今回は、前回に引き続き静電気力を扱います。
まず、前回浮かんだ疑問から解決していきましょう。
・前回の補充問題
補充問題1
乾燥しているときのほうが静電気がたまりやすいのはなぜですか。
空気が乾燥している冬に静電気の放電に遭遇することが多いのは、経験的にはわかっています。
ではなぜ乾燥している時に静電気が溜まりやすいか、まで考えがおよばないのでは?
■解答例 たまった電気が空気中の水分に放出されるから
実は、静電気のたまりやすさに空気中の水分が大きく関係しているのです。水分そのものが溜まった電気を逃がす働きがあるため、湿度が高い状態では静電気が溜まりにくい、ということだったのです。
ところで不快な放電を防ぐ方法としては、ドアノブに触る前に壁などに触れてたまった静電気をゆっくりと逃がすのが有効なようです。まあ予測できていればの話にはなりますが(笑)
手からドアノブへの放電も、溜まった電気を逃がすという点では同じことなのですが、金属だと瞬時に電気が流るために衝撃があるということなんですね。
体に静電気をためる装置に触れた人は、髪の毛が逆立っています。なぜですか。
静電気を生じる装置に触れた人にたまる電気は、電圧で表すと10000ボルトにもなるそうです。いくら電気がたまっても、流れなければショックはありません。装置に触れた人(大体髪の長い女性)の髪の毛が逆立っている様子は、見たことがある方も多いと思います。頭上に下敷きがあるわけでもないのになぜ逆立つのでしょうか。
■解答例 同じ電気に帯電するため、髪の毛同士が反発するから。
体に電気がたまるということは、-か+のどちらかに帯電しているということです。ということは、髪の毛1本1本に、同じ電気がたまっている状態。同じ電気は反発する性質をもつので、髪の毛同士も強力に反発して逆立つというわけだったのですね。
それでは今回の入試問題です。まずなじみの薄いものに対して、わかりやすい導入がなされています。解くだけで、勉強になる、ためになる、そんな良い問題の特徴を備えてた問題です。
問題(芝浦工大柏中)
髪の毛を塩化ビニル製の下敷きでこすると、逆立てることができます。これは、異なる2種の物質をこすり合わせることで電気を帯びたからです。この現象を帯電といいます。(中略)この場合には髪の毛は正に帯電し、下敷きは負に帯電しているということが言えます。
問1
日常生活を送っているなかで、知らず知らずのうちに帯電している人が金属製のドアノブに触れようとしたときに、指先とドアノブの間で火花が出て、バチっと音がしました。このような現象を何と言いますか。漢字2字で答えなさい。
■解答例 放電
意外と使用頻度の低い、なじみが薄い言葉かもしれません。コンデンサーに蓄えられる電気も、やはり静電気です。使う前にショートさせて、溜まった電気を「放電」してから使います。
自然界で起こる問1の現象として雷があげられます。雷を発生させるための電気は、( )によって溜まっていきます。
( )に当てはまる文を20字以内で書きなさい。
静電気の例として雷を取り上げています。雲に静電気がたまるところまでは知っていても、どうやってたまるかまではなかなか考えがおよばないのでは?
■解答例 雲の中で氷の粒がこすれ合って帯電すること
かなりハードルの高い問題でした。
それでは次の問題です。
問3
垂直に流れ落ちる水に、正に帯電したガラス棒を近づけると、図のようになりました。
これに対して、負に帯電したストローを近づけた場合、水はどのように落ちますか。次の①から③の中から選びなさい
選択肢問題に改題しています。正に帯電したガラス棒にひき寄せられるのだから、負に帯電したストローには…
この問題は次回までの宿題とします!お楽しみに。