先週の問題の解答・解説
今週の「基本を学ぼう」は先週に引き続き、「フィボナッチ数列」です。
まずは、先週の問題の解答解説から
【問題】
下の図のように、2cm × 20cm の長方形に、1cm×2cm
のタイルを使って敷き詰めます。何通りの敷き詰め方があるでしょう。
【解答・解説】
規則性や場合の数の問題を苦手とする生徒さんは非常に多いのです。そ
ういう生徒さんの学習の仕方を見ると、殆どの生徒さんが
問題が解らないと、解答を見てそれを書き写す
という学習(?)をしています。
問題の内容も理解せず、なぜ、そのような規則性になるのかも解らずに
解法を見ても、学力がつくはずがありません。
規則性や場合の数の学習の基本は
まず、自分で書き出すこと!
です。面倒くさがっては絶対にできるようにはなりません。自分で丁寧
にひとつひとつ書き出し、そこから規則性を自分で見つけ出すのです。
これが学力です。
逆に、すべて書き出して答えを出そうとする生徒さんがいます。限りあ
る時間のなかで、多くの問題を解かなければならない入試問題では得策
ではありません。
それに、(1)は解けても(2)(3)までは難しいでしょう。やはり、ある程度
書き出して、そこから規則性を見つけ出して解くのが王道です。
この問題も同じです。
2cm × 20cm の敷き詰め方をいきなり、解こうしても無理です
ので、2cm × 1cm から、 2cm × 2cm、2cm ×
3cm、2cm ×4cm・・・と増やして、その敷き詰め方を考えて
みましょう。
このようにきちんと書き出して、ここから規則性を見つけ出します。
2cm × 1cm の場合 → 1通り
2cm × 2cm の場合 → 2通り
2cm × 3cm の場合 → 3通り
2cm × 4cm の場合 → 5通り
3番目からは、前の2つの数の和になっていますから「フィボナッチ数
列」であることが解ります。
あとは2cm × 20cm の場合を「フィボナッチ数列」を使って
出します。
1cm → 1通り 11cm → 144
2cm → 2通り 12cm → 233
3cm → 3通り 13cm → 377
4cm → 5通り 14cm → 610
5cm → 8通り 15cm → 987
6cm → 13通り 16cm → 1597
7cm → 21通り 17cm → 2584
8cm → 34通り 18cm → 4181
9cm → 55通り 19cm → 6765
10cm → 89通り 20cm →10946
答 10946通り
覚えておきたい「フィボナッチ数列」の性質
「フィボナッチ数列」の性質は一杯あるのですが、その中でも覚えてお
きたいのが、下記の性質です。
1番目から□番目の数の和は、”□+2番目の数”-”1”に等しい
という性質です。実際に確かめてみましょう。
1番目から8番目の数を例に取ります。この数の和は、10番目の数に1
を引いた数に等しくなるはずです。
0+1+1+2+3+5+8+13=33
10番目の数は、13+21
=34 ですから、34-1=33 と等しくなってい
=34 ですから、34-1=33 と等しくなってい
ます。
なぜ、そうなるのか
では、なぜ
1番目から□番目の数の和は、”□+2番目の数”-”1”に等しい
のでしょうか。
10番目の数である”34”を分解して、0+1+1+2+3+5+8+13
と照らし合わせてみましょう。
上の図では、”13”が一致していますので、”21”を”8”と”13”に
分解しています。”8”も一致していますので、今度は”13”を分解し
ます。
一致していない数をどんどん、同様に分解して言ったのが下の図です。
つまり、10番目の数である ”34” は 1+ 1~13の和 になり、
1~13の和は ”34”から1を引いた数になります。
ですから、
1番目から□番目の数の和は、”□+2番目の数”-”1”に等しい
となります。
ただし、気をつけないといけないのは、入試で出題される「フィボナッ
チ数列」は”0”から始まるのではなく、3番目の”1”から始まるの
が多いのです。
そうすると
1+2+3+5+8+13=32
になりますから、10番目の数 ”34”から2引いた数が、和になります。
この点は注意しておきましょう。
学力の向上には、どんなことでも「なぜ、どうして」の視点が必要です。
時間がない中で、膨大な量の学習をしなければならないのが中学受験生
です。
そのような状況の中で、中々、難しいかもしれませんが、たまには立ち
止まって、「こうは考えられないだろうか」「こういうやり方で解けな
いだろうか」と考てみると良いと思います。