みなさん、こんにちは。 海田真凜です。
前回に続き、今回のお題も
「売買損益」
「売買損益、大嫌い」というお子さんが
つまずきやすいのは以下の4段階。
① 値段設定の割増し、割引き、利益の処理が安定しない。
② 値段設定の流れ(原価・定価・売り値・利益)を行き来できない。
③ 商品が1個のときは大丈夫。でも「個数」が出てくると正答率が下がる。
④ 値段や個数が不明な問題で、どこまで比を使ってよいのか判断できない。
前回は売買損益の導入として、値段設定の流れをトマトで確認しました。
今回は、上記の①段階でのつまずき解消のためのトレーニングを行います。
到達目標は、商品1個のとき、適切な3点セットをとらえて、
値段の割増し・割引きの処理、利益の処理ができるようにすること。
ではいきましょう。
< 原価と定価のペア >
まずは、原価と定価のペアからトレーニング。
利益は原価に対してつけるものなので
原価×(1+利益率)=定価
原価、利益率、定価の3点セットのうち2つがわかれば
残りの1つが求められます。
問1. 300円で仕入れた商品に3割の利益を見込んで定価をつけました。定価は何円ですか。
問2. 原価が240円の商品に2割5分増しの定価をつけました。定価は何円ですか。
問3. 4割のもうけを見込んで定価を280円としました。このときの原価は何円ですか。
問4. 定価は原価の20%増しの360円です。原価は何円ですか。
問5. 500円で仕入れた商品に[ 割 分]の利益を見込んでつけた定価が660円です。
[ ]にあてはまる数を求めなさい。
問6. 1000円で仕入れた商品を定価1500円で売ったときの利益は、仕入れ値の何%ですか。
解説1.
前回の導入で確認したように、「3割の利益」とは「原価の3割の利益」でしたね。
原価300円
利益率3割=0.3
300×(1+0.3)=390円
解説2.
「□割増し」は「□割の利益を見込んで」と同じ意味です。
ここでも「原価の□割増し」と隠れた言葉を補って考えましょう。
原価240円 利益率2割5分=0.25
240×(1+0.25)=240×1.25=240×5/4 =300円
※売買損益の計算で、1.25は頻繁に登場する数値です。
すぐに 5/4 と分数化して、計算をラクにしましょう。
解説3.
「もうけ」は「利益」と同じ意味です。
利益率4割=0.4
定価280円
原価×(1+0.4)=280
原価=280÷1.4=200円
解説4.
利益率20%=0.2
定価360円
原価×(1+0.2)=360
原価=360÷1.2=300円
解説5.
原価500円
定価660円
500×(1+利益率)=660
利益率=660÷500-1=0.32=3割2分
解説6.
原価1000円
定価1300円
1000×(1+利益率)=1300
利益率=1300÷1000-1=0.3=30%
原価と定価の間を行き来できましたか?
< 定価と売り値のペア >
次は、定価と売り値のペアでトレーニング。
ここでも、前回のおさらいを。
定価では売れないので、値引きするわけですから
定価×(1-値引き率)=売り値
定価、値引き率、売り値の3点セットのうち2つがわかれば
残りの1つが求めらます。
問1. 定価300円の商品を、定価の3割引きで売りました。売り値は何円ですか。
問2. 定価が150円の商品を2割引きの[ ]円で売りました。
[ ]にあてはまる数を求めなさい。
問3. 定価の1割5分引きの170円で売りました。定価は何円ですか。
問4. 売り値は定価の25%引きの360円です。定価は何円ですか。
問5. 750円の定価をつけましたが、売れないので[ ]割引きの600円で売りました。
[ ]にあてはまる数を求めなさい。
問6. 定価1000円の商品を840円で売りました。定価の何%引きで売ったことになりますか。
解説1.
定価300円
値引き率3割=0.3
300×(1-0.3)=210円
解説2.
定価150円
値引き率2割=0.2
150×(1-0.2)=120円
解説3.
