みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。
日々多くのお子さんの記述解答をつぶさに観察していると、
「ああ、ちゃんと理解できているのに、もったいないなあ…」
と思うことがよくあります。
「理解できているのに、減点される(△)…」
「理解できているのに、失点してしまう(×)…」
これって、どういうことなんでしょう?
くわしい話の前に、まずは大まかなことを示しますね。
【記述解答が「減点(△)」または、「失点(×)」になるとき】
説明が足りない ⇒ △ これは当たり前。
余計な説明がある ⇒ △ 「余計な説明」の内容によっては(他の説明が
適切であっても)×になるでしょう。
理解がずれている ⇒ × これも当たり前ですね。
しかしながら、×や△には
「何を書けばよいかは理解できている」のに
「必要なことを過不足なく盛り込んでいる」のに
大幅な「減点」、あるいは「失点」となってしまう場合があります。
これをここでは「ザンネンな記述解答」と呼ぶことにします。
それでは、できるかぎり単純化して説明しますね。
1 主語と述語のつながりのミス
× 「N講師がうそをついたので腹を立てている。」
この答え、何がマズイかお分かりでしょうか?
これ、書いたお子さんはこう理解しているんです。
「N講師がうそをついた。それに対して(主人公の太郎が)腹を立てた。」
でも、書かれた答えには「太郎が」という主語は示されていません。よって、
「N講師が……腹を立てている。」という意味になってしまうわけです。
「そんなぁ…『自分でうそをついて腹を立てる』なんておかしいでしょ…」
そう思われましたか? そうなんです。おかしいんですよ。
だから、上の答えは「ザンネン」なのです。
「太郎が」という主語は、実際には解答に含めません。
解答のはじめの部分に“隠れている”のだと考えましょう。適切な答え方は…
○ 「うそをついたN講師に腹を立てている。」
2 係り受けのミス、読点のミス
× 「うそをついて、N講師を怒らせたことを反省している。」
これはどうでしょう。ミスに気づかない採点者もいるかも知れませんね。
注目すべきは「読点(、)」なんです。
この読点によって、係り受けは以下のようになってしまいます。
困ったことに、「読点の打ち方」を教わる機会というのは…まずありません。
とはいえ、ここで詳しく指摘するととても複雑になってしまいます。よって、
まずは、「[意味のまとまり]を崩さない」ということを心がけるとよいでしょう。
↓
○ 「[うそをついてN講師を怒らせたこと]を反省している。」
3 勝手な因果関係のミス
× 「N講師にうそをついたから、それをごまかしたので、先生にしかられて、落ち込んだ。」
意味と意味とを「つなぐ」ときに無意識に「から・ので・ため」を使ってしまう
お子さんはかなり多くいます。
上の答えの場合、「ごまかしたので…しかられた」の部分はおかしくないのですが、
「つなぐときは『前後関係(単純接続)』」にするのが安全です。
○ 「N講師にうそをついたうえにそれをごまかしたことを先生にしかられて、落ち込んだ。」
4 具体的な内容が言い換えられていないミス
× 「四谷の合判で開成80%の結果がでて、喜んでいる。」
○ 「塾の重要なテストで志望校の合格可能性が高く判定されて喜んでいる。」
これは記述で特に重要なことです。「文章を読んでわかった詳しいこと」が
「読んでいない人(第三者)にはどう伝わるか」考える必要があります。
「わかっている自分」を基準に説明しても、評価してもらえません。採点者に
「うん、君は理解しているようだけど、これでは『文章を読んでいない人』には
ザンネンながら伝わらないね…。」と言われてしまいます。
というわけで、今回は
「何を書けばよいかは理解できている」のに
「必要なことを過不足なく盛り込んでいる」のに
大幅な「減点」、あるいは「失点」となってしまう「ザンネンな記述解答」の
よくあるパターンを紹介しました。
いずれも、ちょっとした心がけで改善できるはずです。