今回の「基本を考えよう」は「場合の数」です。
■順列の問題
【問題1】
1~5までのカードがそれぞれ1枚ずつあります。その中から3枚
選んで3桁の数字を作ります。何通りできるでしょうか。
【解答・解説】
公式を知っていれば簡単に解ける問題です。
5 × 4 × 3 = 60 (通り)
です。
早くて簡単に答が出せる便利な公式ですが、なぜ、このような公式で
答が出せるのか、きちんと理解していないと意味がありません。
「場合の数」の基本は樹形図です。樹形図を書いて確かめてみましょ
う。
まず、百の位が”1”の時について樹形図を書いてみます。
樹形図がきちんと書けるようになったら、次は、もっと簡単に答を
出せる方法はないか、その”形”に注目します。
1枚ずつ選んで、百の位から並べてゆくことを考えます。
○百の位・・・1~5のカードを選ぶことができるので、5通り
○十の位・・・百の位で1枚使い、4枚残っているので、4通り
○一の位・・・百、十の位でそれぞれ1枚ずつ使っていて、
残っているカードは3枚なので、3通り
上図のように、百の位が”1”の時、十の位の数それぞれに一の位の
3通りがありますから、3×4=12(通り)になります。
さらに百の位は、1~5 の5通りありますから、これを5倍すると
全体の場合の数が求められます。
3 × 4 × 5 = 60 (通り)
これは、順番が関係するので「順列」といいます。
答.60通り
■組み合わせの問題
【問題2】
青、赤、黄、緑、黒 の5個の玉が箱に入っています。この箱から
3個を同時に取り出す時、取り出し方は何通りでしょうか。
【解答・解説】
まず、順番が関係あるのか、ないのかを判断します。問題1は3桁の
数を作りますから、順番が関係あります。123と132は同じでは
なく、それぞれ1通りと数えます。
問題2は同時に取り出すので、順番は関係ありません。青、赤、黄でも
黄、赤、青でも、同じです。合わせて1通りです。
順番が関係ないものを「組み合わせ」といいます。組み合わせの問題も
公式を知ってるとすぐに答が出てしまいます。
分子の部分は、1つずつ、取り出して並べる場合の、場合の数です。
1つめを取り出すときは玉は5種類ありますから5通り、2つめは1つ
すでに取り出していますから、4通り、3つめは同様に3通り、これを
すべて掛け合わせると「順列」の場合の数がでてきます。
では、なぜ、順列の場合の数を、”3×2×1”でわると「組み合わせ」
の場合の数が出てくるのでしょうか。
生徒さんに聞くと「ダブってるから」と答えます。その通り「ダブって
るから」なのですが、「なんで、ダブってるのが3×2×1なの?」と
聞くと、答えられません。
では、ダブってるのがどういう数になるのか、考えてみましょう。
例えば、青、赤、黄の組み合わせで考えてみましょう。先に書いたよう
に、赤、黄、青 や 黄、青、赤 でも同じですべて合わせて1通りと
数えます。
つまり、順列の場合の数では、この部分がダブっているので、その数が
何通りあるか、樹形図を書いてみましょう。
青、赤、黄 という一つの組み合わせに、6通りの”ダブり”があるこ
とが解ります。
これは3つの玉の「順列」ですから、3×2×1でもとめらます。一つ
の組み合わせについて 3×2×1 通りダブっているので、これで割
ってあげればいいのです。
つまり、
青、赤、黄、緑、黒 の5個の玉が箱に入っています。この箱から
3個を同時に取り出す時、取り出し方は、
になります。
答.10通り
「場合の数」は樹形図を書きことが基本ですが、ただ、書いてるばかり
では、時間がかかってしまい、いい方法とは言えません。
樹形図を書くことに慣れたら、今度はそれをいかに簡単に計算式で出せ
るか、考えてみましょう。
今回の「基本を考えよう」は「場合の数」でした。