今回の「基本を考えよう」は「タレースの定理」です。「タレースの定理」 というと聞きなれませんが、 「直径に対する円周角は、直角である」 図で表すと
です。ABが直径の場合、円周上のどの点Pをとっても、角APB(円周角) は直角になります。みなさん、よくご存知ですよね。 これを「タレース(タレス、ターレス)の定理」と言います。 「タレースの定理」はこれだけでなく、「対頂角は等しい」「二等辺三角形 の底角は等しい」など5~6個の定理を指します。今では当たり前のことば かりですが、紀元前6世紀ころのことです。 紀元前6世紀と言っても古すぎてピンときません(笑)。しかし、日本では当 時、弥生時代であることを考えると、タレースさんのすごさがなんとなく解 ります。 タレースさんとはどんな人物か タレースさんは古代ギリシャの数学者、哲学者、科学者です。 地面に棒を立てて、その影の長さでピラミッドの高さを言い当て、王様を驚 かせただとか、日食を予言して有名になったとか、オリーブの豊作を予想し て、一儲けしたとか、さまざまな逸話があります。 当時、エジプトでは測量術が高度に発達していました。しかし、それがどう して正しいのか、誰も証明しておらず、興味もなかったようです。 タレースさんは、「なぜ、そうなるのか」を証明し、図形に論理を組み込み、 論理で世界を考えることを確立しました。 科学、哲学、数学の創始者として、ギリシャの七賢人の一人に挙げられてい ます。 なぜ、直径に対する円周角は、直角なのか では、なぜ、直径に対する円周角は直角になるのでしょうか。 タレースさんは次のように証明しました。 まず、下図において、点Pと中心Oを結ぶ補助線を引きます。
半径はすべて等しいので 直線OA = 直線OP = 直線OB になります。 つまり、 三角形OAP と 三角形OBP は二等辺三角形 です。
上の図のように二等辺三角形の底角は等しいですから 角OAP = 角APO = 角ア 角OBP = 角BPO = 角イ になります。 三角形の内角の和は180度ですから、 角ア + 角ア + 角イ + 角イ = 180度 つまり ( 角ア + 角イ ) × 2 = 180度 角ア + 角イ = 90度 になります。ですから 角BPA = 90度 になるわけです。 今回の「基本を考えよう」は「タレースの定理」でした。