【問 題】
図1のように「やじろべえ」を作り、ゆらしていました。
左右のおもりの大きさと重さは同じものとします。
次に「やじろべえ」の棒の広げ方や長さを変えて、
図2のような三種類の「やじろべえ」を作りました。
図1と比べて、図2(1)、(2)は、棒の長さは同じですが、広げ方がちがいます。
(3)は棒の広げ方は同じですが長さがちがいます。
図1の「やじろべえ」と比べて、図2の三種類の「やじろべえ」はそれぞれ、
どのような動き(ゆれ方)をするでしょうか。
次のア~エから選びなさい。
ア はやくゆれる。
イ ゆっくりとゆれる。
ウ 同じようにゆれる。
エ バランスをくずしてうまくゆれない。
【解答・解説】
~★「重心」が重要
てこやてんびんなどの「つりあいの問題」は「重心」を考えることが
重要です。
「重心」とは
重さの中心となっている点
物体を一点で支えたときに、ちょうど釣り合う点
です。
つまり、もののつりあいを考える時、この「重心」がどこにあり、どのような
動きをするのか、がわかればいいことになります。
~★図1の「やじろべぇ」の重心は?
図1の「やじろべぇ」の重心は下図を見てください。支点の真下、おもりより
少し下にあります。
~★ 図2(1)の「やじろべぇ」の重心
図2(1)の「やじろべぇ」の重心は下図のように、支点より上にあります。
重心が支点より上にあるとき、「やじろべぇ」はどのような動きをする
のでしょうか。
コマを考えてみましょう。
コマは上図のように重心が支点よりも上にあります。うまくやれば、
まっすぐ立つこともありますが、ちょっとしたゆれで、すぐ倒れてしまいます。
つまり、重心が支点よりも上にあると、不安定で倒れてしまうのです。
答.(1) エ
~★ 図2(3)の「やじろべぇ」のゆれ
まず、図1を左右にゆらしてみましょう。
上の図から「やじろべぇ」を消して、支点と重心の動きだけを示したのが
下の図です。
図1と図2(3)を比べて見ましょう。
図2(3)は図1のうでを伸ばしただけですので、図1と図2(3)の動きの違いは
「ふりこの運動」を考えることによって、理解することができます。
「ふりこの運動」はの周期(おもりが往復するのにかかる時間)は、おもりの
重さや振幅に関係なく、ふりこの長さに影響されます。
下の表のように、ふりこの長さを4倍にすると周期は2倍、9倍にすると
周期は3倍になります。
つまり、同じ角度を動く時間は、ふりこの長さが長ければ長いほど多く
かかり、ゆっくりうごくわけです。
答.(2) イ
~★ 図2(2)の「やじろべぇ」のゆれ
図2(2)は図1と比べる時に「ふりこの運動」で考えることができません。
支点から重心までの長さが同じでも、「やじろべぇ」のうでの開きの角度や
おもりの重さが異なれば、動きは変わってきます。
この点が「ふりこの動き」と「やじろべぇ」と違う点です。
図1と図2(2)の動きの違いは、回転力で考えます。
下図のように、「やじろべぇ」の回転力を考える場合、てんびんにおきかえて
みます。
回転力=支点からの距離×おもりの重さ
です。
「やじろべぇ」を傾けた時、左右の回転力の差が大きいほうが、はやく
ゆれます。
図1と図2(2)の回転力の差をみてみましょう。
図1において、支点からおもりまでの長さを4.5cmとして半円を描き、
10°右に傾けた時の回転力の差を計算してみます。
方眼紙に図を描いてみましょう。10°右に傾けた時の支点からの距離を
図ってみると数のようになります。
左(右回り)と右(左回り)の回転力は、おもりの重さを”1”とすると
それぞれ、
左(右回り)=1.3 × 1 = 1.3
右(左回り)=2.1 × 1 = 2.1
差は 2.1 - 1.3 = 0.8
図2(2)はどうでしょう。
上の図のようになり、回転力を計算すると、
左(右回り)=4.2 × 1 = 4.2
右(左回り)=4.7 × 1 = 4.7
差は 4.7 - 4.2 = 0.5
となり、図1は図2(2)より、元に戻ろうとする力が強く、はやく動きます。
つまり、図2(2)のよがゆっくり動きます。
答.(2) イ
このように「やじろべぇ」は「ふりこの動き」と「てんびんの動き」などが
組み合わさった動きをします。
うでの長さや、うでの開きの角度、おもりの重さなどを変えた「やじろべぇ」を
つくってみて動きを観察すると面白いと思います。