メニュー

投稿日:2017年02月22日

テーマ: 国語

優秀な国語講師の見極め方

受験ドクターで国語と社会を担当していますOです。

今回のブログでは、前回の「国語のお悩み解決!③『読み方の法則 七箇条』」の続編をお届けする予定でしたが、新学年スタートの時期ということもあり、急きょ予定を変更しました。
「解き方の法則 七箇条」は次回以降でアップいたしますので、そちらもお楽しみに!

さて、今回のブログタイトルは、ずばり「優秀な国語講師の見極め方」です!
われながら、なかなか挑戦的なタイトルだとは思います。でも、保護者の方の多くが気になるテーマでしょう。

国語講師に限りませんが、「塾選びは講師選びにあり」といっても過言ではありません。「デキル」国語講師を選ぶうえで大切なポイントをいくつか挙げていきたいと思います。

中学受験国語のプロ講師 1

①文章読解問題の方法論を明確に言えるか

プロの国語講師かそうでないかを見分けるには、まずは「先生はどのような国語の指導法をされていますか?」とストレートに尋ねるのが良いと思います。

そのときに「読書」などを持ち出す講師は素人であると断言できます。

いえいえ、私は読書そのものを否定しているのではありません。読書によって語彙力が高まることも事実ですし、世の中の常識や物語の型(「予定調和」と呼ばれるもの)を学ぶことはできます。

とはいえ、塾の国語講師が安易に「読書」を国語力をつける大きな柱と位置付けてしまうことに、危機感を覚えます。なぜなら、それは塾以外(ご家庭など)でもできる作業だからです。塾の授業は不要だと言っているようなものですね。

また、似たようなこととして、国語講師の口から「家庭での会話の改善」を提案されることもあります。「お子さんに語彙力がないのは家庭環境に原因があるのでは?」というものです。これも、確かに全否定はできないものですが、語彙力をつけるためだけに、ご家庭での会話に気を遣わなければならないなんて本末転倒です

国語という教科も他教科と同様、正しいやり方で勉強に取り組めば成績は向上します。そういった「当たり前のこと」を裏付けるためにも、授業を開始する前に、国語講師の指導法についてはしっかりと聞いておいた方がよいでしょう。

②文章読解問題で本文のみの解説で終わっていないか

大手塾に通う生徒さんに「きみの通っている集団塾では、どんな国語の授業をしているの?」と聞くことがあります。彼らがよく口にすることとして、「国語の授業は本文の解説に多くの時間をかけて、問題そのものの解説は少なく、正解をさらっと言って終わることが多い」というものです。

本文の解説が不要だとまでは言いませんが、私は問題の解説にこそ時間を割くべきだと思います。なぜかというと、本文内容の大意はつかめたとしても、問題が解けるとは限らないからです。

例えば、麻布や駒場東邦の物語文は決して小学生が読むのに難解すぎることはありません(易しくはありませんが)。ところが、いざ問題を解くとなると、「解くテクニック(記述なら答案作成のテクニック)」が必要となるのです。「本文がなんとなく読めている(通読といいます)」というレベルでは、とうてい太刀打ちできません。

以上のことからも、本文の解説のみの授業は危険なのです。

中学受験国語のプロ講師 2

③講師がきちんと授業の準備(予習など)をしているか

「え? プロなんだから、授業の準備をするなんて当たり前でしょう?」と思われる保護者の方も多いことでしょう。

ところが、です。国語の授業準備(ここでは、文章読解問題の予習としましょう)は他教科よりも時間がかかります。これは実際に国語を教えてみれば分かることです。まず、国語は本文を読まないと教えられません。当たり前ですね。

ところが、公開テスト直後に初見で生徒に教えようとする国語講師すら、世の中にはいます(受験ドクターではさすがにおりませんが!)。そんなことは可能なはずがありませんよね(私は皮肉を込めて「神業だ」と言っております)。

次に、「どうやって生徒に分かるように教えるか」を考えなければいけません。教える相手はまだ小学生です。たとえば、大人でも難解な新書レベルの論説文(現代文の「評論」と言ってもよいレベルもあります)を理解してもらうにはどうすればよいかを必死で考えます。ここが最も大切な点です。

このように、国語は算数のように明確な式があるわけではなく(ただし、「考え方」というのはあります)、毎回きちんと整理しなければならないのです。

これは余談ですが、みなさんは御三家レベルの受験国語と※小学3年生の国語はどちらが教えやすいと思いますか?   ※ここでは、将来、中学受験をする小学3年生とします。

これは主観もあるでしょうが、私は断然、小3を教える方が大変だと思います。
なぜなら、小3はまだ論理的に思考することに慣れていないため、きちんと理解してもらうのに手間がかかるからです。直感的に解かせないようにする作業が大変なのですね。
このことが分かっている講師は、「きちんと予習をして授業に臨んでいる」方です。

④知識事項に逃げていないか

国語の知識事項とは、漢字、慣用句、ことわざ、文法などです。もちろん、これらをきちんと覚えたり、理解するのはとても大切なことです。「国語が苦手だ」と言っている生徒さんにもかかわらず、やれば点数が確保できる知識事項で失点しているようでは、国語の勉強に真剣に取り組んでいるとは思えませんよね。「あ、私のことだ…」と自覚している子は、今から頑張りましょうね!

