メニュー

投稿日:2023年05月25日

テーマ: 算数

中学受験生でも解ける大学入試問題~場合の数 その③~

みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。
5月の講師ブログをお届けします。

前回までの東大入試に続き、今回は京都大学の入試問題にチャレンジしてみましょう。

 

問題

1歩で1段または2段のいずれかで階段を昇るとき、1歩で2段昇ることは連続しないものとする。15段の階段を昇る昇り方は何通りあるか。
2007 京都大学理系 大問1 (2)

京都大学と聞いても、小学生のみなさんにはあまりなじみがないかもしれませんが、東京大学と肩を並べる、西日本一の難関大学です。
受験生のみなさんが生まれるよりも前、少し古めの問題ですが、これなら何となく取り組めそうではないですか?

考えやすいように、問題の急所となる部分は変えずに小問を付け加え、数値も少し小さくしてみます。

 

問題(改)

1歩で1段または2段のいずれかで10段の階段を昇ります。
(1)階段の昇り方は全部で何通りありますか。
(2)1歩で2段昇ることを連続しないものとしたとき、昇り方は全部で何通りありますか。
2007年 京都大学理系 改!

これで、中学受験生のみなさんにも取り組みやすくなったでしょうか。こちらの形で考えてみましょう。

今の時期の6年生だと、「(1)には見覚えがある!」という人も「見たことがない…」という人もいることでしょう。

「見たことがない」という人でも、前回までの記事を参考にすると、以下のような解法にたどり着けるのではないでしょうか?

 

解答

(1)
10段の階段を、1段または2段のいずれかで昇るためには…

①(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1)のように、1段を10回で昇る。
②(1,1,1,1,1,1,1,1,2)のように、1段を8回と2段を1回で昇る。
③(1,1,1,1,1,1,2,2)のように、1段を6回と2段を2回で昇る。
④(1,1,1,1,2,2,2)のように、1段を4回と2段を3回で昇る。
⑤(1,1,2,2,2,2)のように、1段を2回と2段を4回で昇る。
⑥(2,2,2,2,2)のように、2段を5回で昇る。

これだけの場合に分けられます。
よって、答えは6通り?……ではありませんね。

例えば、②の場合。

1-1-1-1-1-1-1-1-2
1-1-1-1-1-1-1-2-1
1-1-1-1-1-1-2-1-1

のように、1段と2段で昇る順番も考える必要があります。
①~⑥の場合について、1と2の並べ方を考えれば答えが出ますね。
ここまでくれば前回までの考え方で求まります。
同じものを含む並べ方は、「空き枠の選び方」を考えるのでした。


すべて1なので、これは1通り


1段を8回と、2段を1回。計9回昇るうち、2段昇る1回がどこに来るかを選びます。
9個から1個を選ぶのと同じで9通り


計8回昇るうち、2段昇る2回がどこに来るかを選びます。
(8×7)÷(2×1)=28通り


計7回昇るうち、2段昇る3回がどこに来るかを選びます。
(7×6×5)÷(3×2×1)=35通り


計6回昇るうち、1段昇る2回がどこに来るかを選びます。
(6×5)÷(×2×1)=15通り。

⑥すべて2なので、これは1通り

これらを足し合わせ、1+9+28+35+15+1=89通りです!

(2)
(1)で考えたように1と2を並べていくのですが、2が連続してはいけないという条件です。
隣り合わないように並べるには、前回触れた「スペース」の考え方が使えそうです。

①(1,1,1,1,1,1,1,1,1,1)のように、1段を10回で昇る。
②(1,1,1,1,1,1,1,1,2)のように、1段を8回と2段を1回で昇る。
③(1,1,1,1,1,1,2,2)のように、1段を6回と2段を2回で昇る。
④(1,1,1,1,2,2,2)のように、1段を4回と2段を3回で昇る。
⑤(1,1,2,2,2,2)のように、1段を2回と2段を4回で昇る。
⑥(2,2,2,2,2)のように、2段を5回で昇る。


これは1通り


2が1個しか含まれず、隣り合うことはないので(1)のまま9通り


「_1_1_1_1_1_1_」のように、6個の1を先に並べておき、1と1の間と両端にできた7か所のスペースから、2を入れる2か所を選びましょう。
(7×6)÷(2×1)=21通り


「_1_1_1_1_」のように、4個の1を先に並べておき、1と1の間と両端にできた5か所のスペースから、2を入れる3か所を選びます。
(5×4×3)÷(3×2×1)=10通り

⑤⑥
2が多すぎて、どのように並べても2が連続してしまいますね。これらは0通り

したがって、求める場合の数は1+9+21+10=41通りです!

これにて、めでたしめでたし。また来月をお楽しみに!?



いや、ちょっとこれではつまらない。
おそらく、もともと問題に見覚えがあったという人たち、ここまでの解説を読みながら、「こんな面倒なことをしなくてもよいのに…」と思っていたのではないでしょうか。

「階段昇りと言えば○○○○○○数列だよね。でも、(2)はどうするんだろう?」
こんな風に思っていたとしたら、よい感じ!

長くなったので、今回はいったんここまで。
次回は別の方法で考えてみましょう!

算数ドクター