みなさんこんにちは。受験ドクターの桑田です。
今回は、「中学受験生でも解ける!?東大入試数学2022年版」と題してお送りします。
2022年2月25日(金)に行われた、東京大学入学試験の数学から1題、中学受験生にも理解できるように問題の表現を大幅に変えつつも、問われている内容はなるべくそのままとなるように紹介します。
図1のように、同じ大きさの正三角形をしきつめた形がずっと広がっています。
また、図2のように、中心に針を取り付けた円盤があります。円盤を3等分する方向を、図のように㋐、㋑、㋒とします。はじめ針は㋐の方向を向いていますが、回転させて㋑や㋒の方向にも向けることができるようになっています。
図1の点Oに駒を置き、コインを繰り返し投げて、以下のような操作をします。
コインの表が出たとき→図1の駒を、図2の針が向いた方向に1マスだけ動かす。
コインの裏が出たとき→図2の針を反時計回りに120度だけ動かす(図1の駒は動かさない)。
このとき、次の問いに答えなさい。
(1)コインを5回投げたあとに、駒が点Oにあるようなコインの表裏の出方は何通りありますか。
(2)コインを8回投げたあとに、駒が点Oにあるようなコインの表裏の出方は何通りありますか。
東京大学で出題された元の問題は、高校で学習する数式を使って記述されていて、はるかに複雑な表現になっています。
解くためには、まずはその数式を理解し、上記のような意味の問題だと読み替えるところに第一関門があリました。
もちろん、その部分は小学生にはまだ難しいので、内容を変えずに中学受験生にも理解できる表現に書き換えたのが、上の問題です。
さて、上の形であれば「ちょっと、考えてみようかな?」と思える人も多いでしょう。中学入試に出題されてもおかしくないレベルです。
少なくとも(1)は、ていねいに調べれば難しい問題ではありません。
解説の前に、自力で考えたい人はここで読むのを止めてやってみましょう!
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(1)
ヒント→駒が動くのは表が出た場合のみです。5回のうち表が出る回数として考えられるのは、何回でしょうか?
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コインの表が出る回数として考えられるのは、①0回、②3回の2通りです。駒が1回だけ動くとか、2回だけ動いて、点Oにいるということはありません。
さて、①の0回の場合。
このときは、図2の針が回り続けるだけで、駒はずっと点Oにありますね。
このようになるコインの出方は、「裏裏裏裏裏」の1通りだけです。
②の3回について。
「駒が動くことは動いたけれども点Oに戻る」というのは、5回以内の範囲で考えると、図2の㋐、㋑、㋒の方向にそれぞれ1回ずつ動くという場合しか考えられません。
そのようなコインの出方を考えてみましょう。
裏が1回出るごとに駒の進む方向が変化することから、表3回、裏2回が出て㋐,㋑,㋒の方向に1回ずつ進むのは、「表裏表裏表」の順に出る場合の1通りしかありません。
このような順に出れば、はじめの表で㋐の方向に、次の表で㋑の方向に、最後の表で㋒の方向に動き、確かに点Oに戻ります。
よって、①の場合の1通りと②の場合の1通りを合わせ、(1)の答えは2通りとなります。
さて、(2)の解説編は次回に。中学入試レベルとしてはやや難しいと思いますが、意欲のある人は考えてみてくださいね!