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投稿日:2024年08月23日

テーマ: 算数

受験算数の問題に慣れよう~中学受験クエスト・出題編~

こんにちは。
受験Dr.の松本 佳彦です。

長いようで短い夏休みももうすぐ終わります。受験生の皆様は、夏期講習の総仕上げに入っていることと思います。
今回は、暑い夏に一生懸命学習に励む皆様に、ゲーム感覚で取り組める、ささやかな「お楽しみ」をご用意しました。内容としては算数の文章題ですが、普段の問題とは一風変わった形式になっています。定着度の確認も兼ねて、是非挑戦してみてください。

 

❶問題の本質を理解するには

2018年度の海城中学校で出題された算数の問題は、大問5が以下のような出だしになっていました。
これは、ある国のお城から魔王に連れ去られた姫を勇者が救いに行き、もとのお城まで連れて戻ってくる冒険の物語です。
様々な学校が特色ある問題を出す、中学入試の算数の中でも、一際目を引く問題設定です。往年のロールプレイングゲームやファンタジー作品を彷彿させます。
問題文を続けて読むと、「この国では格子状の道があり、行きは北か東のみ、帰りは南か西のみ動くことができます。」と書かれており、下には3×4のマス目、勇者と姫、川と橋のイラストがあります。加えて、小問(1)、(2)がともに「何通りありますか。」と結ばれています。これにより、出題されているのが「場合の数」の問題であると分かります。
文章題を解く上で、「何を問われているか」を把握することは大前提ですが、問題文が長かったり、馴染みの薄い場面設定がなされていたり、など様々な要因で、出題の意図が見えにくいことがあります。
そんな場面でものを言うのは、やはり「基礎・基本の徹底」です。
ロールプレイングゲームにおいては、最初に簡単な戦闘を繰り返し行うことで、基本的な操作方法や攻略法を身に付け、攻略を進めていきます。
算数の問題についても、単元ごとに基礎レベルの問題演習を何度も行うことで、解法を定着させ、応用問題に挑む力を付けることができます。
問題の肉付けが異なっていても、骨子となる「単元、分野」は一定数に限られているので、形式に惑わされず、問われている内容を把握しましょう。

 

❷実践してみよう!

それでは、実際に「変わった設定」の問題を解いてみましょう。先述した海城中学校の問題にあやかって、ロールプレイングゲーム風の問題をご用意しました。①②③それぞれで、何が問われていて、どんな解法を用いればよいか、問題文から探し当てましょう。

「勇者・戦士・魔法使いの3人が、魔王を倒して国を救うため、魔王の城にやって来ました。
①魔王には配下の四天王A・B・C・Dがおり、四天王を全員倒さないと魔王の部屋へたどり着くことはできません。
四天王Dは、四天王Cを倒した後でなければ倒すことができませんが、それ以外はどのような順番で倒しても構いません。また、Cを倒した直後にDを倒す必要はなく、間に別の四天王を倒しても構いません。
このとき、四天王全員を倒して、魔王の部屋へたどり着く行き方は何通りありますか
②3人は四天王Dと戦いました。
四天王Dを倒すには、四天王Dの体力を0にする必要があり、勇者だけで攻撃すると20回、戦士だけで攻撃すると25回、魔法使いだけで攻撃すると50回で、四天王Dの体力がちょうど0になります。
このとき、最初に勇者だけで8回攻撃し、次に勇者と戦士の2人で何回か攻撃し、最後に3人で3回攻撃すると、ちょうど四天王Dの体力を0にできます。
勇者と戦士の2人で攻撃するのは何回ですか。なお、2人以上同時に攻撃した場合も「1回」の攻撃と考えます。
③3人は魔王の元にたどり着きました。
②の場合と同様、魔王の体力を0にすると、魔王を倒すことができますが、魔王は1回攻撃を受けるたびに、体力を少しずつ回復します。回復する体力の量は常に一定です。
このとき、勇者だけで攻撃すると50回、戦士だけで攻撃すると70回で、ちょうど魔王の体力を0にできます。
1回の攻撃で減らすことのできる体力が、②の場合と同じだとすると、最初から3人で攻撃した場合、魔王の体力を0にするには、何回の攻撃が必要ですか。②と同様に、2人以上同時に攻撃した場合も「1回」の攻撃と考えます。また、攻撃によって体力が0を下回る場合も、「体力が0になった」と考えます。」

いかがでしょうか。
文章題が得意な受験生であれば、「この問題は〇〇算だな」、ということがすぐに見抜けると思います。
逆に苦手な受験生であれば、問題の状況や数値を整理するのに時間を要する、あるいは取っ掛かりすら掴めない、という可能性があります。
問題の解説は次回の記事で行いますので、それまでに頭の体操として、まずはそれぞれの単元が何であり、どういうことが問われているか、ということから考え、リラックスした気持ちで取り組んでみましょう。

今回はこの辺りで失礼いたします

算数ドクター