先日、かつての教え子から大学合格の嬉しい報告を受けました。
彼女と出会ったのは5年生の12月。
裕福なご家庭の末っ子で、おっとり・上品、趣味はバイオリンという絵に描いたようなお嬢様。
そんな彼女の夢は、医者になること。
身内に医者がいるというわけではなく、テレビのドキュメンタリー番組で”国境なき医師団”の活躍を見て、自分もそこに加わりたいと考えたそうです。
家庭環境からして、医学部が上にある付属校、あるいは私立医科大の指定校推薦枠を持つ進学校を受験するのかと思いきや、
豊島岡女子学園 → 国立大学医学部 → 国境なき医師団
が彼女の未来設計図でした。
当時、偏差値55前後。
これまで何不自由なく育ってきたように思える彼女が、豊島岡女子に向けて果たしてどれだけ頑張れるのか、先行きが読めませんでした。
ところが私の不安をよそに、彼女は「先生の言う通りにする。絶対についていく。」との宣言通り、鬼のようなカリキュラムをこなし、見事合格。
「医者になるという夢があるので、どんなにつらくても平気だったし、モチベーションが下がることもなかった」と12歳の彼女は言い切りました。
そして、6年後の今春、某国立大学医学部に現役合格を果たし、医者に向けての第一歩を踏み出すことに。
聞けば、”国境なき医師団”に加わるための体力作りとして中・高と体育会系のクラブに所属し、空気の薄い高地での活動に備えて大学では山岳サークルに入ろうかと考えているそう。
「5年生のときに”国境なき医師団”を目指して以来、その夢が一度もブレたことはないんです。あ、でも今は夢というより、実現すべき計画の一環ですけど。」
いやいや、参りました。見習わねば。
当時と変わらず、華奢な身体つきで上品な佇まい。なのに、一体どこからその強さが出てくるのか。
彼女に限らず、これまでかかわった1000人近くの生徒達の中で、確固たる将来の夢を持っている生徒は全員強かったと記憶しています。
単なる志望校への想いだけでなく、その先の将来を見据えた上での志望校への想いを抱くことができれば、一歩リードかもしれませんね。
というわけで、早速、とある6年生に将来の夢をたずねたところ、
「遊びたい。勉強したくない。」
それって、将来の夢ですか? 今やりたいことに過ぎないと思うんですけど。
「で、先生は? 大きくなったら何になりたいの?」
・・・は?
私は大人として見なされていないのか。
それとも、老後の計画を質問されているのか。(老後はハワイでしょ。暖かいし、日本語通じるし。)
こんな6年生を、来年の1月までには受験生として育て上げなければならないのです。
もう、頑張りますよ。見てて下さい。