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投稿日:2011年06月30日

テーマ: 算数

瞬間の速さ

 

今回の「基本を考えよう」は少々ブレイクということで、「速さ」を
取り上げます。


生徒さんからは、こんなクレームを頂きました。


 

 

    この問題、おかしいよ。             
                            
   『時速50kmで12分走ると、どれだけ進むでしょう』 
                            
    って書いてある。時速って1時間で進む距離でしょ。
    12分しか走ってないのに時速って何?!      


 
ごもっとも、おっしゃるとおり、いやいや、そうじゃないんですよ。


 

示したいのは「瞬間の速さ」!


例えば

 

   家から目的地まで10kmです。目的地まで5時間かかり
   ました。速さは時速何kmでしょう。

 

これは日常的にあまり意味がありません。というのは、もう目的地
まで着いていて、5時間かかるとわかっているからです。


それより、

 

   今の速さが時速2km、10km先の目的に着くまで、何
   時間かかるでしょう。

 

このほうが、算数を利用して将来を予測するのですから、大きな意
味があります。


目的地までの時間を予測するために、現時点の「瞬間の速さ」をはか
る必要があり、それを秒速、分速、時速などで表しています。

自動車のメータは時速で表されていますから、時速で表すのが普通で
す。

この考え方は将来、中学高校で習う”微分”の考え方につながってい
きます。

ただし、この問題は”ひっかけ”的な要素もありますので、それに気
づいた生徒さんは問題をよく読んできちんと理解している、とも言え
ますよね。

 
 


こんな話もあります


先日、電車の中でこんな話を聞きました。


 
    今年もプロ野球が始まったよね。いつも思うんだけど、
    ピッチャーが投げるボールの球速って、時速150km!
    とか表示されるじゃない。あれっておかしいよね。

    だって、キャッチャーまでは数秒だし、どう考えても
    160kmも飛ばないじゃん。

    秒速で表すのがいいと思うんだよね


 
よくまぁ、こんなことにお気づきになるな、と感心するばかりですが、
これも同じです。ボールが1時間飛び続けて、160kmも進む必要は
なく、その「瞬間の速さ」をはかり、時速で表しているだけです。

時速のほうが我々にとっては、速さを実感しやすいのでしょう。自動
車と比較できるので解りやすいようです。

時速40kmは分速に直すと約11mです。分速11mと言われてもピンと
こないのではないでしょうか。

かといってあまりにも大きい数字の場合は秒速が好まれるようです。


     光り 秒速 約30万km

     音  秒速 約340m(気温15℃)


ですので、光りは時速に直すと途方もない距離になってしまいますし、
音は、時速にすると、1224km。こちらも速すぎて実感がわきません。


最後に、ユーモアたっぷりで、しかもノーベル物理学賞受賞者として
も、有名なアメリカの物理学者 リチャード・P・ファインマン さ
んが微分を説明する時に用いた話をイラストでご紹介しましょう。


20110630-1.JPG



以上、「基本を考えよう」のブレイクでした。