今回の「基本を考えよう」は「相似」です。その中でも直角三角形を とりあげます。
★ 相似条件を知っておこう ★ 三角形の相似形というと、よく知られているのが下図でしょう。
直線BCと直線DEが平行の場合は、青い三角形と緑の三角形は 相似になります。 では、なぜ、相似になるのでしょうか。 合同条件と同じように、相似にも条件があります。3つありますが、 下記の条件を覚えておけばいいでしょう。
三角形の相似条件:対応する2つの角度が等しい 下の図1では、角Aは対頂角で等しく、角Cと角Dは錯角で等しい。 図2は角Aが共通、角Bと角Dが同位角で等しい。 それぞれ2角が等しく、相似になります。
★ 直角三角形と相似 ★ 直角三角形の相似で覚えておきたいのが、下図です。直角三角形ABCと 青い直角三角形、緑の直角三角形はすべて相似になります。 直角三角形ABCと青い直角三角形は、角Bが共通、直角で、2角が等し く相似、同じように、直角三角形ABCと緑の直角三角形は、角Cが共通、 直角で、2角が等しく、この2つの三角形も相似になります。 青い直角三角形、緑の直角三角形も同じように相似です。
相似形になる図形はまだまだ沢山あります。”2角が等し”ければ相似に なります。見つけ出す学力が必要になります。 ★ 相似の直角三角形を使った問題 ★ 【問題】 正方形を4つ横に並べて長方形を作ります。対角線をひいたところ、51 cmになりました。正方形の面積を求めなさい。
【解答・解説】 問題を解く場合、問題文を読んで解法が直ぐ分かるのがベストですが、 入試問題はそのような問題ばかりではありません。 解法が直ぐわからない場合、どうしたらいいでしょう。自分がもっている 算数の解法を当てはめて、解法の糸口が見つかるかどうか、試行錯誤を繰 り返すことです。 直角三角形の場合、よく出てくるのが、 3辺の比が 3:4:5 や 13:12:5 です。これをまず当てはめてみましょう。 51cmはどの比の倍数でもありませんので、この比は使えないことが分 かります。 次に、今回のテーマである相似を使ってみましょう。下図のように、51 cmの対角線を底辺として直角三角形を書き直します。 さらに、2つの直角三角形にわけるために頂点から補助線をひきます。 辺の比は、正方形の1辺の4つ分と1つ分ですから、図のように4:1に なります。
3つの直角三角形はすべて相似ですから、下図のような辺の比になります。
51cmは、比⑰になりますから、比①=3cm です。比④=12cm ですから、この直角三角形の面積は 51 × 12 ÷ 2 =306 正方形4つ分の面積は、この直角三角形の2倍ですから 306 × 2 = 612 です。正方形の面積は 612 ÷ 4 = 153 答 153 cm2 正答にたどりつくポイントは解法を覚えることではありません。知識を覚 えることは大事ですが、いかにその知識を使いこなすかにかかっています。 最低限の知識をいろいろ当てはめてみて、解法の糸口を落ち着いて探りま しょう。 この問題は、他の解法でも解くことができます。どんな方法が使えるか、 考えてみましょう。 今回の「基本を考えよう」は「相似~直角三角形」でした。