みなさん、こんにちは。 海田真凜です。
前回に続き、今回のお題も
「売買損益」
「売買損益、大嫌い」というお子さんが
つまずきやすいのは以下の4段階。
① 値段設定の割増し、割引き、利益の処理が安定しない。
② 値段設定の流れ(原価・定価・売り値・利益)を行き来できない。
③ 商品が1個のときは大丈夫。でも「個数」が出てくると正答率が下がる。
④ 値段や個数が不明な問題で、どこまで比を使ってよいのか判断できない。
前回は、上記の③段階でのつまずき解消のためのトレーニングを行いました。
いよいよ、最後の④段階に入ります。
④段階でのつまずき解消のためのトレーニングは、Part.1・Part2の2本立て。
今回はPart.1です。
では、いきましょう。
< 今回の到達目標 >
こんな問題があります。
ある商品を何個か仕入れ、1/6は原価の3割増し、残りは原価の4割増しの値段で売ったところ
全部で1380円の利益になりました。仕入れにかかった金額は全部でいくらですか。
商品を何個か仕入れ、30%の利益を見込んで定価をつけました。仕入れた商品を売り切ることは
できず、36個売れ残ってしまい、全体では12%の利益になりました。仕入れた商品は全部で何個
ですか。
なんか、解きにくい。
理由は、問題文中に与えられた実際の数量が少なすぎるからです。
前回のトレーニングで、値段や個数などの実際の数量が不足しているときは
100や 1 といった比でおきましたね。
今回は、比でおくのではなく、勝手に決めるのです。
ここで絶対におさえておいてほしいルールがあります。
売買損益に限らず、算数の問題を解くときに
具体的な数値が出てこない単位のものは、問題でそれを問われていない限り
自分で好きな数に決めてよい
という、とてもありがた~いルール。ご存知ですか?
重要なので、もう一度、声を大にして言いますね。
具体的な数値が出てこない単位のものは、問題でそれを問われていない限り
自分で好きな数に決めてよい
例えば、原価▲円という具体的な金額が出てこなければ
原価を答える問題でない限り、原価は好きに決めてよい
例えば、商品▲個という具体的な個数が出てこなければ
商品の個数を答える問題でない限り、個数は好きに決めてよい
このルールを認識している生徒は、迷わず勝手に数値設定を行います。
今回の到達目標は、上記の例題のような実際の数量が不足している問題で
自分で勝手に数値設定をして解き進める。
では、トレーニング開始!
< 値段は好きにして ♡のトレーニング >
まずは、値段を勝手に決めて解くトレーニング。
トレーニング1
売れなかったため、値下げし、定価の1割引きで売りました。
何%の利益になりましたか。
定価で15個売れたあと、残りは定価の2割引きで全て売れました。
全体の利益は何%になりましたか。
解説1.
この問題で「具体的な数値が出てこない単位のもの」=金額(円)ですね。
そして、金額を答える問題ではありません。
よって、値段は好きに決めてよいのです。
原価を100円にしましょう。
比の100円ではありません。
100円という実際の値段です。
このあとは、商品1個バージョンの型にあてはめます。
げ 100円
↓
て 100×(1+0.3)=130円
↓
う 130×(1-0.1)=117円
➡り 117-100=17円
「何%の利益になりましたか」
売買損益の問題文では、よく出てくる言い回しです。
あらためて確認しておきますが
「利益」とは「原価」に対してつけるもの。
よって、「何%の利益?」とは「原価の何%の利益?」という意味でしたね。
隠れた言葉を補って考えましょう。
利益17円は原価100円の何%か?
17÷100=0.17=17%
解説2.
この問題でも「具体的な数値が出てこない単位のもの」=金額(円)ですね。
そして、金額を答える問題ではありません。
よって、値段は好きに決めてよいのです。
原価100円とし、商品たくさんバージョンの型にあてはめます。
げ 100円 × 20個 = 2000円 総仕入れ
て 140円 × 15個 = 2100円 ⤵
2660円 総売上
う 112円 × 5個 = 560円 ⤴
総売上 - 総仕入れ = 総利益
2660円 2000円 660円
「全体の利益は何%?」とは「全体の利益は総仕入れの何%?」なので
660÷2000=0.33=33%
< 個数は好きにして ♡のトレーニング >
次は、個数を勝手に決めて解くトレーニング。
トレーニング2
仕入れた商品の1/5は3割2分の利益を見込んでつけた定価で売り
残りの商品は定価から値引きして売ったところ
すべての商品を売ることができ、利益は600円になりました。
残りの商品は原価の何割何分増しで売りましたか。
5割の利益を見込んで定価をつけ、仕入れた商品の75%を売りました。
残りは定価の何割引きかですべて売ったところ、利益は42.5%になりました。
残りの商品は定価の何割引きで売りましたか。
解説1
この問題で「具体的な数値が出てこない単位のもの」=個数(個)ですね。
そして、個数を答える問題ではありません。
よって、個数は好きに決めてよい、と。
「仕入れた商品の1/5」と分数で表されているときは
仕入れた商品の個数を分母の5個にする と、計算がラクになります。
5個仕入れて2500円なので
商品1個の原価は 2500÷5=500円
定価は 500×(1+0.32)=660円
あとは、商品たくさんバージョンの型にあてはめます。
げ 500円 × 5個 = 2500円 総仕入れ
て 660円 × 1個 = 660円 ⤵
3100円 総売上
う ㋐円 × 4個 = ㋑円 ⤴
総売上 - 総仕入れ = 総利益
㋒円 2500円 600円
㋒=2500+600=3100円
㋑=3100-660=2440円
㋐=2440÷4=610円
よって、610÷500-1=0.22=2割2分増し
解説2
▲個という具体的な個数が与えられていない
個数を求める問題ではない
よって、個数を好きに決めます。
「仕入れた商品の75%」と百分率で表されているときは
・100個とする
・75%=0.75=3/4なので、分母の4個にする
のどちらかでしょう。
ここでは、仕入れた商品を4個にします。
4個仕入れて4000円なので
商品1個の原価 4000÷4=1000円
定価 1000×(1+0.5)=1500円
「利益は42.5%」とは「総仕入れの42.5%」なので
総利益 4000×0.425=1700円
あとは、商品たくさんバージョンの型にあてはめます。
げ 1000円 × 4個 = 4000円 総仕入れ
て 1500円 × 3個 = 4500円 ⤵
3100円 総売上
う ㋐円 × 1個 = ㋐円 ⤴
総売上 - 総仕入れ = 総利益
㋑円 4000円 1700円
㋑=4000+1700=5700円
㋐=5700-4500=1200円
よって
1500×(1-値引き率)=1200円
値引き率=1-1200÷1500=0.2=2割引き
< まとめ >
最後にもう一度、算数のありがたいルールを確認しておきましょう。
具体的な数値が出てこない単位のものは、問題でそれを問われていない限り
自分で好きな数に決めてよい
値段や個数について、実際の数値が与えられていない場合には
問題でそれを問われていない限り自分で勝手に決めて解き進める。
今回のトレーニングでだいぶ慣れたかと思います。
次回は④段階のトレーニングPart.2。
売買損益シリーズの最終回となります。
それではまた~