みなさんこんにちは、受験ドクターの桑田陽一です。
10月の講師ブログをお届けします。
今回は、「逆比」について。
5年生向けですが、6年生にも参考になるかもしれません。
5年生の多くは、夏期講習で初めて「比」を学び、後期に入って、図形・速さなどの分野に比を応用する解法に触れているところです。
そんな中、いろんな分野に「逆比」を使った解法が出てきます。
「逆比」を使える問題にはどんなのがあったっけ…?と、そろそろ混乱し始める5年生が見受けられるころ。
まずは、「逆比」の考え方を使うのはどんな場合なのか、基本を再確認しておきましょう。
実は「逆比」の本質とはただ一つ。
「積が一定の場合」には「逆比」が使える!
たったこれだけです。
「そんなことは分かっているよ!」という人は、きっと安心。以下の話は易しいかもしれませんが、もし良ければ確認のために目を通してみてください。
「え、そんなの初耳!?」という人、そこそこいるのではないでしょうか。今後の学習での混乱を避けるためにも、ここで考え方を整理しておきましょう。
下の図のように、面積の等しい2つの長方形があって、横の長さの比は1:2になっています。
縦の長さの比はどうなっているでしょうか?
これは、簡単!という人が多いでしょうか。下のように、横の長さの比を入れ替えて縦の長さの比を2:1にしてやれば、1×2=2×1=2で面積が等しい長方形になります。
1×2=2×1に限らず、2×3=3×2でも4×7=7×4でも同じこと。横が2:3なら縦は3:2、横が4:7なら縦は7:4ですね。
いずれも、「たて×横」の積で表される「面積」が等しいので、「たての比」と「横の比」が逆比になっています。
「積が一定」だから「逆比」。
この例は簡単ですが、逆比を使う問題の本質はすべてこれと同じことなのです。
比の学習が始まったころに触れたはずの問題です。
式の形からすぐ分かるように、「積が一定」なので、「逆比」にしてA:B=3:4ですね。
文の表現が例2と変わっただけで、式で表せばA×2/3=B×3/4ということですね。積が等しくなっているという式の形は、例2と同じです。
というわけで、やはり逆比が使えます。
2つの数値を入れ替えてA:B=3/4:2/3=9:8としてもよいですし、2/3、3/4をそれぞれ分母と分子をひっくり返した逆数にして、A:B=3/2:4/3=9:8と求めることもできます。
文章で表されると、なぜか逆比にしないで2/3:3/4=8:9としてしまう人も多いので注意しましょう。
塾によってはこれから習う5年生もいますが、簡単な例題はこんな感じ。
「家から学校までの道のりを、兄は15分、弟は20分で歩きます。兄と弟の速さの比を求めなさい。」
家から学校という同じ道のりを進むので、(兄の速さ)×15分=(弟の速さ)×20分=(道のり)と、積が一定の式で表すことができます。
よって、兄の速さと弟の速さは逆比を用いて、20:15=4:3となります。
これから進む学習の中でも、逆比を用いる解法はたくさん出てきます。
そもそも、算数や理科の世界では、A×B=Cという形の式で表せる関係が実に多くあります。
A×B=C
たて×横=面積
速さ×時間=距離
平均×個数=合計
食塩水×濃度=食塩
水の重さ×水の温度変化=熱量
などなど…。
こんな形の関係が成り立っているとき、=の右側にあるCが一定ならば、=の左側にある2つの数値AとBが逆比の関係になるというのが、逆比のココロ。
逆比を使う問題が出てきたときには、単にそのまま解法を覚えようとするのではなく、「何と何の積が一定になっているか?」を確認するように、心がけていきましょう。
今回はここまで。