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投稿日:2024年01月23日

テーマ: 国語

年だけじゃない? 中学受験で役立つ干支の知識~十二支編~

初めまして。
受験Dr.で国語と算数の指導を担当しております、松本 佳彦と申します。
本日より「中学受験 プロ講師ぶろぐ」の執筆を担当いたします。
以後、お見知り置きの程お願い申し上げます。

 

さて、2月1日の中学入試まで、いよいよ10日を切りました。
「飛竜乗雲」という言葉があるように、「辰年」である2024年が、受験生の皆様にとって飛躍の年になることを願っております。
その「辰年」、つまり「干支」についてお話しいたします。

 

干支についての問題は、2021年度の白陵中学など、中学受験の国語でも時々出題されています。
また、「壬申の乱」「甲子園」「丑三つ時」…等々、歴史上の出来事や建造物の名前、慣用表現にも用いられており、普段の生活の中でも干支に基づく言葉を耳にする機会は多くあります。
すなわち、干支について学ぶことで、幅広い知識を習得でき、ひいては日常の物事への関心が深まっていきます。
そこで、今回から2回にわたり、「十二支」と「十干」に分けて、「干支」の奥深さを皆様にご紹介いたします。
今回のテーマは「十二支」です。

 

十二支といえば、「子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)」の12種類…というのは、誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。
動物たちで1年の代表を決めるレースを行い、牛の背に乗ったねずみが1着になったという昔話や、子供向け音楽番組で歌われた、循環する干支をメリーゴーランドに見立てた歌など、色々な方法で十二支の種類と順番は伝えられてきました。
一方、十二支は「年」だけでなく、方角や時間を表すのにも用いられています。
幾つか例を挙げてご紹介いたします。

 

 

 

❶方角

【図1】をご覧ください。
【図1】のように、方角を12分割し、北から時計回りに子→丑→寅→…→戌→亥と順番に当てはめて表します。
「卯」が「」、「未」が「南南西」を表す、という具合です。
十二支1種類では表せない「北東」「南東」「南西」「北西」については、それぞれ「丑と寅の間→艮(うしとら)」「辰と巳の間→巽(たつみ)」「未と申の間→坤(ひつじさる)」「戌と亥の間→乾(いぬい)」と、2種類の干支を組み合わせて表します。
方角の図表

 

(中学受験で出題される十二支と方角についての関係)

例1:子午線 本初子午線、標準時子午線 など
極と極とを結ぶ「経線」を基準にしていることから、この名が付けられています。

例2:「『鬼門』とは、『避けた方がよいとされる北東の方角のこと』      を言いますが、そのことと【図2】(の角、の模様が描かれた衣服)のように鬼が描かれることとの関連を説明しなさい。」(2021年度 白陵中 一部改題)
北東の方角は「艮(うしとら)」に当たる為、の意匠が用いられています。

 

鬼の絵

 

他にも、船の航行で用いられる「舵」(針路を北にとったときの左方向→西の方向→酉(とり)の方向)や「舵」(針路を北にとったときの右方向→東の方向→卯()の方向→「うの舵」が転訛したもの)などの例があります。

 
 

❷時刻

【図3】をご覧ください。
十二支と時刻の対応
1日の時間を2時間ごとに12分割し(この区分を「刻」といいます)、午前0時の前後1時間ずつを「子」、午前1時から午後3時までを「丑」…と順番に当てはめていきます。
その「刻」を30分ずつ4分割し、順に「一つ」「二つ」「三つ」「四つ」と表します。
怪談話でよく聞く「丑三つ時」とは、「丑」の中で3番目、即ち「午前2時~午前2時30分」の時間帯のことです。

 

(中学受験で出題される十二支と時刻についての関係)

例1:正前、
「刻」を1時間ごとに2つに分け、最初の1時間を「初刻」、後の1時間を「正刻」と呼んでいました。
午前12時は「の刻」の「刻」に当たる為、「正午」と呼ばれるようになり、それよりの時間帯を「午前」、の時間帯を「午後」と表すようになりました。

例2:四六時中(四字熟語)
4 × 6 = 24、すなわち24時間ということで、「一日中」を表す言葉として用いられていますが、かつ ては「12個の刻」ということで「二六時中」(2 × 6 = 12)と表現していました。

 

いかがでしたでしょうか。
普段何気なく耳にする表現も、由来を知れば意味を理解し易くなり、より深い学習へとつながります。
様々な場面で心に浮かんでくる、「なぜ」「どうして」という感覚を大事にして、知識の幅を深めていきましょう。

 

次回のブログでは「十干」についてお話しいたします。
それでは、今回はこの辺りで失礼いたします。

国語ドクター