みなさんこんにちは。受験ドクターの桑田です。
今回は、算数の食塩水についてお話しします。
食塩水の問題を解くための解法ツールは、ざっくりと言えば2つあります。
①食塩の量や食塩水全体の量を1つ1つ計算して求める。
②面積図やてんびん図を使う。
さて、みなさんは食塩水の問題を解くときに、これらをどのように使い分けているでしょうか?
わたくし桑田のおすすめを先に言うと…
「基本は①で。ただし、②でしか解けない問題は問題を読んだ直後に判別して②で。」
という感じになります。
食塩水なら何でもてんびん図で解いている!という人もいるかもしれません。
本当の基本問題であれば、それでも対応できるのですが…。
少し難しくなって、例えば複数の食塩水をやり取りするような問題では、いずれにしても食塩の重さと全体の重さを整理する作業が必要です。
「何でもてんびん!」というのは、複雑な問題への応用が利かなかったり、実は簡単な問題でも計算ミスが出やすかったり。
基本的には、地道に食塩の量を求めて計算。でもそれで解けない問題だったら、仕方ないから面積図やてんびん図を描く、という方針を私はおすすめしています。
で、ここで問題なのは「面積図やてんびん図でしか解けない問題をどう判別するか」というところですね。
ふだんから①と②を併用している人も、問題を解き進めつつ、途中で必要そうだったら図を描いてみる、という感じがほとんどだと思います。
でも、実は、食塩水で面積図やてんびん図を使うべき問題を見分けるのは、とても簡単。問題を読んだ直後に判別できるのです!
ちょっと例題を見てみましょう。
(1)5%の食塩水300gに水を何gか加えたら、3%の食塩水ができました。加えた水の重さは何gですか。
(2)5%の食塩水300gにある濃さの食塩水を200g加えたら、9%の食塩水ができました。加えた食塩水の濃さは何%ですか。
(3)5%の食塩水300gに10%の食塩水を何gか加えたら、7%の食塩水ができました。加えた食塩水の重さは何gですか。
この中で、面積図やてんびん図を描く必要がある問題はどれなのか5秒で分かりますか?
問題を解いてみなくても、図を描くべきかどうかだけだったら、ちょっと読むだけで分かります!
その基準とは?
「食塩水の重さ」を求める問題では図を描く!
たったこれだけ。
そう、たったこれだけですが、「食塩水の」「重さを求める」という2つの条件を含んでいることに注意してください。
改めて例題の3つを見てみましょう。
(1)で求めるのは、「水の重さ」です。食塩水の重さではないので、必ずしも図は必要ありません。
実際、
最初の食塩水に入っている食塩は300g×5/100=15g
→水を加えただけなので、できた食塩水に入っている食塩も15g
→よって、できた3%の食塩水の重さは15g×100/3=500g
→したがって、加えた水の重さは500-300=200g
と、計算だけで求められました。
(2)で求めるのは、「食塩水の濃さ」。やはり食塩水の重さではありません。
こちらも、
最初の食塩水に入っている食塩は300g×5/100=15g
→できた食塩水の重さは、300+200=500g。その中に入っている食塩は500×9/100=45g
→よって、加えた食塩水に入っていた食塩の重さは45-15=30g
→したがって、したがって加えた食塩水の濃さは30/300→10%
このように、計算だけで求められます。
さて、(3)です。ここで求めるのは「食塩水の重さ」ですね。ということは、面積図やてんびん図が必要になるはず。
実際に、(1)や(2)のように食塩の重さを計算してみても、最初の食塩水に入っている食塩が15gという以外には、分からないことが多くて先に進めません。
そこで、面積図を描くのなら、こんな感じ。
面積図のしくみを充分理解したならば、下のようなてんびん図も良いですね。
いずれにせよ、図を描いて逆比の考え方を使うことで、答えは200gと求められます。
さて、これらの図を使った解法の詳細は、また別の機会に。
今回お伝えしたかったことは、「解法ツールの選択」についてでした。
食塩水の問題では、「食塩水の重さを求めなさい」や「食塩水は何gですか」というフレーズに要注意。
「食塩水の重さ」を求める問題では、基本的に図が必要になる!ということを、頭に入れておいてくださいね。
今回は、ここまで。