値引き率1割5分=0.15
売り値170円
定価×(1-0.15)=170
定価=170÷0.85=200円
解説4.
値引き率25%=0.25
売り値360円
定価×(1-0.25)=360
定価=360÷0.75=360÷3/4 =360×4/3=480円
※売買損益の計算で、0.75は頻繁に登場する数値です。
すぐに 3/4 と分数化して、計算をラクにしましょう。
解説5.
定価750円
売り値600円
750×(1-値引き率)=600
値引き率=1-600÷750=1-0.8=0.2=2割
解説6.
定価1000円
売り値840円
1000×(1-値引き率)=840
値引き率=1-840÷1000=1-0.84=0.16=16%引き
定価と売り値の間を行き来できましたか?
< 原価と売り値と利益のトリオ >
最後は、原価と売り値と利益のトリオでトレーニング。
ここでも、前回のおさらいを。
利益が出るのは、売った値段が原価より高いとき。
売り値-原価=利益
原価、売り値、利益の3点セットのうち2つがわかれば
残りの1つが求めらます。
問1. 300円で仕入れた商品を、350円で売りました。利益は何円ですか。
問2. 原価が150円の商品を[ ]円で売ったところ、利益が60円になりました。
[ ]にあてはまる数を求めなさい。
問3. ある商品を[ ]円で仕入れ、600円で売ると、100円の利益になります。
[ ]にあてはまる数を求めなさい。
解説1.
原価300円
売り値350円
350-300=50円
解説2.
原価150円
利益60円
売り値-150=60
売り値=60+150=210円
解説3.
売り値600円
利益100円
600-原価=100
原価=600-100=500円
3つのトレーニング、これで完了!
< 入試問題で仕上げ >
最後は入試問題を用いて、実戦演習です。
3点セットに着目して求められるものを確認しましょう。
それぞれ[ ]にあてはまる数を求めなさい。
【1】<共立女子>
ペンケースを定価の25%引きで買ったら630円でした。このペンケースの定価は[ ]円です。
【2】<開智未来>
[ ]円で仕入れた品物に25%の利益を見込んで定価を6000円にしました。
【3】<成城学園・改題>
仕入れ値2500円の商品に40%の利益が出るように定価をつけましたが
売れなかったので定価の2割引きの[ ]円で販売しました。
【4】<成城・改題>
2000円で仕入れた品物に、[ ]%の利益を見込んで定価をつけて売ったところ
360円の利益がありました。
【5】<日本女子大附属>
ある品物に仕入れ値の2割の利益を見込んで定価をつけたところ
売れなかったので、定価の15%引きの2550円で売りました。
この品物の仕入れ値は[ ]円です。
解説【1】
値引き率、売り値があるので、売り値が求められる
定価×(1-0.25)=630円
定価=630÷0.75=630÷3/4==840(円)
解説【2】
利益率、定価があるので、原価が求められる
原価×(1+0.25)=6000円
原価=6000÷1.25=6000÷5/4==4800(円)
解説【3】
原価、利益率があるので、定価が求められる
2500×(1+0.4)=3500円
定価、値引き率があるので、売り値が求められる
3500×(1-0.2)=2800(円)
解説【4】
原価、利益があるので、売り値が求められる
売り値-2000=360円
売り値=2000+360=2360円
定価で売っているので、定価=売り値
原価、定価がわかっているので、利益率が求められる
2000×(1+利益率)=2360円
利益率=2360÷2000-1=0.18=18(%)
解説【5】
値引き率、売り値があるので、定価が求められる
定価×(1ー0.15)=2550円
定価=2550÷0.85=3000円
利益率、定価があるので、原価が求められる
原価×(1-0.2)=3000円
原価=3000÷0.8=3750(円)
ここまでのトレーニングにより
商品1個バージョンで、適切な3点セットをとらえ
問題を解くために必要な処理ができるようになりました。
次回は、原価・定価・売り値・利益の4つがすべて登場する
値段設定の流れを行き来するトレーニングです。
それではまた~