受験ドクターで国語と社会を担当していますOです。
前回、前々回のブログに引き続き、「国語が苦手な子への処方箋」と題して、国語の成績アップの秘策を述べたいと思います。「国語が苦手ではない子」でも十分に役に立つ内容ですので、お付き合いいただければ幸いです。
記述問題はやっぱり難しい?
※今回のブログでは、「記述問題」に、抜き出し問題(本文から書きぬく問題)は含めないこととします。
前回のブログでは「記号選択問題」のお話をしました。
お読みになった方は、「記号選択問題も案外やっかいなんだなぁ」ということが分かっていただけたかと思います。
さて、今回はいよいよ記述問題編です。
初めに申し上げておくと、記述問題も小学生にとって決して易しくはありません(笑)。
「え~っ、結局難しいのぉ?」
まぁ、その先も聞いてください。
確かに多くの小学生にとって記述問題はハードルが高いようですが、一部の例外(最難関校で出題される小学生には解答不能に近い問題)を除いて、きちんと対策をしていれば、部分点は必ずとれます。
問題のレベルにもよりますが、一般的には記述問題では60(~70)%程度とれれば合格ラインと言われています。特に難関校の記述問題ともなると、なかなか高得点は取らせてはくれません。しつこく繰り返しますが、60%でいいんです。
ではこの「60%」をもぎとるためにはどうすればよいのでしょうか?
前もって記述問題のパターンを知れば良いのです!
それも「使いこなせるレベル」まで、文字通り血肉化させましょう。
記述問題を出題形式で大別すると、次の3つになります。
本文の内容をまとめる記述(要約型記述)
記述問題でもっとも出題頻度が高いのが要約型記述です。
説明的文章の多くは「具体例とまとめ(抽象)」で書かれています。要約型記述は、「まとめ」の部分を、複数個所、拾い集めて答えます。このタイプの記述問題で気を付けるべき点は、たったこれだけです。
ちなみに、物語文の要約型記述も時折、出題されることがあります。「○○までの話の流れをまとめなさい」というものです。
この要約型記述はさほど難しくなさそうですが、実際に小学生にやらせると、出題者の予想を裏切って(?)あまり出来がよくありません。
では、なぜ点数がとれない子がいるのでしょうか。それは以下のことが原因だと考えられます。
① 解答要素が複数あるのにもかかわらず、1箇所見つけて満足してしまい、他の解答要素を探さない。
➡大人からすると「単純なミス」に思えますが、生徒の答案でとても多く見受けられます。文字数や解答欄の大きさから、出題者が想定する模範解答に近づける努力をしましょう。文字数や解答スペースが余ったら、明らかに解答要素が足りていないのです。
② 具体例(物語文ならセリフなども含みます)ばかりを書き連ねてしまう。
➡ぼ~っと文章を読んでいる(というより、眺(なが)めているのに近い?)と、まとめの部分ではなく具体例だけが頭に残ります。それはそうです。具体例は「分かりやすく説明するために」筆者が書いているのですから。
ところが、例えば説明的文章では「まとめ(抽象・一般)」のほうが具体例よりも大切なので、「まとめ」が問題で問われます。
では、①と②のような失点を防ぐにはどうすればよいでしょうか?
解答要素を「あるだけ」探せばよいのですね。その中で具体例や引用、比喩などは省いていきましょう。
同時に、解答要素は短めにそろえるというスキルも覚えておきましょう(長いと①のような失点につながります)。
傍線部を言い換える記述(言い換え型記述)
「傍線部は~とあるが、どういうことですか」という問いが、これにあてはまります。
このタイプの問題は頻度も高く、また、正答率が低いので、差がつく問題と言えます。
ところで、出題者が「どういうことですか」と問うてくるのはなぜだと思いますか。
それは「傍線部」が分かりづらいからですね(笑)。
え? 当たり前のことを言うなって?
いえいえ、ここに言い換え型記述を解くヒントが隠されています。
つまり、ここでいう「分かりづらさ」とは、傍線部に以下のものが含まれているからです。
①の場合は、指示語の内容を分かるように具体的に言い換えます。
②の場合は、比喩を用いない一般的な言葉に言い換えます。
③の場合は、まず慣用句のもとの意味を考え、それを本文内容に即した形で具体的に言い換えます。
④の場合ですが、筆者が作り出した独特な言葉は、必ず他の箇所で説明されていますので、そちらに言い換えます。
⑤の場合は、平易な言葉に言い換えます。
ちなみに、記述問題ではなく、記号選択問題でも「どういうことですか」というタイプの設問は出てきます。基本的には前述した①~⑤のいずれかに当てはまります。途中までの考え方は同じなのですね。
国語の常識力を加える記述(作文型記述)
国語の文章読解問題では、どの問題でも必ず「次の文章を読んで後の問いに答えなさい」という指示書きがありますね(これを気にしている人は、ほとんどいないと思いますが…)。これはつまり、「本文を読んでも分からないものは無効です」という意味なのですが、
物語文などでは、常識的な判断に基づいて答える問題も存在します。たとえば、子どもに対する親の愛情や変わらない友情、恋愛感情(三角関係による嫉妬なんかも出題されます!)など、大人が読んだら「そんなの、〇〇に決まってるじゃな~い」という類いのものです。
でも、小学生によっては、そちらもお勉強してもらわないといけないんですね(特に男子です!)。したがって、これは記述力というよりも、本文を読む力といえるかもしれません。
以上のことを頭に入れて、記述問題を解けば、60%以上の部分点、つまり、合格ラインを突破することが十分に可能です。
早速、次回のテストで実践してみてくださいね。
次回のブログでは、本文の線引き、マーキングの方法について伝授したいと思います。かなり役に立つと思います(少しハードルを上げてみました 笑)。こうご期待!