【問 題】
8月のこの時期、アサガオは毎朝、日の出とほぼ同じ5時ごろに花を咲かせます。
アサガオの鉢を2つ用意して実験を行いました。
1つは、19時に日がしずんだ後、明るさは外と変わらないけれども気温を18℃(外は
毎晩25℃以上あります)に設定した部屋に、朝8時までに入れました。
もう1つは、日がしずんだ後、気温は外と変わらないけれども光りの入らない部屋に、
同じく朝8時まで入れました。
①結果は、どちらの鉢も朝5時に花を咲かせました。
そこで、つぼみができたばかりのアサガオの鉢を3つ用意して、昼と夜の周期を次のように変えて
実験してみました。
(1)今と同じ、5時から19時までが明るく19時から5時までが暗い周期。
(2)今よりも明るい時間が長くなる、4時から20時までが明るく20時から4時までが
暗い周期。
(3)今よりも明るい時間が短くなる、6時から18時までが明るく、18時から6時まで
が暗い周期。
アサガオの花の咲く時刻が変わったのです。
(1)は今までと同じ5時
(2)は6時
(3)は4時
に花が咲きました。
最後にこんな実験をしました。結果は6時に花が咲くと予想しました。
(4)6時から20時までが明るく20時から6時までが暗い周期。
結果は、予想通り、朝6時に花が咲きました。
8時に花を咲かせるために、②すべてのアサガオの鉢にある仕掛けをしました。
問1 右の表は、観察したアサガオの花の特ちょうをまとめたものです。表のア~ウに
当てはまる数字を答えなさい。
問2 アサガオ、チューリップ、タンポポの花を、次のA~Eの中からそれぞれ1つずつ選び、
記号で答えなさい。
問3 下線部①の結果からわかることを、次のA~Dの中から選び、記号で答えなさい。
A アサガオの花は気温が上がることがきっかけで咲く。
B アサガオの花は明るくなることがきっかけで咲く。
C アサガオの花は気温が上がり、かつ明るくなることがきっかけで咲く。
D 気温が上がることも明るくなることもアサガオの花が咲く時期とは無関係。
問4 アサガオの花が咲く時期は、どのように決められていると考えられますか。
次の( エ )に当てはまる言葉を15字以内で答えなさい。
「アサガオは( エ )に花が咲く」
問5 下線部②の、「しかけ」とはどのようなものだと考えられますか。
次のA~Dの中から1つ選び、記号で答えなさい。
A タイマーを用いて、日がしずむ少し前から22時まで光りを当てておく。
B 日がしずむ3時間前の16時から箱をかぶせて暗くしてしまう。
C タイマーを用いて、日がのぼる3時間前の2時から光りを当てておく。
D 8時から23時までが明るく、23時から8時までが暗い周期の部屋に入れる。
[開成中学]
【解説・解答】
~★ 文章の重要な部分だけに注目する!
問題文は非常に長いので、ポイントをまとめて掲載してあります。
逆に言うと、ここに書いてある内容が重要で他の部分は読み飛ばしてかまわないということです。
問題文の大事な部分にかならずマークして、そこに注目するようにしましょう。
~★ 問1、2の解説 アサガオの花の基本的知識
■問1
アサガオについては下記を基本知識として身につけた方がいいでしょう。
●分類 ヒルガオ科
●がく5枚
●花びら(花弁) 5枚 合弁花
●おしべ 5本
●めしべ 1本
●種子 3~6個
●受粉 自家受粉 虫媒花
●その他 つる性 つるは(上から見ると)左回り つぼみは(上から見ると)右回り
ヒルガオ科の他の植物、自家受粉の仕方、なども
押さえておきましょう(知りたい人は質問してください)。
答 ア:1 イ:5 ウ:5
■問2
答 アサガオ:C チューリップ:B タンポポ:E
~★ 問3の解説 表にして実験の違いに注目しよう
■問3
2つの鉢の状態を表にまとめてみましょう。
2つを比較して結果に与える影響を調べるためには、1つの項目だけ異なるようにして、
他の項目はすべて同じ条件にすることが基本です。
そうしないと、なにが原因で結果が変わったのかわかりません。
その意味では、この実験はいい実験とは言えません。
さて、表の中で注意しないといけないのが、“明るさ”です。①の鉢は“外と同じ”となっています。
初めは真っ暗ですが、アサガオが咲く季節は夏ですので、あさ5時くらいに太陽がのぼってきます。
①と②の鉢の明るさの違いをまとめると
①の鉢は午前5時ごろに明るくなってくる
②の鉢はずっと真っ暗
と条件は違いますが結果は同じです。つまり、明るさに影響されて花が咲くわけではありません。
もうひとつの違いは気温です。
①の鉢は18℃
②の鉢は25℃以上
気温を変えても結果は同じですから、チューリップとは違い、
アサガオの花が咲くことに気温は関係ありません。
予断ですが、チューリップの花が咲くことにどうして気温が関係しているのか、
考えみるのも面白いです。
答 D
~★ 問4、5の解説 同じように、“違い”と“同じ”に注目!
■問4
(1)~(4)を同様に表にまとめて見ましょう。
この表をながめていても答は出ません。ひらめきやカンではなく、
理屈でアサガオの花が咲くメカニズムを追い詰めてゆきましょう。
まず、花が咲いた時刻が同じである、(2)と(4)を比べてみます。
(2)と(4)の
違う点は明るい周期の始まりが4時と5時です。
同じ点は明るい周期の終わりが20時であることです。
結果が同じですから、明るい周期の始まりが違っても関係がないということです。
逆に、明るい周期の終わりの時刻が関係あるのではないか、と予想できます。
この点を確認するために、今度は、明るい周期の始まりは同じで、
明るい周期の終わりの時間が違っている(3)と(4)と比べてみましょう。
(3)は明るい周期の終わりが18時 → 花が咲いた時刻が朝4時
(4)は明るい周期の終わりが20時 → 花が咲いた時刻が朝6時
明るい周期の終わりが2時間ずれると、花が咲く時刻も2時間ずれています。
つまり、
花の咲く時刻は明るい周期の終わりの時刻に関係があり、
その長さが同じであること
がわかります。
明るさの周期の終わりの時間から花が咲く時刻までは
翌朝6時(30時) - 20時 = 10時間
かかります。
答 日がしずんだ後(暗くなってから)、10時間後
■問5
8時に咲かせるのですから、10時間前に暗くなるようにしておけばOKです。
答 A