みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。
「本を読む子は国語ができる」…みなさんはそう思いますか?
「はい、そう思います」と答える人はたくさんいるはずです。親御さんの声に耳を傾けると、
「近所の○○君はいつも本を読んでいて国語の成績もいい。それにひきかえウチの子はマンガと
ゲームばっかりで、言葉を知らない…」
「自分が学生のころは国語なんて勉強した記憶がない。でも本だけは読んでいたから、悪い成績
なんてとったことない。」などなど…。
読書万能論は、かなり広く支持されているようなのです。
実は、私も塾講師になるまではそのようなイメージをもっていました。
自慢するつもりはありませんが、私自身も文章読解の方法を学習した記憶がありません。
読書を通じて国語力を伸ばした人間のひとりだろうと思っています。
ここで「ほら、やっぱりそうでしょ!」と思わないでくださいね。ここからが本題です。
先に言いたいことをハッキリさせておきますね。
①学校のテストと進学塾のテスト(あるいは入試問題)とは全く別のもの。
②知識レベル向上の手段を読書だけに求めるのは考えが浅い。
マンガに対する偏見もなくすべき。
③読書好きで読解レベルの低い子はたくさんいる。逆に
本など読まないが読解力の高い子もたくさんいる。
現場で指導していると、「読書量は必ずしも読解力には結びついてはいない」ということが
よく分かります。
やや大雑把な感は否めませんが、話を分かりやすくするために、以下のような四つのタイプに
分類してみました。
世間一般のイメージでいえば、AとDの二つにくくられることになるのでしょうが、
現実には、Bタイプの子もCタイプの子もそれはそれはたくさんいる、ということなのです。
まずBタイプについて。
与えられた条件にそってヒントを見つけて整理しながら解答を導くという要領を好むお子さんが、
ここにあてはまります。本嫌いなだけあってか、文章のなかに想像力豊かに入り込んでいくことを
面倒に感じるのでしょうか。それが功を奏しているのか、主観をまじえることなく冷静に情報処理
しようとします。
長い目でみて「よいか悪いか」は別として、
受験で成功するためにはたいへん有効なアプローチであると言えるでしょう。
そして、私の指導が目指しているのは、まさにこのような「冷静な情報処理」なのです。
とはいえ、「読書などしなくてよい」というつもりは全くありません。
これについては、後ほど(次回のブログで)述べることにしましょう。
次にCタイプについて。
これは先ほどのBタイプの反対を考えてみれば分かりやすくなるのではないかと思われます。
読書にはふつう設問はくっついていません。当たり前ですね。読み方は自由です。どのように
アクセントをおこうが、読み手の好みにゆだねられています。「さて、どこが重要ですか?」と
問われることはないのです。
さらにいえば、読みながらさまざまな連想や想像の世界を広げてかまわないわけです。
本来、読書の愉しみはそういうところにあるといってもよいでしょう(…という読書論が入試で
扱われることもあります)。
ところが、テストの設問は、その「自由」をいっさい許してはくれません。
「傍線部の理由を○字以内で書き抜きなさい。」
「本文の内容にあてはまるものを次の選択肢の中から二つ選びなさい。」
本が大好きな子は、「書き抜く」ために読んでいるわけではありません。「記号を選ぶ」ために
読んでいるわけでもありません。
きっと活字慣れしているから、きっと言葉をたくさん知っているから、「できるだろう」と思わ
れるのかもしれませんが、そのお子さんからすれば迷惑千万な話です。
「本好きで読解力×」なんて、ごく自然なことであり、めずらしくもなんともないことなのです。
(次回に続きます)