みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。
今回は、「国語の読解問題の見直し」についてお話しします。
<そもそも「見直し」って?>
テストを終えた後、答えを確認しますよね。
「問三の答えは…『ア』じゃなくて、『ウ』だったか…!」
「問五の抜き出しの答えは…『○○』か…!」
「問九の記述は……ふーん、そういうことか、それなら分かってた!」 などなど。
間違えたところの「正解」は気になりますよね。
でも…云うまでもありませんが、このような「正解の確認」は「見直し」ではありません。
やらないよりはマシですが、あまり意味はないでしょう。
「では、いったいどうすればいいのかな?」
指導し始めて間もないお子さんにこう問いかけますが、たいていは沈黙されます。
「解き直し」をするというお子さんはけっこういるのです。
でも、私はちょっと疑問を感じてしまいます。なぜかというと、
「記号選択」と「抜き出し」は、正解を知ってしまった時点で、解き直しの意味を見失うでしょう。
「記述」については、模範解答を暗記するのでなければ、「もういちど書いてみる」意味は
あります。でも、それをしっかりと添削してもらうことがなければ、「解き直しっぱなし」です。
というわけで、やっぱり「見直し」を、となります。でも、どうやって?
<本当の「見直し」はこうです!>
算数の場合、正解(数値)を知っても、それまでのプロセス(途中式)が分からなければ
お子さんは気になるものですよね。
ところが、国語だとまずそうはならない。正解までのプロセスを明確に意識しないまま
「なんとなく記号を選んだり」、「なんとなく抜き出しの答えを探したり」しているからです。
この状態から早く脱却しなければなりません。
そこで、私がおススメしている「見直し」をお伝えします。それは、
「正解の根拠(抜き出しの場合は「正解そのもの」)を本文に戻って確認する」。
うーん、なんだか拍子抜けされてしまいそうですね。いいネーミングがあればと思うのですが…
まあ、それはさておき、いったいどのような作業なのかを詳しく説明することとします。
①まず「抜き出し」の正解
正解そのものが文章中のどこにあるのかを確認して、赤ペンで線を引く。
作業としては、これだけです。でも何のために?
それは「出題者が文章中のどのような箇所に注目させたかったのか」を確認するためです。
(※後述する「記述」や「記号選択」でも同じことが言えます)
考えてもみてください。文章を飛ばし読みでもしないかぎり、
「抜き出しの答えは、読んでいた時に、どこかで目にしていた」わけです。
では、出題者は「ただひたすら探させる」ことを望んでいるのでしょうか?
それではまるで「粘り強さ(根性)」を試されているようなものです。そんなはずありませんよね。
出題者は何を期待しているか。それは
「文章中の重要な箇所を、読んでいるときに注目できていたか」ということに他なりません。
ですから、本当に力のあるお子さんは、抜き出しの答えをひたすら探すようなことはしません。
「ああ、さっき注目したあの言葉だな!」とすぐにアテがつくのです。となると、
「読みながら重要な箇所に注目できる」力が求められてくる。この作業はその力を養成する
ための補助的手段なのです。
②次に「記述」の正解
文章中のどこを使って解答が作られているか、“材料”となる部分を確認して、赤ペンで線を引く。
記述の解答例(模範解答)は、出題者が思いつきで作ったものではありません。
言うまでもなく、「文章中の内容をもとにして」作成しているわけです。
そのまま使われている語句はもちろんのこと、言い換えられている部分も、やはり
「文章中の内容をもとにして」作られています。
「記述解答のもとになる部分」、私はそれを「解答の“材料”」と呼んでいます。
抜き出しと比べてやや難しいですが、「どのように言い換えられているか」を確かめる作業は、
丁寧に取り組めば、大きな学習効果となるはずです。
③最後に「記号選択」の正解
正解となる選択肢の決定的な“証拠”となる部分を確認して、赤ペンで線を引く。
選択肢というのは、多くの場合、4つか5つしかありません。いきおい多くのお子さんは、
「文章を読んだ直後の短期記憶に頼り、傍線部だけ見ていきなり選択肢を読み始める」
ということをやってしまいます。記号選択の問題を苦手にしているお子さんの多くは、
このように「情報が不十分なまま」に、選択肢の微妙なワナにだまされてしまうのです。
さて、ここでひとつ注意しなければならない大切なことがあります。それは
「選択肢は、言葉が同じかどうかではなく、意味の近さで判断する。」ということです。
記述解答以上に、選択肢は本文中の表現が様々に言い換えられています。よって、
この作業に、最も高いレベルの思考が要求されていると言ってよいでしょう。しかし、それ
だからこそ、「本文中で根拠をしっかりと確認してから解答する」意識の向上につながるのです。
<テストの場合、さらにやってほしいことが…>
ここまで申し上げた「見直し」作業に連動させて、次のこともおススメします。それは、
「『これは正解できていたはずだ!』と思える設問の配点をカウントして
実際の得点に加算する」、という作業です。
そうです。俗な言い方をすれば、「たら・れば」ですね。
「抜き出しの答え、ここに線を引いてあったのに…ちゃんと丁寧に探していたら
正解できていたはず!」
「この部分には注目できていたのに…ここと関連付けて選択肢を見ていれば
正解できていたはず!」
一見して、なにやら後ろ向きなことのように思われるかもしれません。
でも、これが意外に、次のテストに向けたお子さんのモチベーションになるのです。
たとえば、一問4点の記号選択問題で5問「落としていた」(=「取れていたはず」)とすると、
それだけで20点も違っていて、それだけで偏差値が10も違う、なんてことが見えてくる。
「本来なら~点とれていたはず…!んー、もったいない!」
ここでポイントとなるのは、「元気にくやしがる」ことです。そうすれば、
「同じ失敗は繰り返さないぞ!」「次は~点以上とるぞ!」という気持ちが高まります。
いかがでしょうか。テストが終わったら早速、
「正解から本文に戻る見直し」、そして「たられば」。
ぜひ、お子さんにうながしてみてください。