【問 題】
自然界には、約3000万種ともいわれる多様な生物がくらしています。
以下の生物は、一部です。次の問いに答えなさい。
(ア)ウミガメ (イ)ダチョウ (ウ)サンショウウオ (エ)ヒト
(オ)タラ (カ)ミジンコ (キ)シイタケ (ク)モンシロチョウ
(ケ)カニ (コ)ゾウリムシ (サ)タンポポ (シ)スギゴケ
(ス)ニュウサンキン (セ)ミミズ (ソ)ミドリムシ (タ)ゼンマイ
(チ)イチョウ (ツ)オワンクラゲ (テ)ウニ (ト)ワカメ
問1 (ア)~(オ)の生物の卵の大きさを比べ、大きい順に並べたとき、
3番目に来る生物を選び、記号で答えなさい。
問2 (ア)~(オ)の生物のうち、卵黄の割合が最も少ない卵を作るのはどれですか。
記号で答えなさい。
問3 問2で答えた生物の卵黄の割合が最も少ない理由を考え、40字以内で書きなさい。
問4 (ア)~(オ)の生物のうち、一生の間に肺呼吸をする期間があるものをすべて選び、
記号で答えなさい。
問5 (ア)~(ト)の生物のうち、イルカと最も近いグループに属する生物を選び、
記号で答えなさい。
問6 (ア)~(ト)の生物のうち、生きてゆくための栄養を自分の体の中で
作り出すことができるものをすべて選び、記号で答えなさい。
問7 (ア)~(ト)の生物のうち、からだが1つの細胞でできているものをすべて選び、
記号で答えなさい。
[慶應湘南藤沢]
【解答・解説】
~★ 問1
(ア)~(オ)がどんな動物((エ)はのぞきます)か、画像を載せておきます。
それぞれの卵はこんな感じです。
ウミガメの卵はピンポン玉くらいかちょっと大きいくらいで40mm。
ダチョウの卵は高さが大きいもので20cmもあり、世界最大級。
サンショウウオの卵は3mm~4mm、ヒトは0.14mm、タラは1.5mm
くらいです。
つまり、3番目にくるのはサンショウウオです。
答 (ウ)
ちなみに、普段食べている「たらこ」はスケトウダラ(スケソウダラ)の卵巣を
塩漬けにしたものです。
入試にはイラストで出ることが多いので、載せておきます。
~★ 問2、3
(ア)~(オ)のなかで、「胎生」は(エ) ヒト だけで、あとは「卵生」です。
卵生というのは、卵を外に産み落とす動物のことです。
産み落とされた卵はふ化するまで、卵の中ですごしますから、
卵の中に栄養を備える必要があります。これが卵黄です。
卵黄はふ化するまでの栄養です。また、ふ化した後も魚類などはすぐに
えさを取れないため、卵黄を体にくっつけて泳いで、
エサが取れるまでの栄養に使います。
これに対して「胎生」というのは、卵は外に産み落とされるのではなく、
お母さんのおなかの中で育ちます。
お母さんのおなかに「胎ばん」をつくり、そこから「へその緒」という管を
通して、お母さんから栄養をもらいます。
「へそ」はこの「へその緒」という管がつながっていたところです。
つまり、「胎生」は卵黄を多く必要としません。
ほ乳類は「胎生」、昆虫、クモの仲間、えび、カニなどの節足動物、
魚類、両生類、は虫類、鳥類はほとんど「卵生」です。
卵を産むほ乳類(卵生)として有名なのが、オーストラリアにいるカモノハシです。
このカモノハシの仲間にハリモグラがいますが、このハリモグラも卵を産みます。
サメやエイの一部、シーラカンスやグッピー、メバル、カサゴ、ウミタナゴ、
へびやトカゲの一部は卵ではなく、子供を産みます。
しかし、これは、胎ばんをつくって母親から栄養はもらうのではなく、
卵をおなかの中にためておいて、おなかの中でふ化させます。
ふ化するまでの栄養は卵の卵黄をつかうので、
「胎生」と区別して「卵胎生」といいます。
サメはいろいろあって、種類によって「卵生」、「卵胎生」、「胎生」と生み方が異なります。
タツノオトシゴはおなかから子供が出てくることで有名です。
「卵胎生」と思っている方も多いかと思います。
これは、オスのおなかにある育児のう(子供を育てるふくろ)にメスが卵を産みつけて、
オスが育児のうで卵を守り、ふ化した子供は、その後もしばらくは育児のうで過ごし、
オスのおなかからでてきます。
ですから、メスは卵を産むのであり、「卵生」です。
答 問2 (エ)
問3 生まれるまでに必要な栄養を母親から胎ばんを通してもらうから。
~★ 問4
魚類はえら呼吸、両生類はえら呼吸→肺呼吸、は虫類・鳥類・ほ乳類は
肺呼吸です。
ウミガメ(は虫類)、ダチョウ(鳥類)、サンショウウオ(両生類)、ヒト(ほ乳類)
タラ(魚類)ですから、
肺呼吸の時期があるのは、タラ(魚類)以外の動物です。
ちなみにサンショウウオの子供はこんな感じです。
答 (ア)、(イ)、(ウ)、(エ)
~★ 問5
まず、イルカとはどういう動物か、を確認しておきましょう。
イルカ、シャチ、クジラは同じ仲間で、ほ乳類です。
陸上にいる動物ではカバの仲間に近いそうです。
超音波を発して、どんなものがあるのか、を知ることができます。
それを、超音波を使って仲間に伝えることもできるそうです。
答 (エ)
~★ 問6
自分の体の中で栄養分を作れるのは植物とそれに近い生物です。
(シ)スギゴケ も植物のなかまで葉緑体を持ちます。
(タ)ゼンマイ シダ植物で新芽はワラビとならんで山菜の代表的な植物。
新芽を食用とします。
(ト)ワカメ は海藻です。コンブも海藻で同じ仲間です。
ちなみに (キ)シイタケ はキノコの仲間で植物ではありませんし、
葉緑体も持っていません。
答 (サ)、(シ)、(ソ)、(タ)、(チ)、(ト)
~★ 問7
体が1つの細胞でできてる生物を単細胞生物といいます。
ヒトは多細胞生物で、細胞の数は数十兆個だそうです。
単細胞生物は、プランクトンや細菌類が多く、この中では、
(コ)ゾウリムシ、(ニュウサンキン)、(ソ)ミドリムシ です。
なお、ニュウサンキンは、ある性質を持つ細菌の仲間をまとめた名前です。
ヨーグルト、乳酸菌飲料、つけ物などのつくるのに使われます。
ビフィズス菌もこの中に入ります。
答 (コ)、(ス)、(ソ)
最後にオワンクラゲの画像も載せておきます。
このように、慶應附属の中学は名前は聞いたことある生物の、
一歩突っ込んだ知識を要求されます。
毎日の食卓にのる食材がどんなものか、スーパーで見てみるのもいいでしょう。
四谷大塚の「予習シリーズ」に掲載されているさまざまな生物を
もう少し掘り下げて見るのも1つの手です。