こんにちは、社会科担当の長門 明です。
受験生にとっては、「入試の天王山」と呼ばれる夏期講習が始まります。
社会については、この夏からより総合的な実戦演習が本格的に始まります。
地理や歴史については、1学期の授業や試験でも、総合演習に触れる機会がありましたが、
公民の学習については、速いスピードで進めてきたことや、難しい専門用語も多いこともあり
混乱していて定着に不安が残っている人も多いのではないかと思います。
そこで、今回は紛らわしい公民用語の見分け方と題して、前回の「歴史編」に続きまして
紛らわしい公民用語の識別について、ポイント解説をいくつか紹介させていただきます。
夏の社会の学習を有意義に進める意味でも、是非活用してみてください!
< 解決!紛らわしい公民用語の見分け方 >
①「投票」するのが選挙権、「立候補」するのが被選挙権
国民が政治に参加する権利である「参政権」は、大きく2つに分けられます。
選挙権は、自分の代わりとなる候補者に「投票」できる権利で、間接的に政治に参加します。
被選挙権は、自らが候補者として「立候補」できる権利で、直接的に政治に参加します。
基本単語ですが、「投票」して他人に政治を任せるのか、「立候補」して自分で政治を行うか、
「関わり方の違い」を理解して、しっかり区別しましょう。
②内閣が出すのが「政令」、地方自治体が出すのが「条例」
政令は、内閣が制定する命令のことです。
政令は、内閣が定めるため、日本全国で適用される法令となります。
条例は、地方自治体が制定する法令のことで、その自治体のみに適用される法令です。
また、条例は、住民の署名を集めることで改廃することも可能です。
政令の「令」と、条例の「例」は、同じ音ですが違う字を使っていることも注意しましょう。
③衆議院は「拘束名簿式」、参議院は「非拘束名簿式」
比例代表制の選挙制度に使われる用語です。漢字も難しいですよね。
拘束名簿式は、政党があらかじめ当選順位を決めた候補者リスト(名簿)を提出します。
有権者が投票の際に記入できるのは、「政党名」のみでした。
非拘束名簿式は、政党は当選順位を決めず候補者リスト(名簿)を提出します。
有権者は、「政党名」または「候補者名」どちらかを書けば、「1票」として数えられます。
そして、政党内の当選者は、獲得投票数の多い候補者から決定していくものです。
「拘束名簿式」は衆議院議員選挙で、「非拘束名簿式」は参議院議員選挙で
採用されていることも覚えておきましょう。
④裁判を受ける権利が「請求権」、住民が署名するのが「直接請求権」
請求権とは、基本的人権の1つで、人権が侵害された場合に裁判を行える権利です。
直接請求権は、地方自治において、署名を集めて住民の意思を政治に反映する権利です。
条例の改廃や、首長・議員の解職、議会の解散などを請求することができます。
同じ「請求権」という言葉が入っていても、使われる場面や内容で区別しましょう。
⑤使い道指定なのが「国庫支出金」、使い道自由なのが「地方交付税」
国庫支出金は、国が使い道を特定して地方自治体に支給する支出金のことです。
地方交付税は、国が使い道の指定をせず地方自治体に交付する支出金のことです。
地方交付税は、地方自治体間の財源の均質化を目的として、税収の少ない自治体に
対して交付されているため、日本で最も財源の多い東京都は地方交付税を受けていません。
⑥事前調査が「環境アセスメント」、土地の買い取りが「ナショナルトラスト運動」
環境アセスメントは、大規模な事業を行う場合に、事前に環境への影響を調査することです。
ナショナルトラスト運動は、環境保護のために、土地を買い上げて保全する活動です。
英語の発音が含まれる用語ですので、しっかりと「意味の違い」を確認しておきましょう。
⑦最高裁裁判官の審査が「国民審査」、憲法改正の手続きが「国民投票」
国民審査は、最高裁の裁判官について国民が適切かどうか審査する制度です。
最高裁の裁判官は、任命後に初めて行われる衆議院議員選挙の際に審査を受けます。
国民投票は、憲法改正の最終手続きとして主権者である国民が行う投票のことです。
現在の日本では、憲法改正のためには、国民投票で過半数の賛成が必要となります。
「主権者」である私たち国民が最終的な判断を行うという意味でも、しっかり確認しましょう。
⑧代表者を選出して話し合うのが「間接民主制」、連帯責任が「議院内閣制」
間接民主制とは、代表者を選出して政治を進めていく形態のことです。
ちなみに、「学級会」のような、全員参加で話しあう場合は「直接民主制」となります。
議院内閣制とは、国会と内閣が連帯して責任を負う制度のことです。
「連帯して責任を負う」とは、どちらか一方が信任を得られない場合、もう一方も信任を失う
ことになります。どちらも入試必出の用語です。しっかり区別しましょう。
<まとめ>
いかがでしたでしょうか。
今回は、前回の歴史用語より難しい用語が多く、なかなか内容をイメージしにくい用語も
多かったと思います。
だからこそ、しっかりと「識別」することで、ライバルに1歩も2歩もリードできるようになります。
「勝負の夏」、皆さん悔いのないように頑張って下さい!
それではまた!長門でした!