この時期、大手塾の5年生は、円・おうぎ形の求積について学習を終えています。
ということは、円周率計算の学習も終えています。
ということは、当然、円周率計算はまとめて「最後に」「1回だけ」行う習慣がついているはず。
・・・なのに、習慣化されていない生徒が散見されるのは・・・なぜ?
半径6cmの大きい円から半径4cmの小さい円をひいて、ドーナツ型の面積を求めるという典型問題。
大きい円の面積を求め 6 × 6 × 3.14 = 113.04
小さい円の面積を求め 4 × 4 × 3.14 = 50.24
大きい円から小さい円をひく 113.04 - 50.24 = 62.8
という解き方。 ・・・最悪です(泣)。
なぜ「× 3.14」の計算を1回で済ませないのでしょう?
大きい円の面積は問われていない。小さい円の面積も問われていない。
問われていないものの数値を求めても無意味です。
一気にドーナツ型の面積を求めましょう。
6 × 6 × 3.14 - 4 × 4 × 3.14
=( 36-16 ) × 3.14
= 20 × 3.14
= 62.8
このように、「× 3.14」の計算はまとめて最後に1回だけ行うのが鉄則です。
まとめない生徒がよく口にすること。
曰く 「まとめると、かえってミスしちゃう」 ← 単に練習不足なだけです
曰く 「やろうと思えばできるよ」 ← 普段やっていないことはテストでも本番でもできません
曰く 「面倒だし」 ← ・・・受験やめましょう
算数の指導において、生徒の解き方や考え方、個性を尊重する局面は往々にしてあります。ただ、円周率計算では個性を発揮する余地はないでしょう。
初学時に正しい計算方法を身につけることが肝要ですが、まだ5年生のこの時期であれば修正可能です。時期を逸すると、計算の癖を修正するには相当な時間がかかります。
また、計算力をつけるには軸になる数値を暗記するのが必須であるように、円周率計算においても数値を暗記するのが鉄則です。
「3.14 × 1桁の数」,の答えを暗記するのはもちろんですが、
3.14 × 12 = 37.68
3.14 × 15 = 47.1
3.14 × 16 = 50.24
3.14 × 25 = 78.5
3.14 × 36 = 113.04
の答えも暗記しておきましょう。
よく語呂合わせで覚える生徒がいますが、思い出すときに一旦言葉をたどってから数字に置き換えるため、その分時間がかかります。処理速度を上げるという観点からは、数値そのものを暗記できるのであれば、それに越したことはないでしょう。
これらの数値を暗記している生徒とそうでない生徒とでは、今後大きく差がついていきます。暗記してみると、いかに処理速度が上がるか実感するはずです。
で、結論。
➀ 式をまとめて「× 3.14」は最後に1回だけ計算する習慣を。
➁ 「× 3.14」の答えで軸になる数値は完全暗記。