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投稿日:2023年06月22日

テーマ: 算数

中学受験生でも解ける大学入試問題~場合の数 その④~

みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。
6月の講師ブログをお届けします。

今回は、前回の続き。
紹介した京都大学の入試問題を、今回は別の見方で考えてみます。

問題はこんな感じでした。

 

問題(改)

1歩で1段または2段のいずれかで10段の階段を昇ります。
(1)階段の昇り方は全部で何通りありますか。
(2)1歩で2段昇ることを連続しないものとしたとき、昇り方は全部で何通りありますか。
2007年 京都大学理系 改

前回は、「1段昇る」ことと「2段昇る」ことの並べ方を、場合分けして計算する解法で答えを出しました。

ただ、(1)には見覚えのあるという人も多かったはず。
そう、面倒な場合分けをしなくても、「フィボナッチ数列」の考え方が使えるのでは?と思った人もいるでしょう。

その通り、実際、(1)は6年前期までのテキストで触れることの多い、以下のような考え方で解決できます!

 

解答 その2

(1)階段の昇り方は全部で何通りありますか。

10段の階段を、1歩で「1段」の「2段」いずれかで昇ります。
特に、最後の1歩に注目してみると、当然ながら「1段」または「2段」昇っていますね。

最後に1段昇ったときは、それまでに10-1=9段昇ってきています。
最後に2段昇ったときは、それまでに10-2=8段昇ってきています。

ということは、10段の階段を昇る場合の数は…、

①9段昇ってきて、最後に1段昇る→要は9段の昇り方と同じ場合の数!
②8段昇ってきて、最後に2段昇る→要は8段の昇り方と同じ場合の数!

この2つを合わせれば求められますね。

つまり、

(10段の昇り方)=(9段の昇り方)+(8段の昇り方)

というわけです。

さて、同じように考えると、

(9段の昇り方)=(8段の昇り方)+(7段の昇り方)
(8段の昇り方)=(7段の昇り方)+(6段の昇り方)
(7段の昇り方)=(6段の昇り方)+(5段の昇り方)



(3段の昇り方)=(2段の昇り方)+(1段の昇り方)

このように、表すことができますね!
(1段の昇り方)は、明らかに1通り。(2段の昇り方)は、「1段、1段」と昇るか、「2段」一気に昇るかの2通りです。
ということは、
(3段の昇り方)=(2段の昇り方)+(1段の昇り方)=2+1=3通り。
(4段の昇り方)=(3段の昇り方)+(2段の昇り方)=3+2=5通り。


のように、実際に足し算を進めていけば、10段であろうが20段であろうが、答えを求められます!
念のため、続きを求めておきましょう。

(5段の昇り方)=5+3=8通り。
(6段の昇り方)=8+5=13通り。
(7段の昇り方)=13+8=21通り。
(8段の昇り方)=21+13=34通り。
(9段の昇り方)=34+21=55通り。
(10段の昇り方)=55+34=89通り

無事、前回と同じ答えにたどり着きました!

1,2,3,5,8,13,21,…

のように、前の2つの数を足し合わせた数が次の数になるような数列を「フィボナッチ数列」と呼びます。
階段昇りの問題では「フィボナッチ数列」を使うんだ!と覚えていた人もいるでしょう。

でも…

(2)1歩で2段昇ることを連続しないものとしたとき、昇り方は全部で何通りありますか。

こちらはどうしたら良いでしょう?
「階段昇りはフィボナッチ!」とただ覚えているだけではどうしようもなさそうです。
でも、仕組みをきちんと理解している人であれば、実は同じような考え方で正解できるのです!

(1)と同じように、最後の1歩が「1段」のときと「2段」のときに分けてみるとどうでしょう?
余裕のある人は、ここで少し考えてみましょう!



①最後に「1段」昇るとき
これは、(1)と変わりません。
9段昇ってきた後、最後に「1段」昇っているはずですね。

②最後に「2段」昇るとき
(1)と異なり、「2段」昇ることを連続しないという条件がついています。
ということは…。
最後に「2段」昇る直前の1歩では必ず「1段」昇っているはずです。
つまり、10-2-1=7段昇ってきた後に、「1段」⇒「2段」と昇ったことになるのです!

まとめれば、

①9段昇ってきて、最後に1段昇る→要は9段の昇り方と同じ場合の数!
②7段昇ってきて、最後に1段⇒2段と昇る→要は7段の昇り方と同じ場合の数!

すなわち、

(10段の昇り方)=(9段の昇り方)+(7段の昇り方)

と表すことができます。

(1段の昇り方)=1通り、(2段の昇り方)=2通り。
そして(3段の昇り方)は、1-1-1、1-2、2-1の3通りですね。

この後は、

(4段の昇り方)=(3段の昇り方)+(1段の昇り方)=3+1=4通り。
(5段の昇り方)=(4段の昇り方)+(2段の昇り方)=4+2=6通り。
(6段の昇り方)=(5段の昇り方)+(3段の昇り方)=6+3=9通り。
(7段の昇り方)=(6段の昇り方)+(4段の昇り方)=9+4=13通り。
(8段の昇り方)=(7段の昇り方)+(5段の昇り方)=13+6=19通り。
(9段の昇り方)=(8段の昇り方)+(6段の昇り方)=19+9=28通り。
(10段の昇り方)=(9段の昇り方)+(7段の昇り方)=28+13=41通り

やはり、順に足し算して答えが出ました!フィボナッチ数列と違って、1つ前と3つ前の数を足すことになるので、ミスには注意が必要ですね!

単に解法を覚えるだけでなく、きちんとその仕組みを理解しておくことで、少しひねられた問題にも対応できることが分かりました。

前回の冒頭で紹介したように、実際に京都大学で出題された元の問題はこんな形でした。

1歩で1段または2段のいずれかで階段を昇るとき、1歩で2段昇ることは連続しないものとする。15段の階段を昇る昇り方は何通りあるか。

ここまで読んでくれたみなさんなら、もう答えが出せますね。
前回の方法でも今回の方法でも、お好みの方でチャレンジしてみてください。
答えは277通りです。

今回はここまで。

算数ドクター