突然ですが、マグネシウム、飲んでますか?
マグネシウムは重要なミネラル
マグネシウムと聞くと、金属をイメージするのではないでしょうか。マグネシウムは、カルシウムと並んで、骨を作る重要な成分です。また、欠乏すると心臓の働きに影響が出る、重要なミネラルでもあります。
えっ、飲むんですか?
では飲むものなのか!? と聞かれれば、酸化マグネシウムはお薬に使われていますので、たしかに「飲むもの」ではあります。ただし、お薬といっても「下剤」ですので、健康な状態で飲むことは、まずなさそうですね。食品からの摂取で十分でしょう。
軽い、硬い、加工しやすい「スーパー金属」
金属のマグネシウムは様々なところに使われています。
マグネシウムを混ぜた金属は、「軽い、硬い、加工しやすい」という特徴があり、カメラやパソコンなどの金属部分に用いられている、金属の優等生です。
電磁気を遮蔽する効果が高いこともポイントです。
酸素への強い「愛」
ここで、マグネシウムの特徴の一つに、
「酸素と結びつく力が強い」 ということが挙げられます。
とにかくひとたび燃焼が始まると、強烈な光を出して激しく燃えます。
このことを「酸素愛」と呼ぶことにしましょう。
この性質(酸素愛)を生かして、実験装置に点火する際の導火線として、マグネシウムが用いられることがあります。
では実際に中学入試に出されたマグネシウムの実験をご紹介しましょう!
「一度火が付いたら止まらない」マグネシウムの酸素愛の強さを見せ付けられる実験です。
1.ドライアイス(個体の二酸化炭素)の箱の中にマグネシウムの粉末を入れる
2.マグネシウムリボンの一端を箱の外に少し出して、ドライアイスのふたをする
3.マグネシウムリボンの端に火をつける
どうなると思いますか?
なな、何と、ドライアイスの箱の中で燃え続けるのです。明るい光を放ちながら。
何と激しい酸素愛!
(見てみたい!という方は、ドライアイス マグネシウム で検索するとよいでしょう)
すごい、酸素愛!(感動の拍手) でも…
「酸素愛っていうけど、この実験、そもそも酸素がないんじゃないの?」
と思われた方は、目の付け所が素晴らしいです!!
燃焼のための酸素は、どこから来たかというと…
何と、ドライアイス(二酸化炭素)から、「略奪」していたのです!
二酸化炭素は、化学式で書くと、CO2です。
よく見ると、酸素(O2)が含まれていることが分かりますね。炭素(C)と結びついているO2を炭素から奪い取って、自分が結びついてしまうのです。
ここまでくると、愛を通り越して、執念というしかありませんね…
実験のあとには、以下のような設問が続きます。(東京女学館中 平成26年度 第1回より抜粋)
解答は、1:酸化炭素 2:酸化マグネシウム 3:炭素 です。簡単でしたか?
興味を持って、効率的に覚えるための2つのヒント
理科が苦手で、がんばって暗記しているのに、なかなか伸びない、ということはありませんか?
せっかく好奇心を刺激するネタにあふれているのに、暗記するだけなんてつまらない、もったいない。
むしろ暗記しているから逆に伸びる芽を摘んでいる、というのは言いすぎでしょうか。
以下のヒントを参考に、勉強法を見直してみてはいかがでしょうか。心がけ次第で、「好き」で、「得意」に変えられますよ。
1 不思議なものに好奇心を抱くこと
この問題のテーマは「酸素がないのに燃える」ということの不思議さ、メッセージは「不思議さを感じ、なぜそうなるのか考えてみよう」と言えるでしょう。
理科を暗記科目として「ひたすら覚える」勉強をしていると、「不思議」現象への感性が鈍るだけです。
2 成り立ちと仕組みを理解すること
解答に必要なものは、マグネシウムの知識よりもむしろ、
金属の燃焼が「酸素と結びつく」反応である という現象そのものの理解です。
ここでは愛にたとえてストーリー仕立てにしましたが、こうすることで、小学生でも本質部分がすんなりと頭に入っていくのがわかると思います。表面的な暗記では、こんな問題は解けませんよね。
全部でなくていいんです。一つでも、少しでも、子供の感性で面白いと感じることができれば…そこから一気に伸ばしていきましょう!!