受験ドクターの桑田陽一です。
10月の講師ブログをお送りします。
スポーツのトレーニングの世界には、「意識性の原則」という考え方があるそうです。
トレーニングを行うときには、それがどんな意味を持っているのかを理解し、意識しながら行う方が効果が高いということ。
例えば、筋トレ。
同じバーベルを上げ下げするのでも、どこの筋肉を鍛えて、どんな能力を高めようとしているのかを意識しながらトレーニングするのと、ただ何となくやっているのでは、確かに効果がずいぶん変わってきそうですね。
そして、この考え方には勉強にも通じるところが多々ありそうです。
例えば、計算練習。
「塾の宿題として毎日やることに決まっているから」というだけで、ただ取り組むのでは効果は薄い…。
そもそも、計算練習を通じて何を鍛えるべきかは、お子さんの状況によって違います。
計算ミスが多いお子さんであれば、もちろん「ミスを減らす」ことが重要な課題。
一方、比較的正確に計算できるもののスピードに難があるというお子さんは、「スピードをつける」練習として取り組むことになるでしょう。
さらには、同じ「ミスを減らす」のであっても、易しい計算でもミスをしてしまうのか、複雑な計算になったときにミスが増えるのか?
状況によって取り組むべき計算問題も違えば、取り組むときにお子さんが意識すべきことも違ってきます。
計算練習1つ取っても、どんなレベルの問題にどのようなことを意識して取り組むべきなのか、きちんと考えなければなりません。
苦手単元の克服でもそうですね。
例えば「相似」が苦手だというお子さん。
単に相似の問題を拾ってきて、ひたすら演習するのではあまり意味がありません。
一口で「相似」といっても、さまざまなパターンや根本原理が含まれています。
その中から、「平行四辺形や台形の絡んだ面積比での着眼点を鍛える!」のような目的を具体的に設定し、それに即した問題演習を行うことが重要です。
取り組む本人も、単なる問題演習ではなく、「今回はこのテーマを鍛えるために演習するんだ!」と意識をしながら進めると効果が得やすくなるでしょう。
中学受験生は4科にわたってやるべきことが多く、家庭では、ついつい流れ作業的な勉強になりがちです。
しかし、重要なポイントになりそうなところでは、「何を鍛えるためにこの勉強をするのか?」を意識してから進められると良いですね。
「自分がいま何を鍛えるべきか?」や「このテーマを鍛えるためにはどんなトレーニングに取り組むべきか」が家庭では分かりづらいこともあるでしょう。
スポーツ選手にはトレーナーが付いているように、通塾生はぜひドクターの先生に相談してくださいね!
ところで、トレーニングの世界には「意識性の法則」のほかにも、「個別性の原則」「漸進性の原則」「反復性の原則」など、勉強にも応用できそうな考え方がいろいろとあるようです。
機会があれば、改めてご紹介しますね!
今回はここまで!