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投稿日:2012年06月28日

テーマ: 理科 / 自由が丘校

自由が丘校 理科の問題 ~★月からみた地球★~

【問  題】
1968年にアメリカによって打ち上げられたアポロ8号は、初めて月を周回した有人宇宙船である。
搭乗していた3人の宇宙飛行士は、人類で初めて月の裏側を目撃した人物となった。
図2は、このとき図1のAの●上空から撮影された月面と地球の写真である。

(1)このとき、●から見える太陽の様子を示した文を次のア~エから選びなさい。
ア 太陽は見えない。
イ 地平線から出現した直後である。
ウ 地平線よりかなり高いところにある。
エ 地平線に沈む直前である。

(2)このあと1週間、●で地球を観測し続けた場合、地球の位置と形はどのように変化してゆくか。
次のア~エからそれぞれ選びなさい。

[位置]
ア しだいに地平線からはなれていく。
イ ほとんど変わらない。
ウ しだいに地平線に近づいてゆく。

[形]
ア しだいに満ちてゆく。
イ ほとんど変わらない。
ウ しだいに欠けてゆく。

 

【解答・解説】

~★(1)の解説 ★~

下図を見てください。星に立っている状態を大げさに書いています。
地面は図のようになり、この地面に近い方向に見える星は地平線に見え、
上の方向は高い位置に見えます。これは月でも地球でも同じです。

 

問題の●の点に立っている場合はどうなるでしょう。

 

 

上の図のように、太陽は上の方向にありますから、高い位置に見えます。
ちなみに地球は横にありますから地平線の近くに見えるのです。

答   ウ

 

~★(2)の解説 ★~

(2)はよく解らないからカンで答えた、という生徒さんも多いと思いますが、
月に関する基本的な知識をもとに、考えて解くことができる、いい問題です。
さすが女子学院、と感心してしまいます。

 

~★ まずは地球から考える ★~

問題を考える前に、地球から月や太陽を見た場合どのように動くか考えてみましょう。

星の1日の動きを「日周運動」といいます。これは地球の自転によるものと教えられますが、
公転は関係ないのでしょうか。

これは地球の自転と公転の速さが関係しています。

転の速さは、1日で360° 回るので、
      1時間で 360°÷24時間=15° 動きます。
公転は1年で360° 回るので、
      1日で 360°÷365日=0.98・・・° 動きます。

つまり、地球の公転は、1日で約1°しか動かないため、
1日の星の動きに対する影響は少なく、自転は公転に比べて速いため、影響が大きいのです。

地球の自転は西から東に動いているので、地球から見ると、
太陽、月、星は東から西に動いて見えます。

 

~★ 月の自転と公転は ★~

月の自転と公転周期はどのようになっているでしょうか。

月の自転と公転周期は同じで、約27.3日

です。

このため地球から見ると、月の同じ面しか見ることができません
この問題では、その後1週間観測を●の場所で行います。
1週間たつと月はどこまで動くのかを考えます。

月の満ち欠けの周期は約29.5日です。30日として計算すると90°動くのは、

    30日÷4=7.5日

となり、約1週間で90°動くことがわかります。

では、月が自転していない場合、1週間後どのようになっているか考えてみましょう。
それが下図です。

 

このように自転していないと他の月の面が地球から見えることになります。
月が公転周期と同じ周期で自転していると下図のようになります。

 

 

●の位置は1週間たつと図のようになります。
ここからみると地球はどの方向に見えるか、を表したのが、下図です。

 

 

図のように、月の●の場所で観測を続けると、地球は同じ方向に見ることができます。

さらに、地球は上半分を太陽に照らされているので、月がAの位置にある場合は、
月で言う「下げんの月」になります。

Bの位置で見ると「新月」になります。
つまり、地球は「下げん」からどんどん欠けてゆくことになります。

答  位置 イ   形 ウ

 

~★ 月の学習法 ★~

月の動きを理解するに、一番重要なのが、「月の公転図」です。
「月の公転図」を見なくても自分で書けるようにしてください。

これを理解すれば、何時にどの方向にどんな月が見えるのか、
月からみると地球はどの方向に見えるのか、など月に関する殆どの問題が解けるようになります。