みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。
今回は、前回出題した算数クイズの解決編をお送りします。
まずは、問題の確認から。
問題
5つの整数A、B、C、D、Eがありますが、これらの値は分かっていません。
はるかさんは、この5つの整数を求めるために、以下のような質問を何度でもすることができます。
(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)として好きなように5つの整数を選び、
質問
「(あ)×A + (い)×B + (う)×C + (え)×D + (お)×E」の値はいくつですか?
さて、はるかさんがA~Eの整数の値を確実に求めるためには、この質問を何回すれば良いでしょうか?
このままではかなり難しい問題なので、前回、まずはヒント問題を2題考えてみたのでした。
ヒント問題1
1けたの整数A、B、C、D、Eがあります。
この5つの整数を求めるために、以下のような質問を1回だけすることができます。
(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)として好きなように5つの整数を選び、
質問
「(あ)×A + (い)×B + (う)×C + (え)×D + (お)×E」の値はいくつですか?
さて、A~Eの整数の値を確実に求めるためには、(あ)~(お)にどのような整数を選べば良いでしょうか?
こちらは、前回の記事で解説済み。
(あ)=10000
(い)=1000
(う)=100
(え)=10
(お)=1
とすれば、返ってくる値は5けたの整数。
その一万の位、千の位、百の位、十の位、一の位の数字が、順にA、B、C、D、Eに対応することを確かめました。
質問によって、A~Eの値を「1けたずつずらす」ことがポイントになっていますね。
このことをヒントに…
ヒント問題2
99以下の整数A、B、C、D、Eがあります。
この5つの整数を求めるために、以下のような質問を1回だけすることができます。
(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)として好きなように5つの整数を選び、
質問
「(あ)×A + (い)×B + (う)×C + (え)×D + (お)×E」の値はいくつですか?
さて、A~Eの整数の値を確実に求めるためには、(あ)~(お)にどのような整数を選べば良いでしょうか?
ヒント問題1を参考にして、考えてみてくれた人はいるでしょうか。
うまい質問の仕方は見つかりましたか?
この問題では、A~Eの5つの整数は99以下、つまり2けた以下の整数だと分かっています。
ヒント問題1のように「1けたずつずらす」のではうまく行きませんが…。
そう、「2けたずつずらす」のではどうでしょうか?
すなわち、
(あ)=100000000
(い)=1000000
(う)=10000
(え)=100
(お)=1
として、「100000000×A + 1000000×B + 10000×C + 100×D + 1×E」の値はいくつですか?と質問します。
例えば、A=12、B=3、C=45、D=6、E=78であったとすると、質問の答えとして「1203450678」という値が返ってきますね。
この値を2けたずつ「12/03/45/06/78」と区切ってやれば、上から順にA、B、C、D、Eの値に対応しています。A~Eが2けた以下の範囲であれば、どんな整数であってもこの質問で求められることは分かるでしょう!
では、改めて元の問題に。
問題
5つの整数A、B、C、D、Eがありますが、これらの値は分かっていません。
はるかさんは、この5つの整数を求めるために、以下のような質問を何度でもすることができます。
(あ)、(い)、(う)、(え)、(お)として好きなように5つの整数を選び、
質問
「(あ)×A + (い)×B + (う)×C + (え)×D + (お)×E」の値はいくつですか?
さて、はるかさんがA~Eの整数の値を確実に求めるためには、この質問を何回すれば良いでしょうか?
A~Eの整数の範囲が分かっていないので、さすがに1回の質問で求めることはできません。
しかし、質問を工夫すると実は2回の質問でA~Eの値を求められるのです!
2つのヒント問題を手がかりに、どんな質問で求められるか考えてみましょう。
…
…
…
…
…
仮に、A~Eが3けた以下の整数だと分かっているならば、ヒント問題と同じようなアイデアで、「3けたずつずらす」ことを考えれば良いですね。
(あ)=1000000000000
(い)=1000000000
(う)=1000000
(え)=1000
(お)=1
として返ってきた答えの値を3けたずつ区切れば、A~Eの値が分かります。
同じように、4けた以下と分かっているならば4けたずつ、5けた以下と分かっているならば5けたずつずらすように(あ)~(お)の値を選んで質問すれば良いわけです。
そこで1つ目の質問でA~Eの整数が何けた以下であるかを絞ることができるならば、2つ目の質問で確実に求められることになりますね。
そのためには…。
そう、1つ目の質問では単純に、(あ)~(お)をすべて1として、A~Eの和の値を質問してみたらどうでしょう?
例えば、1つ目の質問として
「1×A +1×B +1×C + 1×D + 1×E」の値はいくつですか?
に対し、「564」という答えが返ってきたとします。
この時点で、A~Eまでの整数はすべて3けた以下であることが分かりますね!
そこで、2つ目の質問では3けたずつずれるように、
「1000000000000×A +1000000000×B +1000000×C +1000×D + 1×E」の値はいくつですか?
とたずねます。
ここで「12345006078123」という値が返ってきたならば、これを「下から」順に3けたに区切ってみましょう。
「12/345/006/078/123」となって、A=12、B=345、C=6、D=78、E=123と、無事に5つの整数が求められました!
ちなみに、上からではなく、下から順に3けたに区切ったのは、この例のようにAが1けたや2けただった時のことを考えています。
ともあれ、これで無事に解決!
A~Eが何けたの整数であったとしても、1つ目の質問でけた数の範囲を絞り、2つ目でそれに対応したけた数だけずらすような質問をすれば、確実に求められますね。
ノーヒントでは相当な難問でしたが、2つのヒント問題を通じて解決することができました。
中学受験算数でも、規則性や場合の数、数の性質などの分野で、まずは問題を小さな範囲で考えてみることで、問題の構造や解法を探るという手法は、よく見られます。
ここまで読んでくれたみなさん、ぜひ意識して日々の学習に取り組んでみてください。
今回はここまで。