みなさんこんにちは。受験ドクターの桑田陽一です。
それにしても、暑い日が続きますね…。
集団塾では、そろそろ夏期講習も前半が終了といったところでしょうか。
お盆休みに入り、5年生以下のみなさんは、ほっと一息ですね。
中学受験生にとって大切な夏休みとは言え、勉強にはメリハリも大切です。
息抜きもしっかり、楽しんでくださいね。
6年生の中には、塾の休み中も課題に追われることになりそうな人もいるかもしれません。
受験ドクターの先生も頼りにしながら、頑張っていきましょう!
さてさて、本日はダイヤグラムのお話。
受験算数でダイヤグラムと言えば、「速さのグラフ」のことです。
速さの問題を解くとき、問題の条件を整理するために図を描くことがありますね。
こんな感じで、線分の上に道のり・速さ・時間の情報を整理することがあるでしょう。
「状況図」と呼ばれることが多いようです。
あるいは…、
こんな風に、グラフの形に整理したものが「ダイヤグラム」と呼ばれています。
さて、状況図とダイヤグラム、どちらを描くのが良いでしょうか?
生徒のみなさんごとに、好みもあるかもしれません。
今回は、速さの問題を見たときに、状況図にしようか、ダイヤグラムにしようかを選択する場面で、少し意識してみてほしいことをお話しします。
ダイヤグラムは、人物の動きが単純な場合に、より有効な道具です。
一定の速さで、同じ動きを繰り返しているだけのような場合が典型的。
具体的な設定で見てみましょう。
直線の道で結ばれた2地点PとQがあります。
太郎くんはP地点、次郎くんはQ地点を同時に出発し、それぞれ一定の速さでPQ間を繰り返し往復します。次郎くんは途中で太郎くんと3回出会った後、ちょうどB地点に着いたときにはじめて太郎くんに追いつきました。
設問は、あえてつけずにおきます。
こんな設定の問題をダイヤグラムに整理するとしたら、どんな手順になるのか。
いろいろあるダイヤグラムの利点のうち、あまり意識されることが多くない点の1つに、「動きが単純な問題では、1人目のグラフは考えず描くことが出来る!」ということがあります。
どういうことでしょうか?
まずは、このようにダイヤグラムの枠を用意します。
では、太郎くんの動きから書き込んでみましょうか。
この時点では、さてどうしよう…と、考える必要はありません!
太郎くんはP地点を出発して、一定の速さでPQ間を繰り返し往復するのですから、とりあえずこんな風に書き込んでしまえば良いのです。
この後、2人目を書き込むところからは、少し頭を使っていく必要があります。
次郎くんは、そのうち太郎くんに追いつくのですから、太郎くんより速いはずですね。
太郎くんより急な傾きになるように注意をして線を描くと、まず1回目の出会いがありました。
続けて描いていきましょう。
2回目の出会い。
よし、これで3回目の出会い!と思いきや、グラフの形から、これは追い越してしまっていますね。
次郎くんの動きがやや速すぎたようです。少し遅めに調整してみましょうか。
傾きを少し緩やかにして…
この位置で交わらせれば…
無事に、「3回出会った後にQ地点ではじめて太郎くんに追いつく」という状況を表すことが出来ました。
このように、2人目以降の線を描くときには、そこそこ気をつかう必要があるのですが、真っ白なキャンバスに1人目の線を描くときには、あまり考えなくて済むのが、ダイヤグラムの大きな利点の1つです。
状況図では、こうはいきません。
2人の動きを同時に考えつつ、どのあたりで出会ったり追い越したりするのか、常に頭を働かせながら描く必要があります。
実際、この問題を状況図に整理しようとすると、相当に骨が折れることでしょう。
もちろん、状況図よりダイヤグラムが常に優れているわけではありません。
状況図は、描くのには骨が折れても、一旦描けてしまえばその後はダイヤグラムより楽なことが多いという利点もあったりしますが、そのあたりはまた別の機会に。
・動きそのものは単純だという問題でこそ、ダイヤグラムはより威力を発揮します。
・1人目は 考え込まず 描きましょう