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投稿日:2018年04月19日

テーマ: 国語

作問者が語る、入試でよく出る作家の秘密

みなさん、こんにちは。
受験ドクター国語科の村岡です。

今回は「作問者が語る、入試でよく出る作家の秘密」と題しまして、中学受験の国語で出題されやすい文章とはどのようなものか、についてお話していきたいと思います。

タイトルに「作問者が語る」とありますが、私前職では志望校別コースの模試・教材作成に携わっておりまして、様々な視点から問題を作成してきた経験とからお話ししていこうと思っております。

まず、近年の入試においてよく出題される作家として挙げられるのは、
椰月 美智子さん
佐川 光晴さん
重松 清さん
森 絵都さん

などが挙げられます。重松清さんは、あまりにも有名ですね。長年出題されているもはや「定番」の作家さんと言えるのではないでしょうか。

また、最近特に目にすることが多くなったと感じる作家さんとしては、
辻村 深月さん
宮下 奈都さん

などが挙げられると思います。ここまでにご紹介させていただいた方々が、いわゆる「トレンド」の作家さんと言ってよいのではないでしょうか。

ここで、一つ疑問が。。。
なぜ数多くいる作家さんの中でこの方々の出題頻度が高いのでしょうか?
もしかするとこの「疑問」が解ければ、文章を的中させることも夢ではないのでは・・・?

…そんな風に思っていた時が私にもありました。

結論から言えば、文章を的中させることには、メリットもありますが、リスクもあります。
それは出題者によって、文章をどのように問題として仕上げていくかということが変わるということです。

学校側の出題者と同じ方向性で解釈し、作問するのであれば圧倒的に有利になります。
当然、出題する範囲も一致させたとなれば、作問担当は小躍りするでしょう(笑)

しかしながら、方向性を違えてしまうとかなりまずい…

初めからずれているわけですし、ましてや一度見たことがある問題であれば、丁寧に読むこともなくなります。いわゆる「浮足立った」状態で読み解くことになるので、正しく解答までたどり着けないということも・・・

なので、文章が当たる当たらないはあくまで「おまけ」という要素で考えていくといいでしょう。

話がそれました。本題に戻ります。

なぜ数多くいる作家さんの中でこの方々の出題頻度が高いのか?

でしたね。
内容が素晴らしいのはもちろんですが、「問題としてききたくなる場所が多い」ということが一番だと思います。
重松清さんを例に挙げると、重松さんの文章には、少年の揺れ動く複雑な心情巧みな比喩表現、そして微妙な心情を描いてある部分が比較的たくさんあります。簡単に言えば、「なんとなくわかるんだけど、言葉にできない」という部分です。こういった部分をどれだけ言語化できるか、それが国語力の一つの目安と考えられることが多いのではないかと思います。

こう考えていくと先の疑問への答えは、一読して「ん?」と立ち止まって考えたくなる部分がたくさんあるから、といえそうですね。なかなか児童文学などをお読みになる時間はないのではないかと思いますが、もしご覧になったときにはこういったことを少し頭の片隅にでも置いておいていただければな、と思います。

私のおすすめをご紹介して終わりにしたいと思います。
森 絵都さん「クラスメイツ」
重松 清さん「はじめての文学」(「あいつの年賀状」「カレーライス」「タオル」がお勧めです!)

ライトな感じではありますが、読後感は保証します。お時間あれば是非!

では、またお会いしましょう!

 

 

国語ドクター