こんにちは。
受験Dr.の松本 佳彦です。
本日は12月12日、月と日が同じ数字で構成されています。
また、見方を変えれば、「1」と「2」の数字が2回ずつ使われている日付、と考えることもできます。
中学入試の算数の問題では、「場合の数」の単元から、「数字や文字の並び替え問題」が出題されます。(例:武蔵中学校 2024年度、豊島岡女子学園 2024年度)
今回の記事では、並べ替え問題のうち、同じものを2つ以上含むものの解法について、いくつか例を挙げて説明します。
基本的な解法を振り返りつつ、難易度の高い問題へ応用できるよう、要点を押さえていきましょう。
問題A
以下の文字を一列に並べる時、並べ方はそれぞれ何通りありますか。(「・」は含みません)
①J・U・K・E・N
②D・O・C・T・O・R
③Y・O・Y・O・G・I
解答A
①については、すべての文字が異なっています。
この場合、
Ⅰ 一番左に並ぶ文字はJ・U・K・E・Nの5通り
Ⅱ 左から2番目に並ぶ文字は、Ⅰで使っていない残りの4文字なので、4通り
Ⅲ 左から3番目に並ぶ文字は、ⅠとⅡで使っていない残りの3文字なので、3通り
Ⅳ 左から4番目に並ぶ文字は、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲで使っていない残りの2文字なので、2通り
Ⅴ 一番左に並ぶ文字は残りの1通り
となります。
そして、Ⅰの5通りに対してそれぞれⅡが4通りずつ(Jで始まる場合、2番目はU・K・E・Nの4通り/Uで始まる場合、2番目はJ・K・E・Nの4通り…)、Ⅲが3通りずつ…と続くので、全ての並べ方は、
【式】5×4×3×2×1=120 【答え】120通り
と計算できます。このように、すべて異なる文字を順番に並べる場合は、文字数(ここでは5)から順番に、1ずつ減らした数を1までかけることで順列の個数が求められます。(これを階乗といい、5!と表します)
もちろん、樹形図を描くことでも求めることができます。
②の場合、「O」の文字が2つあります。
これは①のように、6文字を順に並べるから、(6!=)6×5×4×3×2×1=720で720通り…とはいきません。
文字の「種類」は5種類ですから、一番左に並ぶ文字は「D・O・C・T・R」の5通りです。
では最初は5通りで、2文字目は4通り…かというと、それも正しくありません。
例えば最初の文字が「D」の場合、2文字目は「O・C・T・R」の4文字から選びます。
しかし最初の文字が「O」である場合、「O」がもう1文字残っていますので、2文字目として「D・O・T・C・R」の5文字を選ぶことができます。
このように、最初の文字が「O」かそれ以外かで2文字目のパターン数が変わりますので、①と同じ計算方法では求められません。
この問題では、2つある「O」を、一旦別々の字として考えると計算ができるようになります。
例えば「㊀」と「㊁」と名付けると、「D・㊀・C・T・㊁・R」の6種類の文字を順に並べることになり、並べ方は6×5×4×3×2×1=720の720通りです。
この720通りの中にある、「DC㊀R㊁T」と「DC㊁R㊀T」という順列について考えます。
この2つは別の順列ですが、ここで「㊀」と「㊁」を元の「O」に戻すと、2つとも「DCOROT」という同じ順列になります。
その他の順列についても、「㊀㊁CTDR」と「㊁㊀CTDR」、「D㊀CT㊁R」と「D㊁CT㊀R」のように、「㊀」と「㊁」を元の「O」に戻すと同じ順列になります。
すなわち、上の「720通り」という数え方だと、同じ順列を2度、つまり2倍数えていることになるので、求める場合の数はその半分、すなわち、
【式】6×5×4×3×2×1=720 720÷2=360 【答え】360通り
となります。
③の場合、「Y」と「O」の2種類の文字が2つずつあります。
これも②と同様、「Y」を「❶」と「❷」、「O」を「㊀」と「㊁」に分けて、異なる6文字の並べ替えと考えます。
その後、まず「❶」と「❷」を「Y」に戻して半分に、次に「㊀」と「㊁」を「O」に戻してもう半分にすれば良いので、求める場合の数は、
【式】6×5×4×3×2×1=720 720÷2÷2=180 【答え】180通り
となります。
このように考えれば、同じ文字を含む並べ替え問題の答えを計算で求めることができます。樹形図を描いても求まりますが、180通りや360通りもの樹形図を描くのは大変なので、なるべく計算で求められるようにしておきましょう。
文字ではなく数字を並べる場合も同様に考えられますが、以下のような問題に注意が必要です。
問題B
①4けたの整数のうち、「1122」のように、同じ数字を2つずつ含むものはいくつありますか。
②①で求めた4けたの整数のうち、3の倍数はいくつありますか。
解答B
①については、まず使う数字の組が何通りあるかを考えます。
「0」~「9」の10個の数字から、異なる数字を2つ選ぶので、1つ目が10通り、2つ目が残りの9通り、となり、数字の選び方は10×9÷2=45の45通りです。
次に選んだ数字を並べ替えることになりますが、一見すると【問題A】と同様、「4つの数字を並べる」→「同じ数字を2つずつ含んでいるのでそれぞれ半分にする」という方法で、
【考え方と式】4×3×2×1=24 24÷2÷2=6 より並べ方は6通り
数字の選び方は45通りなので 45×6=270 【答え】270通り
とできそうですが、これだと正解になりません。
この270通りの中には「0550」のような、千の位が0になっている並べ方も含まれています。「4けたの整数」なので、千の位が0であってはいけません。
この場合、上で求めた270通りから、「千の位が0」になっているものを引けば正しい答えが求まります。
千の位が0になるのは、「0AA0」「0A0A」「00AA」の3通り
Aに入る数字は「1」~「9」の9通りなので 3×9=27 より千の位が0となるものは27通り
よって、
【式】270-27=243 【答え】243通り
と求められます。
②については、「全てのけたの数を足すと3の倍数になるとき、元の数は3の倍数」という性質を使います。
もちろんこの場合も、①と同様、「0」を含むものには注意が必要です。
【考え方と式】
3の倍数になる数字の組み合わせは、(0, 3)(0, 6)(0, 9)(1, 2)(1, 5)(1, 8)(2, 4)(2, 7)(3, 6)(3, 9)(4, 5)(4, 8)(5, 7)(6, 9)(7, 8)の15通り
それぞれ並べ方は6通りなので 15×6=90
(0, 3)(0, 6)(0, 9)については、千の位が0になる並べ方が3通りずつあるので、
90-3×3=81 【答え】81通り
(※(0, 3)(0, 6)(0, 9)については3通りの並べ方、残りの12組については6通りの並べ方があると考え、
3×3+12×6=81 と求めることもできます。)
いかがでしたでしょうか。
今回紹介した解法は一例であり、たとえば【問題A】の②については、「6か所の中から『O』が入る2か所を先に選び、残り4文字を順に並べる」という解法もあります。
自分が解き易い方法を1つ身に付けておくと、「A・B・C・C・Cの5文字を並べる」のような、同じ文字が3回以上出てくる問題のような、より複雑な問題についても応用が利きます。
1つの問題に対して何通りかの解法を試してみて、より自分に合っているものを見付けておきましょう。
今回はこの辺りで失礼いたします。