受験ドクターで国語と社会を担当していますOです。
本ブログでは「国語が苦手な子への処方箋」と題して、国語の成績アップの秘策を、数回にわたり連載していきたいと思います。
ブログのタイトルでは、「国語が苦手な子」と限定しましたが、「国語が苦手ではない子」でも十分に役に立つ内容ですので、お付き合いいただければ幸いです。
そもそも、国語って得意かどうかすら、分かりにくい?
たとえば、お子さんの国語の答案や成績表などを、数回分、見比べてみてください。
「毎回、点数(もしくは偏差値)がとれていない」のであれば、国語が苦手だとはっきりと言えますよね。これは分かりやすい症状(?)です。
では、「ある回は点数がとれているけれども、ある回は点数がとれていない」場合はどうでしょうか?
実は、こういったタイプのお子さんが案外多いのです。テスト結果にばらつきがあるため、「うちの子は、国語が得意なのかしら、それとも苦手なのかしら」と判断に迷うのも無理はありません。
楽観的なお子さんならば、「できる時もあるから、まぁ、問題ないさ~♪」と、悪かった時のテストを「なかったこと」にしてしまうでしょう!
忌憚なく言ってしまうと、こういった子も「国語が苦手な子」に当てはまります。少なくとも、近い将来、「国語が苦手な子」になってしまう予備軍に入ってしまいます。
ただし、「正しい読み方と解き方」を意識すれば、比較的早い段階で、成績は安定してくるでしょう。
本来、国語は他の教科よりも成績の乱高下が少ない教科です。
もし、「できる時とできない時」の差がかなりあるとすれば、それは問題を「直感的に」解いているからです。ここでいう「直感的」とは、「その場しのぎの思いつき」という意味です。受験国語は「思いついて、それを何となく答える」というものではありません。
「いや、うちの子はそんなことはないはずだけど…」とお思いの方は、お子さんに「どうしてこれが答えなの?」と質問してみてください。お子さんが「本文のここに…と書いてあって、それは…と考えられるから、…なんだよ」などと、理詰めで答えられるでしょうか。
そういう発想で解答を導いているお子さんは、それほど多くはないと思います。
小学生には、国語は直感で解くものではなく、論理的に解くのが大前提であるということを、教える側がきちんと伝えなければならないのです。
傍線部問題なのに、傍線部を読まない?
では、どうすれば国語の点数をアップさせることができるのかを、ご説明していきましょう。
今回扱いたいテーマは「傍線部問題の解き方」です。
「傍線部問題」とは、「傍線部『…』とあるが、なぜですか」や「傍線部『…』のときの太郎の気持ちを説明しなさい」という類の問題で、説明的文章、文学的文章を問わず、入試では頻出ですね。解答形式としては、記号選択問題、記述問題、穴埋め問題などがあります。
こういうタイプの問題を解く際に、まず心がけるべきことは何か、お分かりでしょうか?
傍線部とその前後をていねいに読むことです(これを精読といいます)。
「えっ? たったそれだけのこと?」と思われる保護者の方も、おそらくいらっしゃると思います。
ところが、傍線部を問う問題で、傍線部やその前後をいい加減に読み飛ばしている小学生がとても多いのです。
一例を挙げてみましょう。
私は授業で、大手塾が実施したテストの解説をすることがあります。その際に、間違えた傍線部問題に対して、先ほどのアドバイスをしたあとに、もう一度生徒さんに考えてもらうと、大抵の子は正解を導くことができます。これは、いかに傍線部とその前後を読み飛ばしているかということを裏付けるものです。
傍線部問題の正答率を上げる秘策とは?
以上のことから、長い間、私は生徒さんに「傍線部とその前後はしっかりと読みなさい」と指導してきました。もちろん、一度だけではありません。何度も何度も言い続けてきました…。
でも、なぜかやってくれないんです!
生徒さんは異口同音にこう言います。「いやぁ…、先生。読んではいるんだけどね…」
そう言われては、これ以上、責めようがありません。「試験中に読んだかどうか」などは確認しようがないのですから!
そこで、私は「ある作業」をテスト中にやってもらうことを思いつきました。生徒さんがきちんとやってくれるまで、顔はニコニコしながらも、しつこく言い続けます(笑)。「ある作業」とは次のようなことです。
■傍線部中のキーワードを丸で囲む
■傍線部前後の文に線を引く。
■線引きをした文で、キーワードを丸で囲む
「これだけでいいの?」
そうです。たった3点です。
これだけで、劇的に文章読解問題に取り組む姿勢が変わります。
ちなみに、難関上位校の入試問題や塾の公開模試などでは、傍線部の前後に書かれている「難しそうな語句」を選択肢の中に混ぜて、ひっかけを誘うものが多く出題されます。いわゆる「ひっかけの選択肢」のパターンです。くれぐれも、字面だけでとらえるのではなく、文脈から意味を考えて答えることが大切です。
国語の解法テクニックと呼ばれるものは、算数のそれに比べると、決して多くはありませんので、一つ一つを確実に使いこなせるようになることが大事です。今回ご説明した「傍線部問題」の解き方も、実際のテストなどで実践して、身につけていってほしいと思います。