く」ことについての話を進めます。
前回、図形の問題の勉強中には「図に書き込みをしたくなったら図を写す」のが原則だというお話をしました。
しかし、ただ漫然と図を写せばよいというわけではありません。
例題(?)
図の四角形ABCDは平行四辺形です。
BCの真ん中に点Eを取り、AD上にAF:FD=2:1となるような点Fを取りました。
EFとCDの交わる点をGとします。
このとき、次の問いに答えなさい。
(問は省略!)
こんな問題文があったとします。多くのお子さんは図に書き込みをして考えたいでしょうから、図を写すことにしましょう。
おそらく、問題文といっしょにこんな図が印刷されていることでしょう。
さて、この図をノートに写そうというその時。
図だけに目をやって、絵を模写するような感じで写していては、あまり意味がありません。
図を写すときの大原則は、「問題文を読みながら写す」ことです。
「図の四角形ABCDは平行四辺形です。 」を読んだ上で、
まず、ここまでを描きます。
「BCの真ん中に点Eを取り、」を読んだら、
問題文通りに点を取って、比も書き込んでおきましょう。
同様に「AD上にAF:FD=2:1となるような点Fを取りました。」とあるので、
こうします。
最後に「EFとCDの交わる点をGとします。」という問題文にしたがって、
これで完成。
このように、問題文を読みながら順を追って描いていくことが大切です。
大人にとっては、「当然だ!」と思われるかもしれませんが、注意しておかないと、往々にして図だけを注視して、単に形を写しているお子さんが多いのが事実です。
逆に、きちんと手順を追って図を写していると、「この点はだいたいこのあたりで交わりそうだ」とか「この三角形はおそらく二等辺三角形だ」というような感覚や発見が得られることがあります。それが、問題解決の大きなヒントになることも多く、問題演習を繰り返している中で、知らず知らずのうちに図形感覚が磨かれることになるでしょう。
さて、前回も少しだけ触れましたが、自分で図を描いて考えるのは、普段の勉強中のことです。テスト中には時間制限もありますから、原則としては、素早く解くために問題の図を利用しても構いません。
しかし、テスト中であったとしても、自分で図を描くべき場面があることには注意をしておいてください。
最も重要なのは、小問ごとに問題の状況が異なっている場合です。
たとえば、(1)では「AP:PB=1:1のとき…」とある条件が、(2)では「AP:PB=3:1のとき…」と変わっていたならば、
(2)を解くときに新しく図を描き直す必要がある可能性大です。
このように、小問ごとに図を描くべきケースは、「動点の問題」すなわち「図形の上を点PやQが動く」ような設定の問題で、非常に多く見られます。
そんなとき、中には(2)を解くために(1)で書き込んだ線を消しゴムで消してから書き込み直している生徒がいます。それこそ時間がもったいない!消しゴムで消すよりも、新しく描いたほうが早いと思える程度には、普段の学習で図を描く経験を積んでおきましょう。
まとめ
● 問題に与えられた図を見ながらではなく、問題文を読みながら図を描きましょう。
● 小問ごとに状況が異なるときには、それぞれ図を描きましょう。