みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。
小6受験生にとって、この時期は
「模試」と「過去問」に膨大な時間をとられます。
テスト受けなきゃ! 見直ししなきゃ!
過去問解かなきゃ! 見直ししなきゃ!
通常の授業が減るわけではありません。いや、むしろ、
さまざまな特別講座がプラスされることも多い。
となると、時間がいくらあっても足りない。うっかりすると
睡眠不足になってフラフラになる、なんてことも…。
いままで以上に細かい「時間の管理」が必要になってきます。と同時に、
せっかく多くの時間を使ってやることに「より多くの効果」を期待したいものですよね。
今回は「過去問」について。
ともすると、「ただ漫然と」何年分も解いて「それで満足」してしまいかねませんが、
受験生の皆さんは、現在どのように過去問演習を進めていますでしょうか?
まずは当たり前のことから確認しましょう。「過去問を解く意味」とは?
[1]その学校の出題傾向を把握し、解答力を高める。
[2]その学校の出題のボリューム(文章の長さや設問の数)と時間配分の感覚を体得する。
大ざっぱに云えば、この2点でしょう。
[2]については、例年「だいたい同じような構成」の学校であれば、
生徒さん自身が自然に対応力を高めることも期待できるでしょう。
「文章を読むのに〇分くらい、先に記述以外を□分程度で終わらせて、
記述は毎年△問前後だから、一問あたり▽分くらいで…」という具合に。
しかし、しかし、
[1]の「出題傾向」はどうでしょうか。過去問を解いていくなかで、
はたして「把握する」ことができるものなのでしょうか?
そもそも、ひとくちに「出題傾向」と言っても、いろいろあるわけです。
(1)文章のジャンル(「説明文」・「随筆文」・「物語文」・「詩」…)
(2)設問の形式(「記号選択」・「抜き出し」・「記述」)
(3)設問の内容(「段落の要点」・「要旨」・「筆者の意見」・「人物の心情」・「比喩の意味」…)
(4)文章のテーマ(「文明批判」・「異文化理解」・「対立から和解」・「依存から自立」…)
(1)と(2)はすぐに確認できますよね。別に解かなくても、パラパラと眺めるだけで
「この学校は説明文が多い」、「詩が毎年出されている」
「記述は少ない」、「抜き出しが多い」 なんてことはだいたい分かるものです。
さて、問題は(3)と(4)。
ほんとうに大切なのは「設問の内容」と「文章のテーマ」なんです
まず(3)について。
どの学校でも問うてくるような一般的なもの(「段落の要点」・「人物の心情」など)は
特に注目する必要はありません。
ところが、
「☆☆中学は、比喩や情景の意味を問う問題を多く出してくる」とか
「◎◎中学は、対比を意識した意味の違いの理解を試す問題をよく出す」とか。
このようなレベルになってくると、
お子さんが自分自身で気づくことはなかなかできないはずです。
では(4)についてはどうでしょう。
これも「主人公の心情変化、心の成長」くらいのレベルであれば、特定の学校の傾向と
言えるほどの具体性があるとは言えません。
ところが、
「☆☆中学の説明文は、『自然との共生』や『生命のつながりを想像する力の大切さ』を
テーマにしたものが多い」とか
「◎◎中学の物語文は、『自分の弱さを受容する心』や『今を大切に生きようとする心』」を
テーマにした作品がよく出される」とか。
やはり、このようなレベルになってくると、
お子さんが自分自身で気づくことはなかなかできないものなのです。
では、どうしたらよいか?
そうです。担当の先生に指摘してもらうのです。
志望校の過去問答案をじっくり見てくれる先生であれば、その生徒さんが
「どんなテーマに対しての理解を深めなければならないのか。」
「どんな設問に対して誤答が多く、どのような読み方を強化しなければならないのか。」
こういった、ほんとうに大切なことをアドバイスしてくれるはずです。
さらに、もう一点。「記述問題」の扱いです。
「記述問題」。どうしていますか? 自己採点で済ませていませんか?
自己採点、明確な根拠をもってできますか? 生徒さんの判断では難しいはずです。
志望校の過去問答案をじっくり見てくれる先生であれば、生徒さんの解答を見て、たとえば
「~~の部分は、係り受けが……なってしまうから、●点減点だね。
言葉の並べ方と読点の打ち方をこうしよう。」
「――の部分は、具体的な書き方にはなっているものの、『文章内容を知らない人』
にはかえって分かりにくい表現。▲点減点。『第三者』に伝わるような抽象化を
もっと強く心がけてみよう。」
こういった、ほんとうに大切なことをアドバイスしてくれるはずです。
それでこそ、過去問を解く意味があるのだと、私は思います。