みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。
前回は、「記号選択」の設問についてお話しましたが、
今回は、「抜き出し」の設問についていくつかふれてみようと思います。
「抜き出し」。
それは、設問の条件にしたがって「本文中にある言葉」を「そのまま書く」こと。
「そのまま」です。いわゆる「記述問題」とはちがって、いじってはいけません。
ときどき、「字を写し間違え」たり、気を利かせたつもりで「ひらがなを漢字に直し」たり
するお子さんがいますが、「抜き出し」の場合、容赦なく「×」にされてしまいます。
といっても、今回は「だから正確に書き写そうね」ということを言いたいわけではありません。
①「抜き出しの答えがなかなか見つからない…!」
お子さんとテストの振り返りの話をするときに
「抜き出しの答えがなかなか見つからなくて時間がかかってしまった…」
という声をよくききます。それでも「正解が見つかった」ならまだしも、
さんざん時間がかかったうえに「見つからなかった」、「まちがえた」、では、
くやしくてなりませんよね。
でも、ちょっと待ってください。「『正解が見つかった』ならまだしも」と言いましたが、
ほんとうにそれでいいのでしょうか?
抜き出しの答えをさがすのに時間がかかってしまっているのは、もしかして、
そもそもアプローチが間違っているからなのでは?
②実はどんな意味内容の言葉なのかを確認していない
さまざまなお子さんの「解いているときの様子」を観察していると、
こういういうことがしばしば見受けられます。
にわかには信じていただけないかもしれませんが、ほんとうなのです。
N講師 「いま問五の抜き出しの答えをさがしているよね?」
生徒 「はい」
N講師 「設問をよく読んだかい?」
生徒 「はい」
N講師 「では問五で問われている抜き出しの答えは
傍線部の『言い換え』?、それとも『理由』?」
生徒 「あ、えーっと…『理由』」
N講師 「問題をちゃんと読んでいないな。確かめてごらん。」
生徒 「え…あっ、『言い換え』だ…!」
N講師 「では、さらにきくよ。この言い換えの言葉の意味は
『プラス』?、『マイナス』?、それとも『どちらでもない』?」
生徒 「えーっと…『マイナス』かな…」
N講師 「やはり問題をちゃんと読んでいないな。設問には
『~のために必要なこと』とあるよ。」
生徒 「え…あっ、『プラス』だ!」
こんなやり取りはめずらしくありません。
設問を「さっとながめた」だけだと、こんなことが起きてしまうのです。
飛ばし読みをしていなければ「答えはどこかで目にしている」。
そういう意識が、「抜き出しの答えを場当たり的にさがす」行動を
もたらしているのかもしれませんね。
③出題者は何を意図して「抜き出し」の設問を作るのか?
授業で私はよく次のような問いかけをします。
N講師 「君が出題者だとしたら、どんな言葉を抜き出しの答えにする?」
生徒はしばし考えた後に、たいていはこう答えてくれます。
生徒 「その文章の中での大事な言葉」
こうなったら話は早いですよ。
N講師 「そうだよね。ごく一部のイジワル問題では『どうでもいいような言葉』を
答えさせる場合もあるかもしれないけど、ふつうは『大事な言葉』を
答えさせようとする。では、その『大事な言葉』は、設問を読んだ後に
ひたすらさがせばいいのかな? はたして出題者はそんなことを期待
しているのかな?」
生徒 「そんなわけない(笑)!」
N講師 「そうだよね! それじゃまるで『根性だめし』だよ。出題者はそんなこと
を期待しているわけではい。では何を試しているのかというと、
生徒 「文章を読んでいるときにその『大事な言葉』に注目できているか?」
N講師 「その通り! 正しい読み方が実践されていれば、その『大事な言葉』は
すでに『注目』されている。だから、あとは設問をよく読めば、」
生徒 「……?」
N講師 「力のある子は、『ああ、あのへんにあったな!』と、すぐアテがつく。」
④設問を丁寧に読む
こう云ってしまうとあまりにもありふれた感じがしますが、とても大切なことなんですよね。
あらためて、「抜き出し」の設問において、どんなことを確かめるべきかを整理しておきましょう。
⇒「言い換え」か(「簡潔」か、「具体的」か)、「理由・原因」か、「結果」か?
☆意味
⇒「プラス」か、「マイナス」か、「どちらでもない」か?
☆指定条件
⇒検索範囲は?、一文か部分か?、字数は?
これだけで、解答検索はムダなく正確になります。ぜひ、お子さんにうながしてあげてください。