こんにちは、受験ドクター算数科の桑田陽一です。
9月のブログをお届けします。
酷暑の夏でしたが、9月も半ばを過ぎ、さすがに秋を感じる日が増えてきました。
受験生のみなさんにとってはもちろん、5年生も毎週の学習内容の難度がグッと上がる大切な時期を迎えています。ペースを守って頑張っていきましょう。
さて、前回は「ひらめきに頼らない図形問題~導入編」と題してお送りしました。
その最後に、
「円の弧で作られた図形の面積を求める問題では、その弧が作るおうぎ形を意識すること」
こんな視点をお伝えしたところでしたね。
今回は、ここをもう少し掘り下げて見てみようと思います。
例題1?
影の部分の面積を求める問題だとします。
どのように方針を立てるでしょうか?
思いつくままに線を引いてみたら出来た!というのでもいいのですが、しっかり手順を踏んで考えることもできます。
まず、影の部分は何本の線で囲まれているでしょうか?
そう、3本ですね。色分けしてみましょう。
このように、赤い弧と青い弧と黒い弧の3本で囲まれていることを確認して下さい。
さて、弧で囲まれている以上、その弧が作る「おうぎ形」を考えなくては面積の求めようがないはずです。そこで今度はそれぞれの弧の中心に当たる点を意識してみましょう。
弧の色に対応した点がそれぞれの弧の中心です。黒い弧からはすでにおうぎ形が出来上がっていますが、赤と青の弧はまだおうぎ形になっていませんね。
そこで、弧の端の点と中心とを結び、おうぎ形を作ります。
こうしてみると、影の部分の面積を求める方針もはっきりしてきたのではないでしょうか?
白いままで残っている部分は正方形ですね…。
全体のおうぎ形の面積から、青と赤のおうぎ形の面積、さらには黒い正方形の面積を引くと、影の面積が求められますね。
このように、円の弧で囲まれた図形の面積を求めるとき、「ひらめき」で方針が浮かばなければ、手順を踏んで考えることで、自然に方針が得られるのです。
1)影の部分を囲む線が何本あるかを確認。
2)そのうち、弧である線について、中心の位置を確認。
3)おうぎ形が出来ていなければ、おうぎ形を作るように中心と弧の端を結ぶ。
4)出来た図を見て方針を考える!
もう1つ見てみましょう。
例題2?
同じように、影の部分の面積を求めるために、どう方針を立てるのが良いでしょうか?
1)影の部分を囲む線の本数は2本です。
このように、赤い弧と黒い直線で囲まれています。
2)赤い弧の中心の位置を確認します。
この点ですね。
3)赤い弧からおうぎ形が出来ていないので、弧の端と中心を結んでおうぎ形を作ります。
4)この図で方針を考えてみると…。
このように、先ほど作った赤いおうぎ形から黒い三角形の面積を引いて求めるのが良さそうです。
黒い三角形の面積をどう求めるのかは、他に与えられた条件次第ですが、今回の話の本筋ではないのでここでは省略します。
さて、ここまでの話を踏まえ、最後にきちんとした問題を1つ出しておきましょう。
問題
下の図は、半径6cm、中心角90度のおうぎ形の中に2本の直線を引いて作った図形です。
弧の上の点は、弧を3等分する点です。
影の部分の面積を求めなさい。ただし円周率は3.14とします。
シンプルな形ですが(?)、この時期の6年生でもなかなか難しいかもしれません。
ひらめけば、それも良し。ひらめかなかったら、まずは手順にしたがって考えてみて下さいね。
少し長くなりましたので、今回はここまで。
次回、解説編とまとめをお送りします。