前回に引き続き、割り算の余りをテーマに話を進めます。
今回扱うのは、9で割ったときの余りです。
父:早速だけどこの問題、できるかな。
良夫:割り算なら得意。任せて頂戴。
(がんばって筆算中)
出たよ!余りは6だね。
父:正解!
20082021を9でわったときのあまりを求めなさい。
ただし、次の決まりを使ってもよいとする。
決まりは以下の通りである。
ある数を9で割ったときのあまりは、その数のそれぞれの位の数の和を9で割ったときのあまりに等しい。(2021年 武南中②)
良夫:そんな決まりがあったとは。
それじゃあ使ってみるね。
(2+0+0+8+2+0+2+1)÷9
=15÷9
=1あまり6
よって余りは…やっぱり6だ。
便利な決まりだなあ…なんでこうなるの??いつでも使える?
父:よくぞ言った、じゃあ研究タイム!!
良夫:しまった。
父:もう遅いわ。
1÷9=
10÷9=
100÷9=
良夫:はい、やってみます。
10÷9= 1あまり1
100÷9=10あまり1
余りは必ず1になるね。1はどの位にあっても、9で割った余りは1なのか。
父:じゃあ次いってみよう。
20÷9=
200÷9=
良夫:はい、頑張ります。
20÷9= 2あまり2
200÷9=20あまり2
割られる数がさっきの2倍だから、余りも2倍になるってことだね。
さっきと同じで、2はどの位にあっても9で割った余りは2になる。
ってことは…
各位の数を合計すると、各位が表す数をそれぞれ9で割った余りを寄せ集めたものになるね。
父:その調子だ!!それを9で割れば、
良夫:本体を9で割った余りが求められる!
これはおいしい!いつでも使える。
父:じゃあ、次の問題はどうじゃ。
(3) 7枚のカードのうち、4枚を並べるとき、9で割ると5余る4けたの整数は何通りできますか。 (H28 早稲田中①)
良夫:ヒントないの?
父:この問題にヒントはついていない。
4けたの整数を9で割ったときの余りはチェックするのが大変そうだけど、
そこで登場するのが…
良夫:さっきの問題で出た「決まり」だね。
父:そう。4桁の整数を9で割った余りは、
良夫:各位の数の和を9で割った余りを求めればよい!
父:と、いうことは、
良夫:最低が2+2+2+5で11、最高が5+5+8+8の26だから、この範囲で考えると
9で割った余り=5になるのは、
各位の和が14と23の2つの場合に絞られる。
14の作り方は、
2,2,2,8 → 並べ方=4通り
2,2,5,5 → 並べ方=6通り
23の作り方は
2,5,8,8 → 並べ方=12通り
よって、
4+6+12=22通り。
思ったより、楽に答えにたどり着いたね。
父:ところで、9の倍数になるための条件って、何だった?
良夫:各位の数字の和が3の倍数なら、その数は3の倍数で、
各位の数字の和が9の倍数なら、その数は9の倍数。
習ったから知ってるよ。
ちょっと待てよ。
さっきの「決まり」を使うと、今のは
「各位の数の和を9で割った余りが0なら、その数を9で割った余りも0」
って言い換えられるな。
今までは「決まり」のうち余り=0のパターンだけを使っていたわけだ。
おいしいところだけ利用するっていうのは、一見効率はよさそうだけど、何かを失っているような気もする。
父:……
良夫:今回の「決まり」は、一度知っちゃったら後には戻れないね、便利すぎて(笑)
いかがでしたか。
今回の小技
は、知らなくても困ることはありませんが、特定の場面では重宝します。興味のある人はぜひ活用してください。