プライベートレッスンの授業の中で感じたことは、国語の文章題を解くときに
1・テクニックを駆使して解くタイプ
2・何も考えず、ただ読んで、解くタイプ
に大きく分けられるということです。
ただ両方とも、御三家や難関校の国語の問題には通用しないという現実があります。
もちろん、長文を理解するためのテクニックや記述問題を攻略するためのノウハウはありますが、今、はやりのテクニックはキーワードを探しながら読む、傍線部の前後だけ読むなど、文章理解のための方法ではなく、塾のテストやテキストを効率よく問題を解くためのテクニックなんですね。
でも、「効率よく解くためのテクニックのどこが悪いの?」と言われそうです。(笑)
問題なのは、
この方法が必ずしも入試問題を効率的に解く方法につながっていないこと
入試問題は、その学校の国語の先生たちがチームを組んで時間をかけて作成していることがほとんどなので、意地でもテクニックで解かせない問題を作成するはずだということ
以上の2点です。
現に、この方法で桜蔭の問題が解けるか試してください。
一つの形式段落が10行以上もあるのですから、キーワードを探すだけで一苦労ですし、語彙レベル(高校生レベル)が難しすぎて、キーワード自体を理解できるか難しいです。
さらに、傍線部が2文にわたる場合も多く、前後だけでどうにかなるレベルではないでしょう。文章の後半だけをまとめればいいような問題なんて出るわけがありません。
23年度は井上ひさしさんの文章で、原爆の話を通して、哲学的なテーマを読み取り、200字以上の記述で説明させる問題が出題されています。
もちろん、前後だけで解けるレベルではなく、文章の言いたいことを踏まえた上での解答を求めています。
今年の開成の入試問題は、傍線部自体が文章の終わりに集中しています。つまり、文章を読み終わるまで、傍線部が出てこないのです。
さらに、文章全体から抜きだしの問題が出題されていて、その解答がのちの設問のヒントになっています。
この2校だけでなく、麻布や浅野、そのほかの上位~難関校も国語の問題が難化しつつあり、
「創造と発見」(攻玉社)、内海隆一郎の「30%の幸せ」慶應普通部(高校入試でも多く出題される題材)、「12歳からの現代思想」(本郷)、谷崎潤一郎の作品(早稲田)、日高さんの論理と共生(豊島岡)、内山節「森にかよう道」(女子学院)、永井均さんの「子供のための哲学」(頌栄、渋渋など)、犬養道子さんの作品(白百合)
など、読みやすい作品だけれど、テーマが抽象的で小学生が考えるような身近なテーマではない、生き方や人間の在り方などを考えさせるものが、当たり前のように出題されます。
これらのことからもわかるように、
1・難関校ほど、語彙レベルがかなり高くなる。
2・文章理解が難しいからといって、傍線部の前後やキーワード探しに走ってしまうと、余計わからなくなる題材が多い。
ということが言えるでしょう。
では、どうすればよいのか。
まず、
1・文章構造を意識した読解
2・設問の意図を理解し、論理的な思考で解く
3・主題、要旨のパターン化=道徳的価値観を背景とした主題、要旨の読み取り
を実行することです。
次回は、その具体的な内容に迫ります。