今回は、図のような装置から発射される球の運動について考えます。
基本知識なしで解くのは不利です。
押さえておきたいポイントを確認していきます。
まず以下の2つの基本ルールを確認しましょう。
〈基本ルール1 慣性の法則〉
①静止しているとき → 静止し続ける。
②動いているとき → 同じ速さで動き続ける。
要するに、運動の状況が変わらないということ。
〈基本ルール2〉
外から力が加わると、運動の状況が変化します。
では例題です。
図のような装置を用いて、Xの位置に置いた球を転がし、飛距離を調べます。
以下の問いに答えなさい。
(1)Zの位置から落下する球の動きを図のウの位置から観察したときの一定時間ごとの球の見え方を、選択肢AからDより選びなさい。
(2)区間YからZにおける球の動きを図のアの位置から観察したときの一定時間ごとの球の見え方を、選択肢EからHより選びなさい。
(3)Zの位置から落下する球の動きを図のイの位置から観察しときの一定時間ごとの球の見え方を、(2)の選択肢EからHより選びなさい。
(4)Zの位置から落下地点までにかかる時間(落下時間)と、Zの位置を通過する速度(初速)とはどのような関係にあるか、説明しなさい。
(5)Zの位置を通過する速度(初速)と、Zの位置から落下地点までの水平距離Lはどのような関係にあるか、説明しなさい。
落下の運動をとらえるために最も基本的で大切なことは、
物体の運動を水平方向と垂直方向とに分けて考えることです。
図のイ、ウから観察することで、具体的に考えることが可能となります。
(1)
垂直方向には常に重力が働いていますが、落下中は下から球を支える力は働いていません。したがって、
基本ルール2
により、下向きに加速ことになるので、一定時間ごとの位置は、選択肢C,Dのように、だんだん間隔が大きくなります。
さらに、ウの位置から観察すると、球は自分に向かって近づきながら落下していることがわかります。したがって、見かけの大きさはCのように大きくなります。よって正解はC。
(2)
区間Y―Zでは、物体に働く力はありません。重力があるじゃないか、と思った方、もっともです。よく見てください。この区間では床が下から重力と同じ力で支えてくれていますね、したがって、力がつり合うため、働く力=0とみなすことができるわけです。力が働いていなときは、
基本ルール1 慣性の法則
①静止しているとき → 静止し続ける。
②動いているとき → 同じ速さで動き続ける。
の②により、物体は等速直線運動をします。したがって選択肢Gが正解となります。
(3)
落下中、水平方向には力が働いていませんね。したがって、
基本ルール1 慣性の法則
①静止しているとき → 静止し続ける。
②動いているとき → 同じ速さで動き続ける。
の②により、水平方向には、等速直線運動をします。
垂直方向はどうでしょうか。落下しているため、イからは遠ざかっていきます。見かけの大きさが小さくなることを加味して、選択肢Hが正解となります。
(4)
垂直方向の動きのみ考えましょう。
落下距離Hが一定ですから、正面から見た動きは、初速(水平方向の速さ)に影響されないことがわかります。
解答例:
落下時間は初速によらず一定である。
(5)
今度は水平方向のみで考えます。(4)より落下時間が一定なので、初速が速いほど飛距離が増すことがわかります。
解答例:
Lは初速に比例する。
いかがでしたか。今回の「押さえておきたいポイント」は
・落下中の動きを水平方向と垂直方向に分けてとらえる
①水平方向 → 等速直線運動
②垂直方向 → 等加速度直線運動
以上のことを押さえて問題を見ていけば、その場で考えることなく決められる問題が増えてきます。
ぜひ有利にお勉強を進めてください。
それではまた。