受験ドクターで国語と社会を担当していますOです。
前回のブログに引き続き、「国語が苦手な子への処方箋」と題して、国語の成績アップの秘策を述べたいと思います。「国語が苦手ではない子」でも十分に役に立つ内容ですので、お付き合いいただければ幸いです。
記号選択問題はホントに「簡単」なの?
※今回のブログでは、「記号選択問題」を、傍線部の内容や理由などを説明する問題に限定してご説明します。
国語があまり得意でない生徒さんに、「記号選択問題と記述問題では、どっちが好き?」と尋ねると、ほとんどの子から「記号選択問題!」という答えが返ってきます。そこで、私が「なんで?」と尋ねると、「だってぇ、自分で文を書かなくてもいいし、選ぶだけなら楽だから!」とのこと。まぁ、その気持ちは分かります。
確かに、記号選択問題は「とりあえず、うめるだけ」なら、だれでもできます。
極端に言ってしまうと、本文の内容を正確に読めていなくても、「何か答えること」くらいはできるのです。
そこで、保護者の方も、わが子の国語の答案をチェックした際に記号選択問題の空欄を見つけると、「ちょっとぉ! 記号問題は空欄にしないで、何か書きなさいよ!」という指示を出すわけです。あてずっぽうで書いても、4択なら25%の確率で正解します。
「2割5分」ですから、プロ野球の世界で言えば、ぎりぎりスタメンに入れそうな(?)打率です。
でも、ここで少し考えてみましょう。
記号選択問題って、本当に‘その程度’の意識で解いてよいのでしょうか?
難関校の国語の入試問題で出題される記号選択問題は、決して易しくはありません(たとえば、豊島岡女子や聖光学院、フェリス女学院、海城、渋谷教育渋谷など)。大人が解いても迷うものが出題されます。
入試問題でなくても、例えばSAPIXのマンスリーテストや四谷大塚の組分けテスト、日能研のカリキュラムテストなどの記号選択問題は、「本文をなんとなく読めば、自動的に答えられる」というレベルではありません。そういった問題もゼロではないかもしれませんが、本文の概要をつかんだだけで解けてしまう問題ばかりだと、受験者の点数差がつかないのですね。これでは、テストの意味がありません。そこで、出題者は差がつく問題を「意識的に」作ろうとするわけです。
結論を先に言うと、記号選択問題とは「出題者のひっかけを見抜けるか」という出題者との真剣勝負です!
私はこれを「ひっかけパターン」と呼んでいます(そのままのネーミングですが…)。
ひっかけパターンを知っておくということが重要なのですね。
記号選択問題の「ひっかけパターン」を知ろう!
では、記号選択問題における典型的なひっかけパターンを、5つほど挙げてみましょう。
① 本文に書かれていない内容である。
記号選択問題の誤答で、一番多いパターンがこれです。
国語の文章読解問題は、必ず問題の初めに「次の文章を読んで後の問いに答えなさい」と書かれています。つまり、本文を読んで分からない内容であれば安易に選んではいけないのです(ただし、類推できる範囲であればOKです)。当たり前のことかもしれませんが、テストで時間に追われると、つい本文の内容と照らし合わせることを怠ってしまいます。ですから、私は生徒に、「あいまいな記憶で解いてはいけない」と何度も注意します。「あれ? こんなこと、書いてあったっけ?」と迷ったら、必ず本文で内容を確認するクセをつけましょう。
② 内容が部分的に間違っている。
入試問題レベルに近づいてくると(5年生の秋以降)、記号選択問題において「選択肢の内容すべてが間違っている」ということは、あまりありません。ですから、選択肢をまるまる見るのではなく、スラッシュ(/)を入れパーツに分けたうえで、正誤判断をしましょう。スラッシュの場所は、「読点」を目安にすればよいでしょう。
ちなみに、記号選択問題で失点の多い子は、大抵この作業をやっていません…。
③ 内容が言い過ぎのものになっている。
「すべて」「必ず」「いつも」「絶対に」「まったく」など、明らかに極端な内容のものは、本当にそうなのかを考えましょう。
たとえば、「裕福とは言えない家庭の子である少年Aは、修学旅行で欲しかったお土産があったけれども、お金が足りずに買えなかった」とします。その場合、「少年Aはお金をまったく持っていなかったので、修学旅行のお土産を買えなかった」という選択肢は、言い過ぎの選択肢でバツになるわけです。
④ 内容が意味不明である。
「え? そんな選択肢を選ぶことってあるの?」と思われた保護者の方がいらっしゃるかもしれません。でも、小学生にとって難解と思われるテーマを題材とした論説文の問題などでは、本文中に使われている難しそうな言葉を混ぜて、もっともらしい、でも、意味不明な選択肢をひっかけで作ることがあります。
たとえば、因果関係をひっくりかえしたものとか。本文内容がつかめていない子は、「あ、確か、これは本文に書いてあったなぁ」と、直感的に選んでしまうのです。気をつけましょう。
⑤ 傍線部前後の言葉がそのまま使われている。
傍線部に関する問題で、傍線部周辺をまったく見ない子はおそらく少ないでしょう。でも、傍線部前後を精読している子は意外と少ないと感じます(前回のブログもご参照ください!)。傍線部前後をさっと見て、目についた語句が含まれている選択肢があれば、要注意です。ひっかけの可能性が高いですね。出題者は、傍線部前後のキーワードを「言い換えて」選択肢を作ることが多いのです。
以上のことを頭に入れて、記号選択問題を解けば、正答率をぐんと上げることが可能です。
早速、次回のテストで実践してみてくださいね。
次回のブログでは、多くの小学生にとって鬼門ともいわれる「記述問題の解き方」のコツを伝授したいと思います。お楽しみに!