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投稿日:2016年05月20日

テーマ: お悩み解決 / 国語

ウチの子、読むのが遅いんです!

こんにちは。国語科のD. N.です。

本日は、日々の国語の相談から、よくある内容のものを選び、それについて私がお答えするという形ですすめさせていただきます。

 

タイトルにあるのは、学習相談でよく保護者様がおっしゃる内容です。

読むのが遅い→解くのが遅い→解答用紙が最後までうまらない→成績が上がらない

だいたい皆さん、このようにおっしゃいます。

 

しかし、結論から申し上げますと、解答用紙が最後までうまらないのは、読むのが遅いからではありません!

詳しくは、以下で説明いたします。

 

〈そもそもの適切な読むスピードとは?〉

 

そもそもの適切なスピードは、1分間に500~600字の内容を読み取るというものです。したがって、読解が2題で合計5000字が平均の首都圏の国語入試では、本文を読むのに約10分かかるスピードということになります。これを聞いてどうお感じでしょうか。「え?試験時間が50分なんだし、漢字問題とかもあるんだから、これってかけすぎなんじゃないの?」とお思いではないでしょうか。いいえ、そんなことはありません。これで十分なスピードと言えます。理由は後でくわしく説明します。

 

〈それって、だいたいどのくらいのスピード?〉

 

お子さんに、テキストやテストの課題文を音読させてみてください。それらを、①アナウンサーがニュース原稿を読むのより少し遅いくらいのスピードで、②つかえずに音読できるのであれば、クリアしていると言えます。人間は、しっかりと音読ができるのであれば、その内容を、音読より速いスピードで黙読しても、ほぼ理解度を落とさずに読むことができます。その目安となる音読が上記の二つの条件を満たす音読です。

 

〈ウチの子、全然、上記のレベルに達していないんですけど…〉

 

焦る必要はございません。音読でつまってしまう原因には大きく分けて2つあります。①漢字の部分がうまく読めない、②聞いたことのない言葉を変なイントネーションで読む、の2つです。

 

①については、普段の漢字学習の質を改善させることで対処することができます。ほとんどの漢字は、「一つの漢字に、音読みと訓読みが一つずつ」の原則がありますので、それらの読みを押さえることで、書けなくても少なくとも読めるという状態を作り出すことができます。

 

また、②については、実際に保護者様がお子さんの音読をお聞きになって、あれ?と思われる瞬間があればそこでとめてあげて、意味を聞いてあげるということが有効です。実際にあった例としては、駒場東邦に受かった生徒の音読を6年生の9月に聞いていたら、「こそばゆい」という言葉のイントネーションが非常に怪しいことがありました。そこで、「この言葉ってどういう意味なの?」と聞いてみたところ、なんと、「ゆいちゃんっていう人の名前!!」という返答が返ってきました…。もちろん、「恥ずかしい、照れくさい」といった意味合いです。しかし、このお子さんはそこからの4か月間、毎日音読のトレーニングを実践した結果、無事に駒場東邦という名門に合格を果たすことができたのです。つまり、音読トレーニングは今からでもまだまだ間に合うのです

 

〈音読はそのレベルなんですけど、どうしても解くのが遅いんです〉

 

実際に相談をお受けしていると、一番多いのはこのパターンのお子さんです。結論から申し上げると、一読めの精度が低いということに最大の原因があります。つまり、最初に読んだときに拾っておくべき情報をしっかりと拾えていないために、いざ設問にぶつかったときにあわててしまうのです。

 

国語は究極、「読めたら解ける科目」です。したがって、いかに効率よく本文の情報を集めて整理できるかが得点の分かれ目となります。そして、この、効率よく本文の情報を整理するのに適したスピードが、上記の1分間に500~600文字というスピードなのです。

 

一度、お子さんのテストの成績表ではなく、国語の問題用紙を見てください。本文が真っ白ではないでしょうか。そういうお子さんの多くは、1分間に800~1000字というかなり速いスピードで読んでおきながら、結局は二回目、三回目と本文を最初から読み直さねばならず、結局は大幅に時間をロスしています。

 

〈じゃあ、どうすれば効率よく読めるの?〉

国語は大きく分けて、文学的文章と説明的文章の2つしかジャンルがありません。

文学的文章ですと、①心情と②心情が体の表面に現れた部分、の2か所にさえ線を引っ張ることができれば、最低限の情報を押さえることが可能です。たとえば、「試合に負けたのが悔しかったので地面に座り込んで泣いた。しかし、キャプテンの励ましの一言で次の大会を目指そうと前向きな気持ちになり、涙をふいて立ち上がった。」などの線の引き方があります。マイナスからプラスへのおおまかな心情の変化が読み取れますね。

説明的文章ですと、①話題と②筆者の主張の2か所にさえ線を引っ張ることができれば、最低限の情報を拾えます。たとえば、「日本人はどうして赤の他人にたいして親切心を発揮することができないのか。それは、日本人は周囲の人間を大きく身内とよそ者に分け、身内に対してさえ親切にすればよいと思っているからである。」などの線の引き方があります。この場合は、問いかけという形で話題が示され、その直後に「~から」という形で筆者の主張が展開されています。このように、話題に対して筆者が即答する形で主張を述べるという文章は結構多いです。

 

〈まとめ〉

結局は、1分間に500~600文字というスピードで、最低限の線を引っ張りながら情報を整理する力が求められているのです。まずは、お子さんが上記のスピードを達成できているかを確かめるために、音読をさせてみて下さい。音読に不備があるのであれば、できるだけお子さんの音読に付き合ってあげてください。保護者様が音読の手本をお見せになるというのもかなり有効です。けっして、朗読をお仕事にされているようなプロの読み方である必要はありません

また、音読に不備がないお子さんの場合は、最低限の線を引けているかどうかをご確認ください。流し読みを何回もするよりも、一読しただけでおおまかな情報を整理できる読解の方が点を取れるなとお子さんが思ってくださればしめたものです。

 

〈最後に〉

一読めに効率よく情報を整理する読み方については、これから受験ドクターの公式ホームページにてさらにコンテンツを充実させてまいります。我々の持つノウハウを惜しげもなく披露いたしますので、更新をお楽しみになさってください。

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