とはいえ、知識事項は国語の勉強の要ではないことも、また事実です。授業内で知識事項の説明ばかりやっていたのでは、国語の成績は頭打ちです。知識事項は本来、自学自習でやるべきものなのです。「知識事項はできて当然、文章読解で差がつく」という高い意識を持ちましょう。

中学受験国語のプロ講師 3

⑤文章読解問題の誤り直しレポートをていねいにチェックしてくれるか

以前、本ブログでも挙げたのですが(国語のお悩み解決!②「国語の復習法」)、文章読解問題の復習をするならば、問題の解きなおしよりも誤り直しレポートをまとめることをお薦めします。塾で宿題として課せられていないのであれば、自発的に提出してもよいかと思います。いや、そうすべきです。

ここで確認しておきたいのが、講師のチェックの仕方です。集団授業塾の場合、このチェックがたんにハンコを押すだけのものになりがちです。要するに内容をほとんどチェックしていないで返却されているわけですが、それでは「何が良くて、何が良くないのか」が生徒さんには分かりません。きちんとコメントをもらうようにお願いしましょう。このあたりでも、講師の力量や指導にかける情熱が分かります。講師の質は「教務スキル×情熱」と言っても過言ではありません。

⑥志望校に合った問題を解かせているか

これは個別指導塾のお話になります。
集団授業を行う塾では個々の受験校に特化することはできませんので、必ずしも自分の受験校のタイプとは違う問題を授業で扱ったとしても仕方がありません(ただし、すべての学校に当てはまる普遍的な読解技術というのはあります)。

中学受験国語のプロ講師 4

受験学年後半になると、志望校に合わせた勉強にシフトしていきます。一言でいうと過去問対策ですね。

個別指導塾では生徒さんの志望校はまちまちですので、それぞれに合わせた志望校の過去問や同じような傾向の問題を解いてもらうことが多くなるでしょう。受験校と関連性の薄い文章読解問題を解かされているとしたら要注意です。その講師は志望校の問題傾向に精通していないか、もしくは、授業準備(予習)に手を抜いている可能性があります。

⑦生徒の学力レベルに合わせて指導法をアレンジしているか

これは生徒さんのほうではなかなか分かりづらいことかもしれません。
国語の方法論は、学年問わず一貫したものがあると私は考えております。一貫しているべきだとも思います。

ただし、最難関校を受験する生徒と中堅校を受験する子では、身につけるべき読解スキルの優先順位が異なります。そのあたりをまったく考慮せずに、「何が何でも自分のやり方でやりなさい!」とゴリ押ししてくる講師がいたら、それは考えものです。生徒の学力に合わせてていねいに指導できる講師は意外と少ないと感じます。

幅広い層の生徒さんを教えた経験のある講師、もしくは教えることのできる講師が、本当の意味で「優秀な講師」ではないかと私は考えます。

⑧テストの答案をきちんと採点しているか

テストの答案でのまるつけに関して、あまり疑問を持たれない方も多いかと思います。
私は塾講師という視点から、テストの採点の仕方でも講師の力量が分かると思います。採点答案を見れば、採点した方の教務スキルが分かることがあるのです。

中学受験国語のプロ講師 5

たとえば、公開模試の採点です。記号選択問題や抜き出し問題を採点ミスする方はめったにいません(人間が行う作業ですので、ゼロではありませんが…)。

ところが、記述問題に関しては、時折「?」がつく採点がなされていることがあります
公開模試での記述答案の採点方法は「要素採点」とよばれるものが採用されています。「〇〇という言葉が入っていれば〇点」といった要領で点数化されます。公平を期すためには、このような採点は、ある意味では「妥当」と言えます。

とはいっても、書いてある語句が同じだからと言って、つなぎ方があべこべで文意不明なものであったならば点数は限りなく低いものになるはずです。ところが、機械的に採点された答案では、なぜか高得点がつくことがあるのです。つまり、文章全体は考慮されにくいのです。ここが公開模試の採点上の盲点となります。
難関上位校の入試では、記述解答における文章構成も採点基準になると思われますので、注意しましょう。

⑨記述問題の指導で「模範解答」そのものを書かせようとしていないか

最後に、最近、私自身が気になっていることを記しておきます。

塾が主催する公開模試や入試問題の学校解答、市販されている過去問題集を見ると、どう考えても小学生では書けない模範解答が記載されていることがありませんか? そして、それを見た生徒さんや保護者の方が「こんなの書けないよぉ。やっぱり記述問題って難しいよね…」と、記述問題を解くのをあきらめてしまっては非常にもったいないです。

小学生が書ける範囲で答案作成をさせ、いかに合格点をとらせるか」は国語講師の力量を表すものだと私は思います。テスト問題によっては、満点解答を狙うのではなく2/3~1/2以上の点数をとればよいものもあるのです(桜蔭や麻布、筑駒、開成の入試問題などがその典型です)。

それを考慮せずに、ひたすら模範解答に近づけようと指導するのは間違っていると言わざるを得ません。「ここまでは書く、ここからは書かなくてもよい」という‘勇気ある’線引きができる講師は優秀だと思います。

中学受験国語のプロ講師 6

以上、「優秀な国語講師の見極め方」に関するお話でした。私自身も十分に気をつけたいところです。

では、また次のブログでお会いしましょう。

国語ドクター