みなさんこんにちは、受験ドクターの桑田陽一です。
9月の講師ブログをお送りします。
今回は、テスト中の「見直し」の話。
今回の「見直し」とは、テストが終わった後にする「復習」のことではなく、テスト時間の中で、一度解いた問題をもう一度解き直して確かめることです。
テストを受けるときには「見直し」が大切だと言われることがあります。
確かに、最後まで解き終わってもまだ時間が余っているならば、残りの時間はぼうっとしているのではなく、はじめに戻って見直すべきですね。
「テストの最後5分は、見直しに充てよう!」というのような受験テクニックを聞いたことのある受験生もいるでしょう。
でも、実は、中学受験算数において、テスト中の「見直し」はあまり重要ではないのです!
「え?」と思われた方は、ぜひ最後までお付き合いのほどを。
そもそも中学受験算数では、大きなテストや入試本番で「時間が余る」ということはほとんどありません。
あるとすれば、実力に比べてかなり易しいテストを受けているときに限られます。
教科書レベルの出題が中心の公立高校入試とは違い、中学入試の算数では「見直し」の時間など、最初からないものとして考えるべきなのです。
では、テストはどういう心構えで受けるべきか?
実力相応のテスト本番では「見直し」の機会などないと考え、「最初から一発で正解できるスピードで慎重に解く」ことです。
昔、『「トレードオフ」を考える』という記事を書きました。
こちらを立てればあちらが立たない、そんな関係のことを「トレードオフ」の関係と言います。
算数の問題を解くとき、「スピード」と「正確さ」は明らかにトレードオフの関係にあります。
速く解こうとすれば、それだけミスをする可能性は高まるでしょう。
だらだらと解くのはだめですが、集中して慎重に取り組めば、速く解くよりも正確です。
現代の中学受験生の多くは、「スピード」に寄りすぎています。
おそらく、「とにかくすべての解答欄を埋めなければ!」とか、「後半の難問になるべく多くの時間を残そう!」などの思いがはたらくのでしょう。
前半の確実に取るべき問題で、スピードを出しすぎているのです。
いつもなら出来るはずの問題なのに、テストになると前半でポロポロと落としてしまうことが多いという受験生は、スピードの出し過ぎが原因になっているかもしれません。
そんな受験生が意識すべきことはたった1つ。
「これは出来る!」と思った問題こそ、絶対に正解できるというスピードまで落として、慎重に解くことです。
後半の問題に取り組む時間がなくなることが心配になるかもしれません。
しかし、仮に最終問題に充てられる時間が10分から3分に減ったとしても、偏差値・得点アップのためには、前半での取りこぼしを減らすことの方がはるかに重要です。
私の個別指導の中で、ミスの多い受験生には、「スピードの出し過ぎ」に注意するよう意識させた上で、大問ごとに時間を計りながら初見のテストを解いてもらうことがあります。
そうしてみると、慎重・正確を意識して解いてみても、実は使う時間は思ったほどには長くならない場合も多いのです。
6年生は、これから過去問への取り組みが本格化する時期。
もちろん時間を計りつつも、「スピード注意!」を意識して臨みましょう。
なお、テスト中の「見直し」ではなくて、テストや過去問を終えた後の「復習・解き直し」は、言うまでもなく大変重要です!
そこは、しっかりじっくりと取り組みましょうね!